音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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B.《op.109 3楽章 Var.II》を蘊蓄(Beethovenのペダル!?)

2006年04月11日 | 《30番op.109》
先日の師匠のレッスンで「Pedalを使うのだ!」と指示され、びっくりしたこの変奏《op.109 3楽章 Var.II》・・・
16分音符の、ほとんど単旋律のような連なりに始まるこの変奏、
少なくともHenle版の楽譜には、「Pedal」の指示は書いてはいない・・・
耳なじみのある録音等では、多くのピアニスト達は
スタッカートで演奏していると思うので、
師匠のこの言葉は、正直戸惑った・・・。

しかし、この指示にはもちろん根拠があるという。
この《Klaviersonate op.109》 と同時期に書かれている
●《ピアノとフルート(ヴァイオリン)のための変奏曲 op.107》に
これと類似した箇所があり、そこに、ベートーヴェン自身による
「Pedal」の指示があるというのだ。

そして、レッスンの帰り道に楽譜屋へ直行、楽譜を購入。
そして、本当にありました!!
《ロシア民謡からの変奏曲 op.107-7 イ短調》のVar.IV。
音型が、《op.109 Var.II 前半8小節》と酷似しており、
前半8小節では、2小節にわたるハーモニーの変化に伴った長い「Ped. *」が、
後半8小節においては、ハーモニーが変化していながらも、おかまいなしの
8小節に渡る長い長いPedalが書かれている!!

●長い長いPedalといえば、Beethovenはこれを好んで使用している。
最も有名な箇所でいえば、
《ピアノソナタ21番 ワルトシュタイン》のIII楽章を挙げることができる。
(ワルトシュタインについては、いずれまた書きたいと思っています!)

●師匠曰く、この《op.109 3楽章 Var.II》は「leggiermente」の指示があり、
Pedalを使わない乾いた音色では、この「leggiermente」にそぐわないと。
《op.107》の例を借りてみれば、この《op.109 3楽章 Var.II》は、大いにPedalを
使用して、この作品の前後の美しさに見合った美しさが欲しいと。

・・・・皆様も、試してみられてはいかがでしょう?

●そういえば、この曲一番最後の変奏を締めくくっているのが、長いPedalでした。
以前、「音の洪水」と書いたことがありますが・・・。

【注意】
今日の力の強く響きの豊かな楽器で、長いPedalを使用する際に、本当にPedalの底まで踏み込んでしまうと、必要以上に音が混じりすぎて、いよいよ「大洪水」となってしまいます・・・。「ハーフ・ペダル」の技術を巧みに使うことが要求され、なかなか一筋縄ではいきません・・・



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