「便利は人を不幸にする」
著者は佐倉統
なんとも漠然としたテーマの題です。何が書いてあるのか興味があった。
日本人は全体のシステム設計が苦手で、細部の使いやすさに秀でているということ。
全体像を見て方向を考え目的、流れ、各パートをはっきりさせるのが苦手で、全体の責任などはあやふやだが、各パートが目の前にことを滞りなく進めるのが得意だということ。
だから、戦艦ヤマトなど時代遅れになっていても、戦艦として素晴らしいものを作った。だけど、それが出来た時には無用の長物になっていた。よくできた戦艦だったが、戦局を考えられず、兵器として時代のシステムから取り残されていた。
それに類いすることが日本には多くある。
細部のリファインは得意だが、システム全体の進歩についていけないところがある。
つまりシステムより個々のパートのデキにこだわる傾向がある。
原発事故の対応でも、大局を見ず個々の対処しかできなかったことが、事故を大きくしているし、事故そのものもいまだ続いている。
国の事業も膠着化するのも、役人たちの縄張り意識が現実世界との遊離をうんでいる。決まったことを方向転換でもリファインでもできない理由がそこにある。予算は国民のためじゃなく自分たちの省庁のためにあるのが一番問題なのでしょう。
いわば、日本のお家芸は「やっつけ仕事」なのかもしれない。やっつけ仕事は全体像がなくても、その場で対処していくことです。個々のパートがよくできたアメ-バーのように自分の仕事を進めていく。しかも、他所に問題が起きないように進めていくから、全体像がなくても世の中はスムーズに動いていく、、、。
日本社会は不思議です。