音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

♪クラシック音楽の伝統を受け継ぐ真の音楽芸術家を目指して活動しています♪ 「YouTubeクラシック音楽道場」も更新中♪

(つづき)ベートーヴェン《後期3ソナタ》はお互いに深い密接関係

2006年08月26日 | ベートーヴェン Beethoven
引き続き《後期ソナタ》の類似性を見ていきたいと思います。

◇◆◇◆


●調性的な類似を観ていきますと、
先日の記事に挙げました引き続き、
《ソナタ31番op.110》の箇所(56小節、再現部)は、
ソナタ形式の基本通り、元調の「As-Dur(変イ長調)」となって
戻ってきますが、しばらくして、特異な転調を経て、
ややこしい言い方をしますと
「短調サブドミナント(下属調の同名調)の平行調」である「E-Dur(ホ長調)」
へと進みます。これは非常に効果の高い転調といえましょうか、

まるで「別世界」へ行ってしまったかというような・・・


ところで、「別世界」とはどこへ行ってしまったのでしょうか。
この「E-Dur」という調性に焦点を当ててみますと、
前作《ソナタ30番op.109》が
この「E-Dur」で書かれていることに気付くことが出来ます。


《op.109》、終楽章Variation(変奏曲)の変わり行く様を追ってみると、
最終変奏では、音数が次第に増し、最後は「飛び回る」ような
アルページオとなって鍵盤上を駆け巡るのが印象的でして、
もしかすると《op.110》のこの箇所(70小節)に、そうしたアイディアを
反映させることができるのかもしれない、とも考えられそうです。

どこへ飛んでゆくのか・・・それは、人それぞれ、
自由なファンタジーの世界を思い描かれるのがいいのかもしれません

それにつけても、
「飛び回る」「飛翔」というテーマは、今の私にとって
これら3曲のベートーヴェン《後期ソナタ》における大事なキーワード
となっております。

つづく
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ベートーヴェン《後期3ソナ... | トップ | (つづき2)ベートーヴェン《... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。