音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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大空を飛ぶ《op.109 3楽章 Var.VI》

2006年04月12日 | 《30番op.109》
4分音符から8分音符、そして8分三連音符、
16分三連音符、32分音符からいよいよ「tr.」に・・・ 
羽が生えているのか、それとも超能力なのか、徐々に足が地から浮き上がり、
勢いを増して、羽ばたき、もっと速く!!そしてもっと高く!!!
大空を自由に飛びまわり、雲の中をかいくぐって、そして・・・・
どこへ到着したのでしょう・・・

その前の《Var.V》は、よくよく見てみると変です・・・
テーマ前半8小節が繰り返され、そして後半8小節が繰り返され、
「8×4=32小節」で終わりとなるはず・・・・なのに、
もう一度「p」で8小節が付け加えられている・・・・ようするに、
5回目のフレーズということになって、言ってみれば字余り・・・
この謎を、どう解き明かすことができるでしょうか・・・

これを、続く《Var.VI》と合わせて考えてみて、「飛行前の準備」
なぞと考えてみるのはどうでしょう・・・。 
「sempre f」のこの《Var.V》、私にはモチーフが「さ~あ~、い・ざ・征け」
と言っているように聞こえるのですが(どこへいくのでしょう・・・)、
勇ましくコントラプンクト(対位法)を駆使して前へ前へと進もうとする音楽、
そこから《Var.VI》へと橋渡しをするためには、どうしてもワンクッション
置かなければならなかった・・・。あるいは、耳の遠いベートーヴェンが、
幻惑の中にこの凱歌を頭の中で反芻しているかのような、
突如として現れるこの145小節目の「P」は、あまりにも不思議な付け足しです。

《Var.VI》の冒頭には、Dynamikの指示はありません。恐らく、
前の変奏からの「p」を引き継ぐと考えて間違いはないと思います。「cantabile」の指示は、テーマにかかるものでしょう。この楽章の
冒頭のテーマがはっきりと歌われる、いよいよ飛行の時・・・
まだ自分が飛び始めていることが信じられず、徐々にそれが実感となって、
初めて「cresc.」(第159小節)が現われる。

「あぁっっっ!!飛んでる!!」みたいな・・・

言葉にならない感動が身体の中から込み上げて来て!!
そして「ふっ」と力が抜ける・・・それが、
この第159小節の「cresc.」と、次の「p」なのかと・・・

あとは、ノンストップです。飛んじゃってください!!
高く高く、もっと高く。
「f」になって、いよいよ飛び回り始めます。
舞い上がっては下り、自由自在の飛行は、あるいは
そう容易いことではないのかもしれません。

そして、
空のまた遥か彼方の高いところから呼ばれる声がする。
声のするほうへ、もっともっと高く飛ぼうとする、
だけど・・・だけど




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