どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ぼくのおじさん

2021年07月17日 | 絵本(外国)

      ぼくのおじさん/アーノルド・ノーベル・作 三木卓・訳/文化出版局/1982年

 

 お父さんとお母さんが船に乗って旅にでます。しかし、子ゾウは風邪をひいて留守番。

 ところが、船は嵐に会って母さんも父さんもかえってきません。部屋で、ひとりしょんぼりしていると、おじさんゾウがあらわれ、ふたりでおじさんのところへ。

 空の星よりもたくさんのしわ。せなかも、ひざも、あしもぎしぎしのおじさん。

 子ゾウの気持ちをなぐさめるようかのように、電車の窓から見える家、畑、電柱、ピーナッツを数え、話ができるランプにすみついたクモの願いを聞いて真っ暗な中で食事をします。さらに小ゾウにお話してあげたり、歌を作ってあげたり。

 おじさんのリビングルームに飾ってあった絵をみて、母さん、父さんを思い出した子ゾウに 家じゅうのもの全部を重ね着すると、子ゾウは 大笑いして かなしいことなんかわすれてしまいます。

 そんな時、ふたりのところへ、電報がとどきました。母さん父さんからの電報。

 子ゾウとおじさんの距離がもっともちかずいたとき別れのときがきます。

 最後にときどきあおうと約束して去っていくおじさん。子ゾウを慰めようとやってきたおじさんは、ひとりぼっちですから、こんどは子ゾウが孤独を癒してくれるのでしょう。


うみに しずんだ おに

2021年07月15日 | 紙芝居(昔話)

     うみに しずんだ おに/脚本・松谷みよ子 画・二俣英五郎/童心社/1973年

 

 四国土佐の久礼湾にうかぶ大きい岩と小さな岩、双名島の伝説です。

 

 むかし、山奥に鬼の親子が住んでいました。

 ある日、海の神さまの怒りをしずめようとお祈りしているおじいさんと孫にあいました。海が荒れて、浜の人々が次々と海にさらわれ、ふたりだけになったというのです。

 ある時、凄まじい嵐で海が荒れ、鬼はおじいさんと孫の事が気になりました。そこで、二つの大岩に穴をあけ、金棒をさしこむと、海へ運んで行きました。

 どうしても一緒にいくと泣きじゃくる子おにを、岩に乗せ、腰が砕けそうになりながら海へでました。いつかのじいさまと孫がみていました。

 岩の上からおりて まつようにいわれた小おにも、どうしてもいくと、ふたりで海の中へ。しかし、すさまじい 波に 足をすくわれて 鬼は どうっとたおれます。たおれながら、親鬼は小おにを溺れさせまいと、片手で小おにをささえながら しずんでいきました。

 泣いて泣いて、泣き疲れた子おには岩になってしまいました。

 

 親子で遊ぶ楽しそうな冒頭の場面が、松谷さんらしいと思いました。また、二俣さんがえがく鬼の表情がなんともいえません。


くれよんのくろくん

2021年07月14日 | 絵本(日本)

      くれよんのくろくん/なかや みわ/童心社/2001年

 

 はじめて色の不思議さにであう絵本かも知れません。

 

 黄色くんが画用紙をみつけてチョウチョをかくと、クレヨンくんが次々に、絵をかきていきます。

 おかあさんの赤さんはチューリップを、ピンクちゃんがコスモスを。

 黄緑さんがコスモスに葉っぱを、緑くんがチューリップに葉っぱを。

 黄銅色くんが木を、茶色くんが地面を。

 水色くんがふんわり雲、青くんが青空を。

 そこへ、黒くんがやってきましたが、出番がありません。

 「黒くんは間に合っている」「きれいに かいたえを くろくされたら、たまらないよ・・」と、仲間に入れてもらえない黒くん。

 みんなは楽しそうに つづきを かきはじめました。ところが みんな ほかの色の上に かきはじめていくので、えはめちゃくちゃ。

 さみしそうにしている黒くんに、シャープペンが こっそり いいました。

 黒くんは、みんながかいた 絵の上を まっくろにしてしまいました。

 真っ黒になった絵の上を、シャープペンシルくんが、ツツツーッと からだをすべらせると、あっというまに 画用紙の上には、大きな花火が いくつも 夜空に うかびました。

 クレヨンたちが 大喜びすると 花火は、黒くんがいたからと、シャープペン。

 

 重ね塗りしたクレヨンを削っていくと思いがけないものがうかんできます。

 水彩では、重ね塗りしていくと色が微妙に変化します。

 絵本を見たら、自分もかいてみようとなるのも、納得します。

 クレヨンくんたちが「クル クル クルッ」「ツラ ツラ ツラッ」「グリン グリリリーン」「ゴーゴリゴリゴー」「クリン クリン」「ビュルルーン ビュルルーン」と、絵を描くリズムも素敵です。


しっぺいたろう

2021年07月13日 | 絵本(昔話・日本)

      しっぺいたろう/香山美子・文 太田大八・画/教育画劇/2000年

 旅人のぼうさんが、ある村にやってきます。

 とりいれも無事すんで、秋祭りの支度の時期なのに、村の人々は みんなうつむいて、しおしお。ぼうさんがわけをきくと、山の社の神さまに、娘を差し出さなければという。

 ぼうさんが、ばけもののしわざにちがいないと、社に出かけ、かくれてみていると、ざざざと 山が揺れるような 風が吹いたと思うと、おおきなものが 木の上から ふってきました。ばけものでした。

 ばけものは、”ふるいけ ふるさわ ふるかいどう たんごは あまの はしだてで これで こっきり わしらの ことは たんばのく にの しっぺいたろうにゃ きかせるな”と歌い、そろって おどりはじめました。

 ばけものたちは いばっているが しっぺいたろうという ひとが よっぽどこわいとみえると思ったぼうさんは、娘を人身御供にださずにまっているようにいって、丹波の国へいって、しっぺいたろうを 捜し歩きました。ところが、だれにもしらないといわれ、つかれでうとうと ねむっていると だれかが 呼ぶ声。

 わけをはなし、じいさまとまごから しっぺいたろうを かりると ぼうさまは むらへ もどりました。

 なかなかぼうさんがかえってこないので、おとうと おかあが なきなき 娘を つれていこうとしたとき、しっぺいたろうとぼうさんがやってきました。

 しっぺいたろうは、化け物どもとたたかいます。

 むらのひとびとが、ようすをみにきてみると、そこにはおおきな ひひが さんびきもたおれていました。窮地を救われたみんなでしたが、坊さんと しっぺいたろうの姿をみることは できませんでした。

 

 坊さんと しっぺいたろうが、何も告げずに去っていく最後は、まるで映画のヒーローのようです。

 「しっぺいたろう」は、じつは 仔牛のようにおおきな白い犬。

 しっぺい太郎伝説の原典は「今昔物語」にあって、山犬(狼)信仰ー農作物の守護神ーと関わりがあり、青森から鹿児島までの各地に広く伝わっているといいます。

 

・しっぺい太郎(茨城のむかし話/茨城民俗学会編/日本標準/1977年)

 絵本の方が先になりましたが、茨城におなじ話がありました。こちらは坊さんではなく、役人。

 化け物が出るというお宮で”丹波の国のしっぺい太郎に、かならずこのこと聞かせるな。ドットコドのド。ドットコドのド・・・。”という声を聞いて、丹波の国へいって、しっぺい太郎を借り受け、村へもどった役人。

 人身御供の娘の代わりに、箱の中に役人としっぺい太郎がはいって、化け物のところへ。

 化け物は、でっかいサルでした。

 茨城から丹波(京都)へいくのも大変そうですが、すぐに着くというのもお話の世界です。

 原典が今昔物語だと、もっと各地にありそうです。

 

・しっぺい太郎(静岡のむかし話/静岡県むかし話研究会編/日本標準/1978年)

 おぼうさんが、「こよいおらっちにの このことは 信州信濃の光前寺 しっぺい太郎にゃ しらすなよ」という、化け物どもの歌を聞いて、信濃で しっぺいたろうを借りてきて、化け物と たたかいます。ただ、太郎は、たたかいのあと 息をひきとります。


セミのこえ 梅雨明け?

2021年07月13日 | 日記

 あちこちの豪雨で水害が頻発。住んでいるところからそんなにはなれていないところでも大雨の被害。

 この土日、昼に晴れていたのに夕方から、雷とともに土砂降りの雨でした。

 今日、当地は朝から晴れ。

 今朝、今年はじめてセミの鳴き声を聞きました。梅雨明けでしょうか。しかし午後三時には集中的な雨。

 暗くなって雷がなりはじめるとすぐに大雨。


あきらがあけてあげるから

2021年07月12日 | ヨシタケ シンスケ

      あきらがあけてあげるから/ヨシタケシンスケ/PHP研究所/2021年

 

 チョコが食べたくても、袋をあけられないあきらくん。

 おかあさんに あけてもらいますが 「なんていうの?」といわれ、「ありがとうございます」と頭を下げますが ちょっと悔しいあきらくん。

 おおきくなって ピッ、パカーとなんでもあけられることを、想像します。

 あけるものはいくらでもあります。

 瓶のふた(カパッ)、缶のフタ(キャパ)、缶詰(コパー)、ワインのコルク(キュポ)

 「なんでもあけるやさん」になって、金庫も、鍵の落ちた側溝も、化石の恐竜の眠る岩、泥棒が盗んだ鞄も あけます。でも動物園の柵をあけるのは、やりすぎかな。

 現実にもどって、のどがかわいて ジュースをあけてもらおうと おとうさんのところへ。

 おとうさんは なにか楽しそうに ジュースをあけて くれました。

 おとうさん あきらくんに 頼られるのは うれしそうです。そう、すぐに じぶんであけられるようになりますからね。

 あきらくんが いろいろ 想像してあけるのが 満載です。「開ける」というキーワードで、これだけあったのに びっくり。


色とりどりの鳥

2021年07月11日 | 絵本(昔話・外国)

    色とりどりの鳥/ほそえさちよ・再話 たけがみたえ・絵/玉川大学出版部/2021年

 

 オーストラリアのアボリジナルのおはなし。

 あたり前と思っていることにも、なぜ?と疑問を持つと ちがった世界がみえてきます。

 色もその一つ。もし色の認識ができないとどうでしょう?。草花の美しさも、絵画を楽しむこともできません。昼と夜のちがいもわかりません。

 色とりどりの生き物もおなじです。科学的には、鮮やかな色の鳥について説明できるのでしょうが、人は、古来から疑問をもっていたにちがいありません。

 

 むかし、すべての鳥の羽は真っ黒だったと はじまります。

 ケガをしたハトを、仲良しの鳥たちが励ましていると、ハトの傷口から噴き出た七色の しぶきが 鳥たちにかかり、インコやツル、ヒクイドリ、オウム、ワライカワセミ、ハトなどが とりどりの羽の色に。

 ただ、「そんな しにそうなやつの せわをして、なんになるんだい。びょうきが うつるかもしれないぜ」と、つめたくながめていたカラスは、今も黒いというオチ。

 鳥たちが ハトを励ますところがほほえましい。笑うと元気が出るとワライカワセミ、オーストリアヅルはダンス、そのダンスにはヒクイドリが大きなツメで、大地をふみつけリズムをきざみます。

 カラスの気持ちは?


ヒメハルゼミと坊さん・・茨城

2021年07月10日 | 昔話(関東)

            茨城のむかし話/茨城民俗学会編/日本標準/1975年

 

 真夏の暑い日、ひとりのまずしい坊さんが、畑にいたばさんに、水を飲ませてくれるよう頼みますが、ばあさんは「草刈りはたいへんなんだ。水などねえよ。どっかでもらったらよかっぺ」とことわります。

 こうした出だしだと、すぐに次に水を飲ませてくれた人へのお礼がされるというパターンですが、それはこの話の最後。

 水を飲ませてもらえなかった坊さんは、どこかへいってしまいますが、ばあさんには次から次へと災難がおこります。水を飲もうと思っても井戸から水がくめず、病気になってしまいます。おまけにからだどんどん小さくなっていき、そのうちセミの形になってしまいます。

 このセミは、ヒメハルゼミといわれ、高いところにいるので、下からはなかなか姿がみえないという。

 弘法大師にかかわる片庭村(いまの笠間市)の話です。


やぶかのはなし

2021年07月09日 | 絵本(日本)

      やぶかのはなし/栗原毅・文 長 新太・絵/福音館書店/2019年

 

 夏の時期、とくに夕方、畑にいるといつのまにか 蚊にくわれていることが度々。

 しかし、オスが血を吸うことはなく、メスが いいたまごを うむために血を吸うとあります。

 蚊がすきなのは、血だけでなく、あまいものがだいすき。血も人間だけでなく動物の血も。

 子孫を残すため、蚊の努力もさまざま。

 水が必要ですが、どぶの水はだめ、池の水は魚に食べられるためダメ、水たまりもすぐにひあがるのでダメ。

 それに、トンボやカエル、クモもねらっています。

 蚊がたまごをうむ場所は?


 蚊の涙ぐましい努力に感心しますが、やはり心配なのは蚊が媒介する感染症。

 蚊が媒介する感染症には、デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎、黄熱などがあり、日本脳炎以外については熱帯、亜熱帯地域で流行していますから、ほとんどが海外からの輸入。ただ だからといってグローバル時代で油断できないのが感染症。数年前、デング熱で大騒ぎになりました。

 蚊の生態だけでなく、この続きに期待したいのですが・・・。


ひとりぼっちのモンスター

2021年07月08日 | 絵本(外国)

    ひとりぼっちのモンスター/アンナ・ケンプ・作 サラ・オギルヴィー・絵 たなか あきこ・訳/フレーベル館/2019年

 

 むかしむかし、ひとりぼっちのモンスター、デイブじいさんがエコーロックというさびしい場所にくらしていた。

 わかいころ、デイブは、じつにめいわくなやつだった。ふざけたり うるさいわで町中 もうめちゃくちゃ。町の人に追い出されエコーロックへ。

 それから60年エコーロックで暮らすデイブじいさんの相棒はギターだけ。

 ある日。パーシバルがやってきて、デイブじいさんに、腐ったキャベツやカブ、ナスを投げつけた。パーシバルは勇者と名乗るが六歳。

 デイブじいさんが「いきなり 野菜を ぶつけるのは いかんなあ。しらんのかね? ちゃんとした騎士は いつだって やさしくて 行儀がいいもんだ。恐ろし気なモンスターだって、いやなことをされたら 悲しいんだぞ」というと、そんなことを考えてみてもみなかったパーシバルは、真っ赤になって謝ります。

 それからパーシバルが、野菜を ぶつけないと騎士らしく誓うと、それからは大の仲良しに。

 ところが長く平和が続いて退屈しきった町の人たちが、モンスターを やっつけて 元気を出そうと、腐った果物と野菜をもって、エコーロックへ。

 しかし「嫌なことをされたら 誰だってかなしんだよ」というパーシバルの言葉に、町の人たちが しゅんとなって・・・。

 

 ちびっこ騎士のいうことは、もっとも。あれこれ屁理屈をつけたがる大人には、耳の痛い話。見た目だけで判断しないことも重要。

 賑やかなモンスターパーテイのなかで、みんなノリノリです。


とうさん おはなしして

2021年07月07日 | 絵本(外国)

    とうさん おはなしして/アーノルド・ローベル・作 三木卓・訳/文化出版局/1987年

 

 ねずみのお父さんが、すぐに寝るならという約束で 七匹の子どもたちに 七つのお話をしていきます。

<ねがいごとの いど>

 あるとき、ねがいごとを かなえてくれる いどをみつけた 女の子が お金を投げ込んで おねがいすると 「いたいよ!」

 次の日も お金を投げ込んで おねがいごとをすると 「いたいよ!」

 次の日も 「いたいよ!」

 まくらと おかねを なげこみ おねがいごとをすると 「ああ、こんどは ずっと いいかんじだよと!」と いどがいいました。それからは たくさんの おねがいごとをしてみも みんな聞き届けてもらえたって。

<くもとこども>

 こねずみが かあさんねずみと おさんぽにでかけ、空を眺めると 雲は お城や うさぎの形。

 こねずみが ねこになった 雲をみて 「たすけてよ!」と さけぶと・・。 

<のっぽくん ちびくん>
 とても 背の高いねずみと とても背の低いねずみが さんぽ。

 のっぽくんが「やあ、とりくんたち、こんにちわ」

 ちびくんは「やあ、かぶとむしくんたち、こんにちわ」

 のっぽくんが「やあ、はなくんたち、こんにちわ」

 ちびくんは「やあ、ねっこくんたち、こんにちわ」

 それからも のっぽくんと ちびくんの みているところは 違います。

 それでも いっしょに 見たものが あったんですよ。それは?

<ねずみと かぜ>

 帆掛け船に乗った ねずみの 大冒険?

 西風がふくと船は家の屋根へ。東風が吹くと屋根から木の上に。

 南風が吹くと 船は 山の上に 北風が吹くと 湖の中へ。

 まだまだ続く・・。

<だいりょこう>

 かあさんねずみのところにでかけた ねずみのお話。

 自動車で出かけ、走って走って車がバラバラ。

 ローラースケートを買って すべってすべって 車が 吹っ飛んで。

 ながぐつ買って 歩いて歩いて 大きな穴があいて。

 運動靴買って はしって はしって すりきれて。

 足にけがをし、足を買って!??? すたこらさっさ。

 ようやく お母さんの家に着くと 「よくきたね、おまえ。りっぱに おなりだねえ。それに おまえの 新しい足は なんて すばらしんだろうね!」

<ズボンつり>

 ズボンつりが壊れ、ズボンが ずり落ちてしまった おじいちゃんねずみの話。

 とおりがかりのひとは だれも 相手にせず おくさんも 「下着を みせたりして、あんたって 人は ばかじゃなかろうか」と、頭をゴチン。

 子どもが だいきらいな おじいちゃんねずみに 手をさしのべてくれたのは 子どもたち。

<おふろ>

 お風呂に入ったねずみ なかなか きれいになりません。

 お湯をだして だして だして

 お湯が とおりに 流れ出し

 隣の家から 町中に お湯が あふれ・・

 

 そして こどもたちが眠ると お父さんとお母さんの ふたりきりの時間。ゆったりと時間が流れていきます。

 お休み前の絵本は刺激的だと興奮しそうですし、季節感がないと物足りなさがでて、何でもいいというわけではありません。アーノルド・ロベールの作品は、どれもほっこりしていて、お休み前にはピッタリでしょうか。


チリとチリリ

2021年07月06日 | 絵本(日本)

      チリとチリリ はらっぱのおはなし/どい かや/アリス館/2003年

 

 ある日の午後、チリとチリリは、チリチリリ チリチリリ 自転車で 草むらをとおっていきました。

 くさむらをぬけると おおきな シロツメクサ。ハナバチがやってきて みつをあつめていきました。ハナバチのあとをついていくと ちょうどできていたのは はちみつボールカステラ。 チリとチリリは アジサイの下で いただきます。

 コガネムシについていくと さわやかなかおり。ちょうどできていたのは はっぱのミックスジュース。岩の上でいただきます。

 チリチリリ チリチリリ トカゲについていって お手伝い。

 ほたるいしのかけらを お鍋で とかし、はちみつと はっぱの しぼりじるを まぜ、かたにながすと いろいろな 色に かがやく ほたるいしキャンディー。

 ホタルがやってきて、キャンディーをもらうと とんで いきました。

 チリとチリリが キャンディーをなめながら はしりました。ふたりがホタルのいるはらっぱを とおりぬけると キャンデイーが はじけて きえました。

 はらっぱは もう夕闇です。

 

 生き物とチリ、チリリは等身大。下から はらっぱをながめると、そこには不思議な光景が広がっています。

 ハナバチやトカゲの家も 居心地がよさそうです。


かぜのうた

2021年07月04日 | 絵本(外国)

      かぜのうた/フィリップ・ジョルダーノ・絵 さわべ まちこ・文/ポリフォニープレス/2021年



「かぜが ふいたら」に続くのは

 綿毛、シャボン玉、こいのぼり、風鈴・・・。

 からから からから

 ざわわん ざわわん

 さわ さわ

 ぶわっしゃ

 ぱち ぱち

 風車や凧が出てきて

 外国のかたなのに どうも日本っぽいものがでてきたので、あれっと思っていると イタリアの作家が日本の四季を表現したとありました。

 風がうむ音、たしかにいろいろ。「かぜのうた」というタイトルもぴったりでした。


みなごろし、半殺し

2021年07月03日 | 昔話(日本)

 おそろしいタイトルですが、実は笑い話。タイトルでみんなをびっくりさせておいて、なかみの落差でひきつける話。 落語にもなっているというのですが・・・・。


・みなごろし、半殺し(日本の昔話4 さるかにかっせん/おざわとしお・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/1995年初版)

 一人の旅人が、一晩の宿を頼んだ家。
 真夜中になって旅人がふと目をさますと、となりの部屋の話声がきこえてきます。

 「あしたの朝は、みなごろしにしようか、半ごろしにしようか」
 「みなごろしはめんどうだから、半ごろしにしたらどうか」

 旅人はびっくりして、一目散に逃げ出し、一軒の家に飛び込むとわけをはなす。

 ところがその家のおばあさんは大笑いして

 「そこの家の人はおまえさんに、うんとごちそうする気でいたんだよ。「みなごろし」というのは、もち米をすっかりついて、もちにしてから おはぎをつくることだし、「半ごろし」というのは、もち米を半分つぶしておはぎをつくることなのさ」

・ぶったたきと半ごろし(茨城のむかし話/茨城民俗学会/日本標準/1975年)         

 旅人がお風呂に入っているとき、茶屋のとしより夫婦の会話が聞こえてきます。

 「今夜はひとつ ぶったたきにすべえか」じいさんがいうと、「なあに それより、半ごろしのほうがよかっぺ」とばあさん。驚き逃げ出そうとする旅人に「ぶったたきちゅうのは、うどんのこと。半ごろしちゅうのは、うどんのこと」と、じいさん、ばあさん。

・本殺し生殺し(岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年)

 本殺し うすでひいた粉をぬくい湯をかけてねって、それからなべでにただんご。

 生殺し 湯でねっただけのだんご。

・手打ち半殺し(栗山の昔話/柏村祐司・編著/随想舎2009年)


・「半ごろしの御馳走」は、山形の昔話。

 長野県では、「はんごろし」は、おはぎ、「みなごろし」は、お餅。
 群馬県では、「はんごろし」は、ぼたもち。
 栃木県では、「はんごろし」は、ぼたもち、手打ちはお蕎麦。
 鳥取県では、「はんごろし」は、ぼたもち、「みなごろし」は、もち。
 島根県では、「手打ち」は、そば、半殺しは「ぼたもち」


ほら あめだ!

2021年07月02日 | 絵本(自然)

   ほら あめだ!/フランクリンM・ブランリー・作 ジェ-ムズ・グラハム・ヘイル・絵 やすなりてっぺい・訳/福音館書店/2009年

 

 このところ毎日のように雨。線状降水帯ができたり、土砂降りがあたりまえのようになってきました。

 朝ドラで気象予報士をめざす主人公が、絵本を参考にするようアドバイスされる場面がありました。どんな絵本をみていたのでしょうか。

 水が水蒸気にかわり、その水蒸気が空に運ばれて冷やされると、雲粒にかわり、雲粒が集まって雲をつくり、雲粒は集まって水のしずくになる。このあたりまではまあまあ。

 でも、この水は、海や川、植物の葉っぱや湿った地面、うしやうま、ねこ、いぬ、人間からも蒸発するといわれると、ここまで考えたことはなかった気がします。

 この絵本にはありませんが、雨粒の形は大福型というのも面白い。

 外国の絵本ですが、1917年に埼玉県で4.4㎏ぐらいのカボチャぐらいのヒョウが降ったという新聞記事も描かれています。調べてみるとこれまで世界最大のヒョウのようで、直径29.5cm、重さが3.4㎏あったようです。

 朝ドラの主人公だけでなく、絵本から教えられることが多々あります。