4番子を抱卵中
もう少しで雛が孵るというころ、「巣の向きが変わっている」「巣が動いている」という知らせが来た。
そして、見に行くと、なんと枝から離れた巣が池の真ん中に浮いている。
▲漂流する巣(10月6日)
今まで巣が流れ出したときは、しばらくすると沈んでしまった。この巣も絶望的かと観察していたが、巣は沈まず、池の水の流れにのって、行ったり来たりしている。沈まないのはラッキーだが、ボートと池尻を隔てる綱を越え、巣はボートが行き来する区域に流れ出した。
「気を付けてぇ」とボートの人に叫ぶ人も。こうして1日が終わる。
次の日も「今巣はどのあたりにあるのだろう。」とみなで探しながら見守る。
そして、10月7日、流れるの巣の中で雛が1羽孵った。
▼雛がロープにひっかかりそう。
あぶなっかしくて、ひやひやな状態が続いたが、9日には2羽目も孵った。
あと1日巣が無事だったら、3個目の卵も孵るかもしれないと、人間たちは見守った。
しかし、そこで事件が起こった。
巣が対岸の近くに来て止まっていた時、雛が巣から飛び降りたように見えた。何事かと様子を見ると、対岸にいた人がいきなり体を乗り出してカメラで巣を撮ろうとしたようだ。カイツブリたちはびっくりしたに違いない。
▲卵が一つ残ったまま放棄された巣
危険がないと悟ったら、巣にもどるだろうか。しかし、親鳥は巣には戻らなかった。
巣がない状態で、孵ったばかりの雛は無事に育つのだろうか。
▲孵ったばかりの雛
その後3日ぐらい、幼い雛2羽をかかえたファミリーは、片方が雛を背に乗せ、片方が餌を探して運びながら、今度は巣のない漂流生活を続けることになった。
▲雛を背負った親は、水面のトンボなどを捕まえては後の雛に与えたり、自分の餌にしていた。
古巣に見切りをつけた親たちは、その後やっと新しい巣をつくる気持ちになったようだ。
▲10月13日。あちこち試した結果、2羽の気持ちが一致して、新しい巣ができた。
その後は順調
▲泳ぎだして餌をもらう雛たち(10月24日)
▲巣の上で休憩(10月27日)
▲10月28日
▲すくすく成長(11月1日)
12月に入って、久しぶりに雛のピイピイ声が聞こえたので見ると、誕生から2か月が過ぎた雛(若)が親と一緒に泳いでいた。
▲12月11日の雛たち 1羽ずつそれぞれの親について泳ぐ。
▲ときどき親に「早く独り立ちしなさい!」とばかりにどやされるが、
やっぱり親と一緒は安心できてうれしいようだ。
こんなできごとがあったが、このペアは13羽の雛を孵し、そのうち12羽を無事に育て上げたことになる。
他のペアの話につづく