クラスター発生校の生徒の写真、無断投稿 島根県が通報
サッカー部を中心に新型コロナウイルスの大規模なクラスター(感染者集団)が発生した松江市の立正大淞南高校の生徒の写真が、無断でインターネット上に掲載され、人権侵害のおそれがあるとして、島根県は21日、松江地方法務局に計13件のウェブサイトを通報した。県が新型コロナに関する事案で、サイトを法務局に通報するのは初めて。
県人権同和対策課によると、ブログやSNSなど計13件のサイトで、立正大淞南高校の生徒の顔が確認できる写真が無断でサイトに投稿されて、生徒や学校への誹謗(ひぼう)中傷のコメントが確認されたという。通報は文書形式で、サイトのURLや、サイトを印刷した紙を添付した。
通報を受けた法務局は今後、各サイトの投稿が人権侵害に当たるか調査した上で、サイト管理者への削除要請などを行うという。法務局の「人権侵犯事件調査処理規程」によると、人権侵害事案に関する救済手続きは、被害者による申告だけでなく、行政機関の通報によっても可能。県は、被害者が未成年で重大な人権侵害のおそれがあることや、学校側からの要望があったことを踏まえて、通報に踏み切った。同校の上川慎二教頭は「生徒を守るために何ができるか学校として県に相談して、通報に至った」と述べた。
県人権同和対策課の山根雅之課長は「通報した13件はごく一部かもしれないが、公的機関が動くことで、人権侵害への牽制(けんせい)効果があるはずだ。今後も学校と連携し、サイトのモニタリングを継続して、必要に応じて追加で通報を実施していく」と話す。(浪間新太)