音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆「semplice」の境地、ベートーヴェン《ピアノソナタ第32番op.111》

2007年04月04日 | 《32番op.111》
ベートーヴェンの最後のピアノソナタ
《32番op.111》は、「天上の音楽」と表現されることも
あるようで、今の自分にはこの音楽は人間の最期の姿を
彷彿させるようにも思われるのです。


II楽章は“Arietta”という表題が
ベートーヴェン自身によって付けられています。思えば、
奇妙な名前です・・・
“Aria”ではなく“Arietta”


テンポ指示はベートーヴェン自身の手により、
「Adagio molto semplice e cantabile」
とあります。


今日、ふと思いましたのは、この文章の中ほどにある
「semplice」
という言葉。日本語では
「簡単に」あるいは
「シンプルに」と言ってみたほうが
しっくり来る気もするのですが。
「簡素に」・・・というのもいいでしょうか。


「semplice」

冒頭に書きました「天上の音楽」「最期」という
この音楽を紐解くキーワードと
この語「semplice」は、どのように結びつくのでしょうか。

「semplice」

I楽章の荒々しいまでの典型的なベートーヴェンの
音楽を経て到達したこの終楽章(II楽章)、
ついに静けさを手に入れた、
静けさの境地に達した、
死を目前にした人間がたどり着いた境地を
「semplice」
という言葉は現しているのでしょうか。

簡単・・・だけど、奥の深い
あまりに奥の深い言葉・・・と、思ったのでした。








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