ランシモ

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Nikon FE2

2008-05-10 18:18:30 | つちのこカメラ

つちのこカメラ18

Nikon FE2

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この機種の前にFEと言うのがあり、シャッタースピードが1/1000までだった。

シャッターのチタン化で1/4000まで可能になった画期的なカメラでした。

MDを必要としないなら実にシンプルで使いやすかった。同時代のF3に比べ華奢な感じはいなめないが、全体にコンパクトで軽量なので出番は多かった。ストロボの同調スピードが1/250と、F3の1/80に比べて速いのも特徴です。

カメラの大きさスペック、価格ともバランスの良い機種で、Nikonいちばんの売れ筋だったと思います。

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ASA感度(ISO)、露出補正がわかりやすい。オートで使う場合、露出補正をかけるとファインダー内に表示がでて間違いがなかった。

プロのサブカメラとしても充分な機能だった。

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手持ち撮影が多かったので、長ダマ使用などのことを考慮して、カメラバックにラバーつけ、バックグリップを自作した。前につけるか後ろにつけるか迷ったが、格好を考えて後ろに。

このグリップの具合が良く、なんでこの時代のカメラになかったか不思議だった。

金属製や木製の三脚穴を利用して付けるグリップが売られているが、こんなに不細工なものじゃなく、ちょっとした指の引っ掛かりがあれば良い。グリップとはそういうもの。

前でも後ろでも5mm程度の引っかかりでよい。

毎週、サーキットなどで500mmや300mmレンズをつけ、手持ち撮影していましたから。そんなときはMDを付けていたからグリップの必要性はあまり感じなかった。プロカメラはMD付きが当たり前なんで、単体ではほとんど使いません。ロケでもスタジオ撮影でもMD付き。当時のMDのスピードは遅かったんで、連射というより自動巻上げぐらいのつもりで使っていました。

散歩に持っていくときに、サブのさらにサブカメラとして持っていくときに、MDははずします。

FMやFEに付けるMD12が曲者でしたねー。F3用も専用ニッカドバッテリーを付けたときは良いが、単三電池のときは電池一個一個に接点が2つあり、その接点のトラブルに苦労しました。各電池を溶接デモすればよかったのだが。

機械的なトラブルはなかったが、電気的なトラブルはNikon(8本)に限らず、単三電池を多く使うCANON(10本)には多かった。

空撮でここぞと言う時に動かなくなったら、怒り心頭でしょう。

カメラに限らないが、プロ用の機材も大方は使いやすいよう手を入れています。あと精度のチェックをすると意外やイガイなんですよー。

後ろの四角は装填しているフィルムのパッケージを破いて入れておくところ。何のフィルムを使っているかのメモ代わりです。

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グリップは前でも後ろでも指にちょっとでも引っかかりがあれば良い。

ついているレンズは28mmf3.5という、クラッシックなもの。

私は名レンズだと思う、このレンズの開放でよく撮ったもの。単焦点のレンズは開放で使ってこそだと思うし、味のある描写をしてくれた。

軽くて小さいのもグー。

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砂漠地帯で撮影していて、MDを付けたメイン機種があっという間に動かなくなり、FEに頼ったことが思い出されます。

当時のカメラは電気接点が難点でした。水はいいけど、パウダーのような砂には電気カメラは弱い。それは今でも一緒かも知れません。

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MD12と連動するの接点です。

FE2の最大の悩みがMD12を付けた時の作動でした。

ここぞと言う時にシャッターが降りないのだ。バッテリーの数だけ接点があるので、ニッカド電池使うと接点が腐食して通電が悪くなる。これは、当時のどのメーカーのMDの悩みでした。

ニコンF3やキャノンF1などだと専用ニッカド電池を使うことで、確実性が増しました。専用ニッカドは巻き上げスピードも速く快適だった。FでもF1でも単三電池を使うと確実性が落ちた。空撮のようなシャッターチャンスが少ない撮影では、とんでもないトラブルでした。

仕事先から帰るとメーカーのサービスステーションへ直行か、マスコミ大手ですと担当者を呼びつけたといいます。

ニッカド電池などは使っていると微量のガスが出て、接点を腐食するのだ。ほんのわずかなことが、電気カメラの落とし穴でした。

同じようなことが車でもありました。キャブレターを直噴タイプに切り替わっていく時代に、車が動かなくなるような現象があった。それは電気的な接触の不備と、燃料のペーパーロックのようなものだった。

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プロは巻き戻しノブの下にある、裏蓋ロックを取り去っています。

フィルムチェンジのとき1秒でも早くすませたいからロックを外しているのです。それはF3でも同じでした。余分なロックは一般には良いけどシリアスな場面ではじれったい。

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視度調節は-2を入れていました。ファインダースクリーンは交換で清掃しやすい。手抜きのないカメラだった。

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うすいチタン膜のシャッター。シャッターの軽量化で高速シャッターが可能になったのです。1/4000シャッターはFM2からですが、それを仕事で使っていて、朝イチでシャッター音がいつもと違うのに気がつき、ニコンのサービスマンに話して、替えのボディーを予備に借りていたところ、その日にものの見事にシャッターがバラバラに飛び散りました。いつも使っていると音で調子がわかるのです。

このFE2はFM2から買い換えたもので、さらにその前にはFEを使っていました。

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FM2はF3のサブ機としてだけじゃなく、メインに近い使い方ができるカメラです。海外のプロカメラマンはフラッグシップじゃないカメラで、バンバン仕事していました。日本だけですよーニコンF3やキャノンF1が巷にあふれているのは。

電池がなくなると1/250のみシャッターが作動します。

Nikon F MD② の記事は (F本体の記事は多いけどMDの記事は少ないでしょう)

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/d/20110120

Nikon F3 MDの記事は

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/d/20080919

Nikon FM ポラボディーの記事は (プロしか使わない機種です)

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/d/20070804

Nikon FE2 の記事は

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/d/20080510

Nikkorex Fの記事は

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/d/20090530

Nikkorex 35の記事は

http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/d/20060223

コメント (4)
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死の泉、読書

2008-05-10 13:52:42 | 本と雑誌

著者は皆川博子さん

第二次大戦下のドイツの狂気を描いたもの。

080510s1 ドイツは当時から医学や化学、工業が日本の比ではなかった。

どれもが進んだ研究がなされ、ナチの下では狂気と言っていいくらいの研究がなされていた。

主人公マルガレーテは私生児をナチの私設の産院で産む。そこの医師クラウスは、双子を使って長寿を研究していた。

双子の胴体を接合して、双頭の体と4本の足。ことごとく失敗していたが、戦時下なんでナチの権力は絶対で、検体にはこと困らなかった。失敗作は標本として液体に入れられて、グロテスクな瓶詰めになり施設に置かれていた。

その研究と別に、クラウスはボーイソプラノにぞっこんで、普通は変声する声帯をそのままとどめるため、ある手術を少年にする。つまり大人の男にさせないためにアル物を摘出してしまうのだ。

その当時の日本にも、むろん今の日本にもないような甘美でグロテスクな趣味が当時のドイツにはあった。それは貴族社会があったからで、果てしなく特殊な性癖でも突き詰めていく世界があった。する者とされる者が、完璧に立場がわかれている。

ロマ、ツィゴイネル、ツィンガリ、ヒターノと言って何を意味するかわからないでしょう?すべて流浪の民ジプシーを意味します。

ナチの民族浄化主義とフランスの民主化、それと社会や国境に組み込まれないジプシーたちのせめぎあい。ヨーロッパは日本のような島国と違い、人種と生活様式、考え方がちがう者の集まり。それにくわえて同じ人種の中でも貴族なんてものがあるので、よけいに複雑怪奇。

第二次大戦の末期には、アルプスの山の中をくりぬいた要塞、岩塩の採石場を利用したらしいが、フェラー(ヒットラー提督)の居城を作っていた。そこを舞台にした物語です。

当時のドイツは我々日本人は知らないことが多く、日本では単に三国同盟などと浮かれていたが、アメリカ、イギリス側の連合軍は最大の敵をドイツとみなしていました。その理由は、日本になかった化学工業力、特にロケット&ジェットエンジンをすでに兵器としてドイツは生産していたから。終戦後(どう戦うではなく、勝利した後どう統治するか)にドイツの頭脳をロシアに取られるのではないかと戦々恐々。結局、ナチ本流のドイツの頭脳はアメリカとロシアに分割されて、戦犯を免除されて両大国でエリート達は活躍していった。

私は生まれがそのあたりなので、幼少の頃に戦記物はずいぶん読んだが、当時のドイツの話は全くと言っていいほど読んだ記憶がない。

知られざる、壮大な話でした。

ブックオフで105円で購入。

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