◆神さまのお住まいをちょっと拝見 ～ ブラームス《ドイツ・レクイエム》第4楽章 解説

ブラームス《ドイツ・レクイエム》第4楽章


　　Wie lieblich sind deine Wohnungen,
　　Herr Zebaoth.
　　（なんと麗しいことでしょう、あなたのお住まいは、
　　　万軍の主よ）


第3楽章の《ドイツ・レクイエム》における
折り返し地点を過ぎて、この楽章においては、
悲劇的な要素は皆無に等しく、
心休まるこの第4楽章の冒頭はこのようなテクストで始まり、
コーラスによって和やかに歌われます。


シュナイト先生は、日本に長く滞在されており、
長い年月をかけて、すっかり日本に精通しておられるようです。
そしてついには！？
この4楽章を、
和風情緒あふれる「畳の間」をイメージして歌うよう
コーラスの練習では何度も何度も繰り返しおっしゃられました。

・・・先生にとっての「畳の間」のイメージとは、
一体どんななのだろう、とも思われますが（笑）



純和風・・・千利休の現れそうな・・・お茶室の風情？



もしかすると、そんなイメージなのかもしれませんね。

それにしても、この話をする際のシュナイト先生のお顔の
なんとにこやかなこと！音楽が・そして充実した人生が
そんな笑顔にさせているのかもしれません、素晴らしいことです。



　　Meine Seele verlanget und sehnet sich nach
　　den Vorhoefen des Herrn;
　　（私の魂は求め、そしてあこがれるのです、主のお庭を）


求め、あこがれ、切望する・・・
ゆえに、我々の生きるこの世界には実際にはない
神の国の美しい庭園のことを言っているのでしょうか、
でも、我々の眼には、なんとなく見えることもきっとあるのです、
イリュージョンの向こうに、あの美しい光景が・・・
（今のシュナイト先生には、和風庭園が見えるのかもしれません（笑））



　　Mein Leib und Seele freuen sich
　　in dem lebendigen Gott.
　　（私の体と心は喜ぶのです、生ける神の内に）


体と心が喜び、まるで躍り立つかのような音楽は、
ブラームス特有の「ドイツ風ワルツ」のようなリズム感に
表わされるようです。いわゆる、「ニューイヤーコンサート」
におけるようなウィーン風のオシャレなものではなく、
どちらかというと・・・


うんたった、うんたった、


といった感じ？しかし、ここにドイツ人達は、
深い喜びを感じるのです、我々とて、きっとそうです、
麦酒を片手に、肩を寄せ合い、素朴に音楽とリズムを愉しむ「ワルツ」に、
精神は純粋無垢な歓びを感じることができるのかもしれません。



　　Wohl denen,
　　die in deinem Hause wohnen,
　　die loben dich immerdar.
　　（さいわいである、
　　　あなたの家に住み、
　　　あなたを常に褒め称える者は）


神への「ごつごつしていない」賛歌が、
この楽章の音楽的な持ち味といえるのかもしれません。


Intermezzo間奏曲


と、この楽章を形容することもできる、と
シュナイト先生はおっしゃられたこともあります。


そういえば、《Intermezzo》という曲名は、
ピアノのレパートリーでは頻繁にとりあげられる
ブラームス後期の作品群に、ところどころ顔を出します。
《op.117》なぞは確か「三つのIntermezzo間奏曲」
という題がついていたはずです。


この《ドイツ・レクイエム》を勉強してみて、
これらのピアノ曲達は、今の自分にどのような音楽性を
訴えかけてくるのだろうか・・・
ブラームスの勉強が、まだまだ先がありそうで、愉しみです！！




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