音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

♪クラシック音楽の伝統を受け継ぐ真の音楽芸術家を目指して活動しています♪ 「YouTubeクラシック音楽道場」も更新中♪

◆ベートーヴェン《月光ソナタ》の“senza sordino”とは!?

2008年05月04日 | ベートーヴェン Beethoven
名曲ベートーヴェン《ピアノソナタ第14番 cis-moll op.27-2》
俗称《月光ソナタ》

久々にこの曲を弾いてみながら、
当然のことではあるのだけれど、でもひとつ
文章に書き記してみたい、と思ったことがあるのです。

------------------------------------------------

この有名な第1楽章の譜面には、
特異な指示が書き込まれています。


I楽章の始まりの強弱記「pp」の横には更に
「senza sordino」
という言葉が書き綴られています。



さて、これがクセモノ・・・


これはイタリア語なのですが、
「senza」は英語で言えば
「without無しで」という意味になりますが、
問題は
「sordino」


弦楽器を使われる方はこの言葉をご存知かもしれませんが、
弦楽器にとっての「sordino」とは、
「弱音器を使う」という指示を意味するようです。


それでは、ベートーヴェンがこの《ピアノソナタ》に記した
「sordino」とは、弱音器のことなのでしょうか?

「senza sordino」を「弱音器を使用しないで」と解釈しますと、
ピアノで言う弱音器とは、左ペダル(una corda pedalともいいます)
のことを意味しますので、では、左ペダルは使用しないで、
「pp」という極静かな音量を体現させなければならないのか、
これはなかなか難しい・・・一筋縄ではいかない!?・・・と思いきや!?


実は、
ここでいう「sordino」とは、
「弱音器」を意味していないというのです。


「senza sordino」を正確に
今のピアノという楽器に当てはまるようにいいなおすならば、
「ダンパー無しで」
という言葉が的確なのです。


ダンパーとは、
右ペダルに連動された、ピアノの弦を押さえているクッションのことで、
このペダルを踏むとき、ダンパーは弦から離れて、
ピアノの中にある数百本の弦は開放されて、全体が共鳴します。


そしてベートーヴェンは、《月光ソナタ》I楽章の冒頭に
「senza sordino」を書き記した・・・すなわちこれは、
「ダンパー無しで」=「ペダルを踏みっぱなしで」
ということになってしまうのです。


つづく



人気ブログランキング【ブログの殿堂】
↑一票、クリックお願いいたします↑
…………………………………………………………………
この記事に関するコメントやご連絡等ございましたら、
以下のアドレスまでメッセージをお送り下さい。
PianistSegawaGen@aol.com
…………………………………………………………………

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◆“《展覧会》 心の準備は ... | トップ | ◆《幻想曲風ソナタ“月光”》の... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。