音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆僕の先生の先生は、ラヴェルに非常に近しい人でした

2008年05月21日 | ラヴェル Maurice Ravel
先ほど、母校の図書館に忍び込み(←いや、許可証はちゃんと取りました)
今度の23日のリサイタルに取り上げます作曲家
モーリス・ラヴェルについて、伝記本を読み漁っていました。


すると、
今更ながら、ふと、大事なことを気付いたのでした。


僕の先生は、昨年までのドイツ留学期間中にお世話になった
クラウス・シルデ先生です。
そのシルデ先生はドイツ人ではありますが、
20代の頃、パリにて数年間勉強をしていたそうです。
留学ということですね。

そして、
その時にシルデ先生が師事していた先生というのが、



マルグリット・ロンMarguerite Long女史


この女流ピアニストは、20世紀のピアノ史に欠かせない
フランス人ピアニストの代表的な一人です。
今日では、パリにおけるあの有名な「ロン・ティボー・コンクール」に
彼女の名残をみとめることが出来ましょう。
そして、
彼女の最も重要な特徴のひとつと言えるのが、
作曲家モーリス・ラヴェルの作品を数多く手がけ、
ラヴェル自身とともに音楽の仕事をした人であったということです。



第一次世界大戦が終わって
亡き戦友達に捧げられた《クープランの墓》というピアノ曲は
マルグリット・ロンによって初演されました。

そして、その終曲《トッカータ》は、戦地に散った彼女の夫
ジョゼフ・ド・マルリアーヴ氏に捧げられた音楽です・・・


亡き夫に捧げられた曲を、演奏する女性の気持ちというのは
一体どんなものなのでしょう・・・


その後のラヴェルの晩年の大作《ピアノ協奏曲》が献呈されたのは
このマルグリット・ロンにでした。そして、彼女が初演しました。

ラヴェルとロンという二人の音楽家の絆は
このように、様々な形で残っているのです。


そして、そのマルグリット・ロンに師事していた
クラウス・シルデという音楽家は、今日なお齢80を越えて
活動しています。今日は先生のデュオ・リサイタルが
学芸大学のホールで開かれます。

先生がフランス物の音楽のレッスンをする際には、
ふと、フランス語が飛び出すことがあります。先日の公開講座では、
フランス語をしゃべれる生徒さんを相手に、シルデ先生が
フランス語でレッスンを進めるのを隣で見ていたら、
きっと、
マルグリット・ロン女史は、このようにレッスンをして
いたのではないかな、と思ってしまったのでした。


クラウス・シルデを通して、マルグリット・ロンに触れる、
すなわちそれは、今日の我々が音楽を通して親しむ
作曲家モーリス・ラヴェルに限りなく近く身を寄せることとも
成り得るのではないでしょうか。


しかし僕は、何も
「僕の先生はすごい人なんだぞ~~」なぞと自慢をしたくて
こんなことを書いたのではないのです。
そんなちっぽけな心ではなく、ここには
もっと大事なものがあると思ったのです。



受け継がれるもの



人から人へ



時と場所を越えて



我々人間の・人生の・人類の醍醐味が
ここに垣間見られるような気がするのでした。




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