懐かしい車を見つけた。
私が22歳のころ丁稚奉公していた写真家の先生の愛車がこれだった。それはフォルックスワーゲン・タイプ3ヴァリアント(ワゴン)だったと思うけど、ただのノッチタイプだったかもしれない。もう、かれこれ40年以上前のことなので、うろ覚えです。
タイプ3には2ドアセダンのノッチタイプ、ファーストバックタイプ、ワゴンタイプ、それとスポーティーなカルマンギアー・クーペがあった。ビートルズの後継機種でしたが、こちらは、商売的には失敗作だったらしい。いい車なんですがねーーー。
スペック上では非力なエンジンの割によく走った記憶があります。当時、私が乗っていたのは「愛のスカイライン」と言うキャッチフレーズで大人気車。それよりも、ちょっとクラシックで空冷エンジンの、このワーゲンのほうが軽快に走った。表示パワーはスカイラインのほうが、はるかに大きかったが。
ただし、空冷は極めてうるさい。ホンダがその当時の社長、本田さんが空冷エンジンにこだわっていたため、F1エンジンでも空冷で参戦していた。確かホンダらしく馬力はあったが、空冷にこだわったため反対に重量がかさみ、ストレートで速くコーナーで遅い、奇妙奇天烈なF1だった。空冷エンジン時代のホンダF1でも優勝したことはあった!
独創的とは、そういうところがある。ホンダが、あのまま続けていたら、、、違った形のフェラーリのようになっただろう。今のホンダは普通のメーカだもの。軽からバンまで品揃えのね~~~。むかし、ヨーロッパの方に、「ホンダはカリスマ的な本田さんがいるのに、何てもったいないことをしているのだ」と言われていた。ヨーロッパのメーカーだったら、広告や企業イメージにもっと本田さんを全面的に出していただろう。メーカーとしての個性を本田さんのイメージにだぶらせて、かつ車種も絞ったほうが面白かったのに、、、と言われていた。いまではホンダは日本の普通のメーカになってしまったからです。しかも、大企業病の感さえ少しあります。
キレイに乗っていますねー。
リアエンジンなので、フロント・ボンネット下のトランクには予備タイヤが入っていた。それでもフロント・トランクは広大と言っていいほど広かった。実用車だからトランクが必要だったけど、ポルシェと同じレイアウトだから、フロントをクサビのように尖らせたら、まんまポルシェになる。ポルッシェは元々ワーゲンから派生したから似るのは当然ですね。これは空冷フラットツインの1600ccで、最初のポルシェも1600ccだった。良いエンジンなのはむべなるかな。
ワゴンタイプはリヤエンジンなので、リヤ部分はちょっと高くなっていたが、トランクスペースは十分にスペースは取れた。
写真家の先生は、このワーゲンとベンツの2台を使い分けていた。仕事の時、先生はベンツでゆったり、後ろにアシスタントがワーゲンでついていくというスタイル。
40年以上前のことだから、写真家の先生は相当裕福だったということでしょう。口癖がフィルムで納品すると、フィルムの厚さの万札でギャラをもらったと、、、。その先生は、つい先々月にお亡くなりになった。90歳を超えられて大往生だったのでは。その志を継いだ弟子たちは約5人、今でも仲の良いお付き合いがあります。その仲間は若者の時に互いに切磋琢磨して、かつ、自分とは違ったキャラを持っていて皆活躍している。私の仕事&人生のお手本達です。
40年前は、カメラマンはアーティストだった。スターは文字通り雲の上のスターだった時代です。
よく見ると造形的です。
アシスタントの頃、洗車させられましたが、ボディーの水切れが良かったことを記憶しています。その当時の国産車と比べて、いろいろ考えられているなーと感心したものです。車としての機能や構造は日本車が追いついていく時代でしたが、無形の財産と言うものに私は気が付きました。
ただ、日本と比べて雨の少ないドイツで作られたので、雨漏りがひどかった。
デザインは最高だと思ったが、エンジンがうるさかったので、ワーゲンにしてはヒット作ではないと言われている。でも、音以外は良くできた車です。
当時の友人が社会的に成功して、同時代のワーゲン・カルマンギアー・クーペを手に入れたのは、何か感じたからだろう。
今の日本はバブルがはじけて貧富の差が広がり、金持ちはフェラーリやマセラティ、ベントレーなどの新車を乗り回して、これ見よがしになった。
金持ちにも、旧車をめでる洒落っ気が欲しいところだ!
シトロエンDS21パラス
ルノー4GTL
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