先日から引き続き、メトロノームについて考えてみます。
ここでは、
「ベートーヴェンとメトロノーム」をキーワードに
話を進めてみようかと思います。
◇◆◇◆
メトロノームの登場は、
1817年、Merzlという人の発明によるらしいのですが、
(時期的にはベートーヴェンでいうと後期)
ベートーヴェンはこれを評価し、翌年にはヴィーンの
『一般音楽新聞』に、サリエリと連名でこの器具の優秀性を
称賛し、推薦文を載せているそうです。(サリエリは音楽家、
映画『アマデウス』の進行役をする人と言えば、
ぴんと来る人が多いかもしれませんね)
さて、
ここで考えてみたいのは、
ベートーヴェンはどういう理由からこのメトロノームを
「優秀」として喜んだのかということです。
この時期のベートーヴェン、
難聴もすっかり進み、すでに筆談帳を使って
他人との会話を進めているほどですから、
そんな彼が、メトロノームをどのように使ったのかなと・・・
耳の聴こえないベートーヴェンが、
メトロノームを鳴らしながら、自分のテンポの乱れを直そうと
ピアノに向かって練習していたのでしょうか!?これは
あまりしっくりときません。
とすると、
彼のメトロノームの使い方は、
作曲家として、自分の作品の「正確なテンポ」を
具体的な数値として知らしめられることに、
この機械の有用性を見出したのではないでしょうか!?
ここに、
今の自分に考えられるメトロノームのふたつめの活用法を
まとめてみることができそうです。すなわち、
●「それは数値化された具体的な音楽のテンポ」を特定できる
という有効な活用法です。
20世紀を代表するピアニストの一人E.Fischerは
ひとつの音楽を勉強する際のある段階において、
「ここでいちばん大切なのは、正しいテンポを把握することである。
テンポが正しくて初めて、曲の急速調の部分も緩叙調の部分も、
正確な表現力をもつようになるのである。」
と言っています(『音楽観想』より)。
例えば、ある曲の「Allegro」というテンポ指定が、
♪=120
なのか、あるいはほんのちょっと遅めで
♪=112
がいい感じなのか、あるいは少々速めの
♪=132
がいいかもしれない、など
そんな微妙なテンポ感の差異を自覚することは、
高い音楽的感性の形成を目指すうえで
非常に重要なものと思われます。
ちなみに、
師匠Klaus Schilde先生のレッスンでは、
この具体的なメトロノーム数値を活用して、
その楽曲におけるより正確と思われるテンポを
見出そうとする姿勢をうかがうことができます。
作曲家自身の、あるいはその他の偉大な解釈家達の
メトロノーム数値の指定を吟味することは、
高い音楽的感性を養うこととつながるのではないかと
考えることができるかもしれません。
P.S.
とはいえ、
作曲家によるメトロノーム指定が、非常に演奏困難である
場合に遭遇することが多々あります。
「ベートーヴェンのメトロノームは壊れていた」
なぞという話が持ち上がることすらある有様・・・・
はてさて、
この問題、どう片付けたものか・・・残念ながら今の自分は
のー・あいでぃあです。(おしまい)
ここでは、
「ベートーヴェンとメトロノーム」をキーワードに
話を進めてみようかと思います。
◇◆◇◆
メトロノームの登場は、
1817年、Merzlという人の発明によるらしいのですが、
(時期的にはベートーヴェンでいうと後期)
ベートーヴェンはこれを評価し、翌年にはヴィーンの
『一般音楽新聞』に、サリエリと連名でこの器具の優秀性を
称賛し、推薦文を載せているそうです。(サリエリは音楽家、
映画『アマデウス』の進行役をする人と言えば、
ぴんと来る人が多いかもしれませんね)
さて、
ここで考えてみたいのは、
ベートーヴェンはどういう理由からこのメトロノームを
「優秀」として喜んだのかということです。
この時期のベートーヴェン、
難聴もすっかり進み、すでに筆談帳を使って
他人との会話を進めているほどですから、
そんな彼が、メトロノームをどのように使ったのかなと・・・
耳の聴こえないベートーヴェンが、
メトロノームを鳴らしながら、自分のテンポの乱れを直そうと
ピアノに向かって練習していたのでしょうか!?これは
あまりしっくりときません。
とすると、
彼のメトロノームの使い方は、
作曲家として、自分の作品の「正確なテンポ」を
具体的な数値として知らしめられることに、
この機械の有用性を見出したのではないでしょうか!?
ここに、
今の自分に考えられるメトロノームのふたつめの活用法を
まとめてみることができそうです。すなわち、
●「それは数値化された具体的な音楽のテンポ」を特定できる
という有効な活用法です。
20世紀を代表するピアニストの一人E.Fischerは
ひとつの音楽を勉強する際のある段階において、
「ここでいちばん大切なのは、正しいテンポを把握することである。
テンポが正しくて初めて、曲の急速調の部分も緩叙調の部分も、
正確な表現力をもつようになるのである。」
と言っています(『音楽観想』より)。
例えば、ある曲の「Allegro」というテンポ指定が、
♪=120
なのか、あるいはほんのちょっと遅めで
♪=112
がいい感じなのか、あるいは少々速めの
♪=132
がいいかもしれない、など
そんな微妙なテンポ感の差異を自覚することは、
高い音楽的感性の形成を目指すうえで
非常に重要なものと思われます。
ちなみに、
師匠Klaus Schilde先生のレッスンでは、
この具体的なメトロノーム数値を活用して、
その楽曲におけるより正確と思われるテンポを
見出そうとする姿勢をうかがうことができます。
作曲家自身の、あるいはその他の偉大な解釈家達の
メトロノーム数値の指定を吟味することは、
高い音楽的感性を養うこととつながるのではないかと
考えることができるかもしれません。
P.S.
とはいえ、
作曲家によるメトロノーム指定が、非常に演奏困難である
場合に遭遇することが多々あります。
「ベートーヴェンのメトロノームは壊れていた」
なぞという話が持ち上がることすらある有様・・・・
はてさて、
この問題、どう片付けたものか・・・残念ながら今の自分は
のー・あいでぃあです。(おしまい)