音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆曲目解説 ―G.P.テレマン(1681-1767)《「12のファンタジー」第3番 ロ短調》

2007年10月29日 | 音楽(一般)

 フルートという単旋律楽器は、
ピアノやギターといった和音を奏でられる楽器のように、
旋律とハーモニーの両方を同時に満足させることはできません。

しかし
テレマンのこの『無伴奏フルートのための12のファンタジー』は、
通常単旋律楽器が味わうことができないバスやハーモニーといった
一人何役もの音楽の世界を、たった一人で実現できる楽曲となっています。

バスやハーモニーの大きなインターバルを
たった一人で演奏するにあたっての
寸分の油断も許されない真剣勝負は
容易なことではありませんが、
その多声楽器では味わうことのできない醍醐味を
味わうことができるでしょう。

G.P.テレマンは、
18世紀当時はJ.S.バッハをも凌ぐほどの有名な大作曲家でした。
ドイツ各地の教会や宮廷でオルガニストや楽長を務めた後、
ドイツの大都市ハンブルグ市の音楽監督の地位を得、生涯を
この地で過ごし、この地の音楽発展に大きな功績をもたらしました。

テレマンは多作家であり、生涯を通じて
オペラやオーケストラ曲から室内楽、チェンバロ曲、
管弦楽曲など、その作曲数の総計は約四千曲にも
及ぶといわれていますが、彼はバロックの
フランス・イタリア・ドイツの様式を使いこなし、
この《12のファンタジー》も、
自由な構成、調性、拍子、舞曲・・・
など多種多様な姿を見せ、テレマンの多才な魅力が
余すところなく発揮されている作品集です。

今日演奏される第3番ロ短調は、
Largo~Vivace~Largo~Vivace
と緩急が交互する1楽章、そして
8分の6拍子の舞曲<ジーグ>の2楽章の
構成から成ります。
(文:葛西賀子)



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