音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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■ピアニストの感情表現 ~ J.レヴィーン『ピアノ奏法の基礎』より

2011年09月10日 | ジョセフ・レヴィーン『ピアノ奏法の基礎』
ジョセフ・レヴィーン著 『ピアノ奏法の基礎』(中村菊子訳)より抜粋


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人間の喜び、悲しみ、苦しみ、後悔、苛酷さ、恐怖などの
感情がすぐ人の声にひびくように、
ピアノでは、演奏者の感情を指や腕に反応させてひくことが可能であり、
そのようにひく本当のテクニックを習得したピアニストの演奏には、
こまやかな感情の動きが自然に盛られている。

彼らは、感情を放射することにいちいち気を配らなくても、
指や腕が自然にそうしてくれるのだ。

アントン・ルビンシュタインの演奏を聴いたことのある人は、
彼が、いかに効果的に感情を鍵盤に打ち込んでいたかを
知っているだろう。

聴衆の中にルビンシュタインの演奏にあきる者は
一人もいなかった。そして、
実際に、音楽の理論は別として、
素人の方が彼の感情の放射を鋭く感じたようだ。

彼らは演奏会で感情の移入を瞬間的に感じとり、
満足して帰って行ったものだ。

素人は、音楽の構成は解らなくとも、
書かれた音だけを拾ってひくピアニストでなく、
それ以上の何物かを自分の芸術として鋭く感じ、
それを誠実に演奏の上に描こうとするピアニストの
人間的感動と感情を敏感に感じとることができるのだ。

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