福島のむかし話/福島県国語教育研究会/日本標準/1977年
「鶴のおんがえし」とパターンは同じで、鶴を人魚と読み替えるとほぼ同じです。
浜吉という漁師が釣り上げたのは人魚でした。しかし浜吉は、ほかのものにつかまらないように海へ放してやりました。
それから何日かたって、大しけの日に、美しくて若い女が、浜吉のところにやってきました。つぎの日、浜吉が漁に行こうとすると、女は、岬の左にいったあたりに網を張ると、魚がいっぺいとれるからといいます。浜吉が船一ぱいに魚をとって、女はもういないだろうと帰ってくると、女は家の中でまめに働いていました。次の日も、漁をする場所をおしえられ、大漁になり、そのまま夫婦になります。
それから浜吉は、女の言う通りのところへ漁にでかけると、いつも大漁で、村のあみ主よりも大金持ちになりました。
「あの女はどこからきたんだべ」「おめえ、どんなことして、あの女を女房にした」「お前の女房はただもんでねえぞ。もしかすっと、竜宮からきたんでねえか?」と、村の人から言われ、女房のことが気になりだした浜吉。
「風呂に入っているところは、ぜったいに見んねでくれろ」といわれていた浜吉が、風呂をのぞいてみると・・・。
日本の昔話には、人魚はあまり出てこないようですが・・?。