音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

♪クラシック音楽の伝統を受け継ぐ真の音楽芸術家を目指して活動しています♪ 「YouTubeクラシック音楽道場」も更新中♪

ピアノソナタ、されどピアノ曲にあらず!?

2006年05月15日 | ベートーヴェン Beethoven
ピアノを弾く我々が、大作曲家ベートーヴェンに最も身近に、そして
実際に触れていく作品は、ピアノ曲であることは間違いありません。

《ピアノソナタ》は、ベートーヴェンのピアノ作品群の中でも、作曲者が力を入れて書いた、この上無く充実した音楽達であると言って過言ではありません。
全32曲の《ピアノソナタ》において、一曲として「駄作は無い」と言い切って良いと思います。(そもそも、「駄作」かどうかを考えるのは、非常に難しく、危ないことと考えています・・・もしも自分がある作品を「これは駄作だ」と言ってしまうことで、自分のその作品に対する無理解を露呈しうてしまうような・・・
小学生の頃「バカって言ったヤツが馬鹿なんだぞ~」って子供同士で言い合っていた記憶がありますが・・・まさにその通りなのでは!?)


ところで、
そんな《ピアノソナタ》なのですが、
ピアノ曲でありながら、ベートーヴェンの頭の中では、果たして「ピアノ」という楽器の音が鳴っていたのかどうか!?を考えてみますと・・・
あるひとつの《ピアノソナタ》を巡って、演奏する者、あるいは聴く人は様々に思いを巡らせて愉しむことができると思うのです。

例えば
●ピアノ曲でありながら《弦楽四重奏》のように聴こえる作品。
●ピアノ曲でありながら《交響曲》、すなわちオーケストラのように聴こえる作品
があると思います。


さらに具体的に申しますと、
再来週の自分のコンサートに向けて準備をしています、

ベートーヴェン 《ピアノソナタ 9番 E-Dur(ホ長調) op.14-1》

は、まぎれもなく「弦楽四重奏」の曲想がみてとれます。(それどころか、
この曲は想像するまでもなく、作曲者自身によって《弦楽四重奏》に編曲されているらしいです)
四人の弦楽奏者が交互に歌い合っているさま、第1ヴァイオリンが朗々と歌うさま、チェロがブン・ブンと低音を鳴らすさま・・・ ヴィオラが「ちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃ」と黙々と伴奏を刻むさま・・・など、色々と想像することができます。

音楽の醍醐味のひとつとして、複数の奏者が絡み合ってまるで「会話」をしているように音楽が聴こえてくることがありますが、これはおもしろいです。

「人間は、ひとりぽっちで生きているんじゃないよ」・・・みたいな

そう、だからこそ!!
たった「ひとりぽっち」でピアノに向かって演奏する《ピアノソナタ》において、このような多人数の奏者を思い浮かべながら演奏することで、「脱ひとりぽっち」となることができるかもしれません。

人間は孤独・・・されど一人きりではない・・・
矛盾しているようで、どちらも真実です。不可思議なこの世です。

他にも、
《ピアノソナタ》でありながら《弦楽四重奏》のように聴こえるベートーヴェンの作品を自分なりに挙げるとするならば、
《ソナタ1番 op.2-1 f-moll(ヘ短調)》
《ソナタ5番 op.10-1 c-moll(ハ短調)》
そして・・・・異論がでてくるかもしれませんが、
今現在、自分が考えているところで
《ソナタ8番 op.13 c-moll(ハ短調) “悲愴”》も
弦楽四重奏的なのではないかと考えているのですが・・・・

さてさて、
もう一つのカテゴリーについて触れてみますと、それは
「交響曲的」すなわち「オーケストラ的」な曲想を持つ
《ピアノソナタ》も多々あるだろうということです。

次回のコンサートの準備のため、
《ソナタ2番 op.2-2 A-Dur(イ長調)》をさらいながら、

あ~~・・・オーケストラだな~~~  

と思うことが多々あるのです。
様々な楽器の種類が予想されたり、それは木管楽器のソロであったり、第1ヴァイオリンの合奏であったり、ホルンの豊かな響きであったり、あるいは全オーケストラがTuttiとなって大合奏するようであったり。
想像は尽きません。

この他にも、オーケストラ的なベートーヴェンのピアノ曲
《ソナタ3番 op.2-3 C-Dur(ハ長調)》
《ソナタ4番 op.7 Es-Dur(変ホ長調)》
《ソナタ21番 op.53 C-Dur(ハ長調)“ワルトシュタイン”》
《ソナタ23番 op.57 f-moll(ヘ短調)“熱情”》
《ソナタ28番 op.101 A-Dur(イ長調)》
《ソナタ29番 op.106 B-Dur(変ロ長調)“ハンマークラヴィア”》

などなど・・・・お、結構挙がりました。


こうなってくると、
ピアノを弾く者にとっては、大いにオーケストラの音楽を知っている方がいいことが分かってきます。想像力が豊かになります。具体的なオーケストラの音楽を知っていることで、それは想像を超えていよいよ具体性を増してその人にとってのハッキリとしたファンタジーとなって現れるかもしれません。
こうなってくると・・・・・たのしいですね!!!
「いや~、音楽っていいな~!!」って言いたくなってしまうのですね。


今回の二通りに限らず、ピアノソナタを他の楽想に置き換えて聴く方法は、他にもあると思います。オペラのアリアのようであったり、合唱曲のようであったり、あるいは純粋にピアノのための音楽であったり・・・

無理やり区分けする必要は全く無いのですが、《ピアノソナタ》を聴きながら音楽を愉しむひとつの方法として、長々と書いてみました。
(しかし、何で自分は文を書くとずらずらと長くなってしまうのだろう・・・もっと、短くすっきりと書きたいのに・・・独り言)



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「音楽で太陽が昇る」をふた... | トップ | 微妙な違いにファンタジーを... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。