ベートーヴェン作曲
《ピアノソナタ第29番 変ロ長調 op.106“ハンマークラヴィア”》
クラシック音楽における「ピアノソナタ」のジャンルにおいて
最も大きく、最も難解な音楽のひとつです。
今日、また一人、
生演奏のコンサートにおいて(←コンサートが生演奏なのは当たり前!?されど、
「当たり前」であるこそ、生演奏の存在意義は常に大きいのだと信じております)
東京文化会館(小)における
可児亜理さんのピアノリサイタル
ベートーヴェン、ピアノソナタ全32曲の連続演奏会の途上にあり、
今夜は、そのセミ・ファイナルのコンサートでした。
変ロ長調の二曲、
《第11番 op.22》《第29番 op.106》
が取りあげられた今夜。
演奏会の山は、やはり《op.106“ハンマークラヴィア”》
にあったと言ってよいでしょうか。
可児亜理さん(私は直接の知り合い)は、
カメラータ・トウキョウ社から
この《ハンマークラヴィア》のCDを発売しており、
レコード芸術「特選盤」を受賞されるなど、好評を博しているものです。
そして今夜、
それが、録音ではなく、
融通の利かない生演奏の本番でもって
試される日となったのだと思います。
そのプレッシャーたるや・・・
想像を絶するものがあったのではと思うのです。
録音の現場においては、やり直しがききます。
しかし、生演奏では、やり直しがきかない・・・
しかも、超難曲の《ハンマークラヴィア》を、
世にCDという形で発表した後、
コンサートにおいて演奏するというプレッシャーと恐怖・・・!!
僕自身が、幾度かこの《ハンマークラヴィア》を演奏したことによって、
この曲に対する愛着・主観が大きくなってしまうようには思いますが、
だからこそ!?
この曲を演奏する凄さ・恐ろしさ・集中力、そして
命を賭するかのようなパワーの必要性が
まざまざと感じられるような気がするのです。
そして可児さんは、
今夜、その演奏をやり遂げました!!
見事に、そしてとっても上手に!!
一人の人間が、巨大な山(以前こちらのブログにて《ハンマークラヴィア》を
チョモランマ(エベレスト)に例えたことがありました)
を、聴衆の眼前にて登りきる様を共有するのは、
大きな感動をもたらしてくれるものと思います。
可児さんのベートーヴェン・ツィクルス、
最終回は今年最後、12月2日に同じ会場、東京文化会館にて行われます。
最後はもちろん!?
ベートーヴェン最後のソナタ《第32番 ハ短調 op.111》が待っています。
音楽的な意味においても「最後」の《ソナタ》・・・
今から、聴くのが楽しみです。
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