さらに引き続き、ベートーヴェン《後期ソナタ》の類似性について
書いていきたいと思います。
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●ベートーヴェンの音楽において、特徴的とも言える
「長いTriller(トリル)」をいくつもの作品に見ることができましょう。
最後のソナタ《32番op.111》の終楽章、前々回ご紹介しましたよう
自由な変奏へと移り変わるところでは、高音部の長い長い「Tr.」が
非常に印象的に鳴り響き続けます(106小節~117小節、時間にすると
1分弱!?)。
この長い長い「Tr.」について思いつくことは、
《30番op.109》の最終変奏そのものすべてが
「トリルである」と考えることができるかもしれません。
四分音符→八分音符→三連八分音符→六連十六分音符→三十二分音符→Tr. と順をおって速度を増していく様、私の個人的なファンタジーでは、
速度と高度を増して、いよいよ
「天高く飛び立つ」ようなイメージがあります。
と考えてみますと、
《32番op.111》においても、もしかするとこうしたイメージを
照らし合わせ、曲全体の物語と結びつけることができるかもしれない、
そう感じました。
どこへ飛んでゆくのか
一概にはいえないものかもしれません。きっと人それぞれ、その時々、
思いつくまま感じるままのファンタジーに身をゆだねるのが
いいのでしょう・・・
ちなみに、
《op.111》このII楽章最後にも、再び長い「Tr.」が現れて、この音楽は
終結します。すなわち、ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲は
この特徴的な「長いトリル」でもって終結すると言っても
過言ではないのかもしれません(いや・・・ちょっと大げさかな・・・
いやそうでもないかな・・・)
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《op.109》《op.110》《op.111》の最後の三作品は、ピアノリサイタル等で、
3曲まとめてのプログラムで一晩のコンサートとなることも多く、
充実した、そして聴き手にとっても弾き手にとっても
非常に重みのある音楽会となります。
古今東西の多くの名ピアニスト達がこれを行っており、
また録音においても、この3ソナタのまとまったものが多くあるそうです。
多くの人間を魅了してやまない、この後期の3ソナタは、
まちがいなく、我々人類にとっての最高の宝物の一つに
位置づけてよいものと思われます。
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