吉田秀和著 『現代の演奏』新潮社より抜粋
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要するに、
音楽作品にはこれが唯一正しい演奏だというものはあり得ないのである。
しかし、各人各様だということは、
そのどれもが、個人の勝手だということでは決してない。
皆が、その伝統と経験と音楽的感性や知性の限りにおいての、
個性と、作品との弁証法的なつながり方、対決から、
ひき出してきたぎりぎりの結論を与えているのである。
西洋音楽での演奏は、
型の芸術ではなくて、自由な芸術だというのは、
そういう意味である。
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