音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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ベートーヴェン《後期3ソナタ》はお互いに深い密接関係

2006年08月25日 | ベートーヴェン Beethoven
ベートーヴェン最後のソナタ《32番op.111》を練習しながら、
その前の二作品《ソナタ30番op.109》と《ソナタ31番op.110》との
類似箇所が多々あることに気付き、これらの三作品の
お互いの密接しあった深い関係を見たような気がするのです。

それは
◆調性的なものであったり、
◆類似の音型であったり、
◆Triller(トリル)の扱い方であったり、

そうした具体的なこれらの音楽作品の「確かな事象」を追い、
演奏者も聴者もひっくるめた人々の個々のファンタジーに沿って
これらの一見難解で近寄りがたくもある名作を、
人それぞれの人生観にピタリ!と当てはまってしまうほどに共感し、
愉しむことが出来るのであれば、それはとても面白く素適で
充実した愉しみとなるかなと思うのでした。


具体的に、今日の自分の発見した「確かな事象」と
思われるものをご紹介いたしますと、
●《32番op.111》の終楽章「Arietta」は、
厳格かつ自由な変奏曲の形式を取っています。

「厳格かつ自由」という一見相反する事象の意味するところは、
厳格に4つの変奏を経た後、
テーマを離れ自由な中間部(?)とも取れる箇所を経て、
再びテーマが戻ってくるという、
不思議な独特の形の音楽を成しているところにあります。

その自由な変奏曲形式を離れ、再び明らかにII楽章冒頭のテーマが
帰ってくるところ(130小節)の「伴奏の形」が、
《ソナタ31番op.110》
のI楽章・再現部(56小節)のそれと似ているようです。どちらの曲も、
◆右手の上声部は、テーマがはっきりと現れており、
◆左手の伴奏形は、うねり回るような音型となっております。

同時期に書かれたというこのソナタ《op.110》と《op.111》において、
同じようなアイディアの元で作曲が進行していたのかと思われるような
これらの類似箇所を見つけることは、音楽の姿をより深く見定める
ための大きな助けとなるような気がします。


今の私のあくまで個人的なファンタジーでは、これらの音楽は

「翼を与えられ、はばたき、とんでゆく、あのうたを口ずさみながら」
という感じなのですが。

つづく
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