柴田南雄 著『わが音楽 わが人生』より
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さて、
ローゼンストックへの回想が思いのほか長くなったが、
最後に要約しておきたいことがある(中略)
彼が両大戦間に典型的な新古典主義の演奏様式を、
鮮明に、絵解きのように目前に演じて見せてくれたこと。
わたしにとっては、
彼のたびたびの練習風景を実見したことが、
演奏批評やレコード評などにどんなに役立ったことか。
ひいては、
わたくしが声楽家や指揮者やピアニストたちの演奏様式を、
たんに美声とか上手とかでなく、
作曲様式の変遷と並行して、ロマン主義、表現主義、新古典主義、
戦後のトータル・セリー主義などに分類できることに思い至ったのも、
当時の現場体験がその根底にあると思っている。
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