イザベラ・L・バード(1831~1904)、イギリスの女流旅行作家
1887年4月に横浜から函館までの日本の内陸縦断記です。
江戸時代が終わり時代は明治に変わって10年目のことです。
横浜に上陸したイザベラは通訳一人を連れて日本の国内旅行に旅立った。
横浜もみすぼらしい港だったと書かれていた。
外国人居留地は当時は限られていて、許可されたところだけしか外国人は入れなかった。
いろんな方の尽力で、イザベラは通行書(日本全域)を手に入れて、外国人が未踏のコースを旅した。
牛や馬の背に揺られて、あるいは悪路は徒歩で、川を腰までつかってわたり、新政府に変わったばかりの日本の旅。
当時の日光街道の典型的な茶屋だそう。
イザベラは日本は貧しいと書いてあった。イギリスの首都近郊などと比べたら、そりゃ鎖国が400年つづき、開国して10年もたっていない頃だから、、、。
何を隠そう、私も45年前に飯豊山登山に行ったとき、この家よりもっと原始的な家を見かけたことがあります。家の軒が異様に低くて、掘っ立て小屋というか、弥生式の住居かと思えるくらいのたたずまいだった。登山口がどこだったか覚えていませんが、神社脇から登り始めたので、大山神社が入り口かもしれない。私の記憶で印象的なのは、飯豊山の登山口にあった家、それと北海道の霧多布岬近くの漁村、荒れる真っ黒な海に腰まで海に入り昆布を引き上げている女(これは幻か絵画なのか現実とは思えなかった)、それとハワイの北側で地引網をしている日系の方たち。ハワイの裏の海では日系の人たちが、本国にいたように海の幸と戯れているんだーーーと今でも目に焼き付いています。けっこ大きな波が来ていたんですよ、40年近く前のことです。アフリカの大地でロコモコ蒸気機関車で内陸に向かったのも、楽しい思い出です。山歩きも世界旅行(仕事でも)も、いつも1人だった。
古来の日本、東京も横浜も、この道中の村や町でもごみひとつ落ちていなかったと言われています。
衛生状態が悪かったのはしかたないけど、公共の場はキレイにしていたらしい。
それと、どんな所でもどんな職業の人でもボルことはなかった。
当時の日本人には誇りがあったのだろう。
この金谷邸は日光金谷ホテルになる前身。
金谷さんは町長をやっていて、日光見物に来られる外国人を家に泊めることがあって、当時から旅館建築を計画していた。
金谷さんは学のある家族だったと書いてある。
日光からは今でいう会津西街道で田島を通り会津盆地に出てから新潟へ向かった。
新潟からは中条、小国、上山、山形、新庄、横手、久保田(秋田)、大舘、碇ヶ関、黒石、青森とほぼ奥州街道に沿って北上。
汽車も自動車も通行していないところを旅したのだから、その苦労は計り知れない。
宿の汚さというか不潔なことすさまじかった。
人々は貧しいけど質素に清貧に暮らしていた。
しかしノミやダニ、シラミの類は衛生状態が劣悪だったので大変だっただろう。
旅をしていたのが日本の雨期、つゆだったのだ。
雨合羽の上に蓑(みの)を着ても全身ずぶぬれになったという。
最初は貧相な国と言っていたが、、、
ある茶屋で休んでいて、お茶が出てきたが汚かったので、飲まずにお金を払い立ち去ろうとしたら、茶屋のおかみさんがお金を絶対に受け取らなかった。お口に合わなかったからお金は受け取れません、、、。
日光までの契約で人力車を雇ったら、粕壁(いまの春日部?)あたりで人力車の車夫が腹をくだして先に進めなくなった。すると、代わりの実直な車夫に話をつけてくれた。引き返す車夫は自分の不始末のため契約不履行でと言ってお金を受け取らなかった。
日本の国民は最下層の民からして、ぼったりだましたりすることがなかった。
それが日本が植民地化されなかった理由なのじゃないかと私は考えています。国民の誇りが首都東京から地の果てのような地方まで、貧しくともいきわたっていたのだろう。それで、けっこう手強わそうだぞという印象なのだ。
唯一、外国人に近い人(通訳など)たちが、おそらくすれてぼることがあった。
コースのほとんどが私の知っている所で、と言っても現代のことですが、当時の街道の様子がありありと目に浮かびます。
下巻が楽しみです。
イザベラ・バードの日本紀行下巻
http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/119fb8e45d2c7563144f348f6c65d6bb
イザベラバードの中国奥地紀行㊤
http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7c1d52aa204ccb6975824f020bdcc504
イザベラバードの中国奥地紀行㊦
http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/96ac13d80f8fb7067ac229984ae53ce1
イザベラバードの朝鮮紀行
http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/5f2f1b42636aa986b44cb7594e14d909
イザベラバードのハワイ紀行
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7ac626dd5a29152ba319ad10d16b2ec3
2015年10月 会津西街道の大内宿
http://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7c8f5cb37980afcc3571270471491dc2?utm_source=admin_page&utm_medium=realtime&utm_campaign=realtime
ホテルローヤル 桜木紫乃
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/7336ab8978fa67681d133f096c2f2390
すばらしい新世界 バックスリー 1932年に発行された破壊的懐疑主義空想物語
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/24ecbe9335f0cce6345980ca1d2c1ad7
わたしを離さないで カズオ・イシグロ 代表作のひとつ 2017年ノーベル文学賞を受賞
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/5f171addb3dc788c75939e82d34be018
夜と霧 ヴィクトールEフランクル 第二次世界大戦時のアウシュビッツでの生活
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/88d701444d03e880344237c875562569
憑神 浅田次郎 貧乏神、疫病神、死神が次々にやってくる、ファンタジー小説
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/9a8f3bea2f8fc5bcdd0be1bb111859ae
漂流教室 楳図かずお 極限状態に設定した世界での人の本性を描く
https://blog.goo.ne.jp/photostudioon/e/b9d8b6217b3a0cce2bc26ad9c2417a8d
風の影 カルロス・ルイス・サフォン 舞台は第二次世界大戦直前のスペイン、フランコ政権時だった
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もの食う人びと 辺見庸 食らい、語らい、鮮やかに紡いだ、世紀末の食の黙示録
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