音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

♪クラシック音楽の伝統を受け継ぐ真の音楽芸術家を目指して活動しています♪ 「YouTubeクラシック音楽道場」も更新中♪

◆「フラット2個」が「c-mollハ短調」でもよい!? ~ 知識よりも音楽そのものを

2009年10月11日 | 音楽(一般)
クラシック音楽においては、
「調性」というものがあります。

これは音楽を始める初歩の段階において習うことでしょう。


それぞれの調性は、基本的には
五線譜の冒頭にある♯(シャープ)か♭(フラット)の数によって、
その音楽が何の調性だかが分かるようになっています。

●何もなければ、ハ長調C-Durかイ短調a-moll
●♯1個なら、ト長調G-Durかホ短調e-moll
●♯2個なら、ニ長調D-Durかロ短調h-moll
●♭1個なら、ヘ長調F-Durかニ短調d-moll
●♭2個なら、変ロ長調B-Durかト短調g-moll

などなど・・・etc・・・

●♯の付く順番を「ファ♯・ド♯・ソ♯・レ♯・ラ♯・ミ♯・シ♯」と覚えたり、
●♭の付く順番は「シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭・ソ♭・ド♭・ファ♭」と覚えたり、
それに属する調性の主音を、
●長調の♯系だったら順番に「ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ・ファ♯・ド♯」
●長調の♭系だったら順番に「ド・ファ・シ♭・ミ♭・ラ♭・レ♭・ソ♭」
という「完全5度」の周期として覚えてしまったり・・・


ざっと、
このような「規則正しい」ルールに則って
クラシック音楽における調性というものは出来上がっております。
(この「規則正しさ」こそは「天の摂理」に基づくもの!?
と感動を覚えなくもありませんし・・・)

これは慣れてしまうと、
色々な曲に向かい合う際に、
譜読み段階でもすぐさま、♯か♭の数によって
その調性感を把握でき、その音楽を捉えるのに
とても役に立つ知識となります。


さて、ところが・・・


今日はふと、
この、我々にとって「当たり前」と定着している知識を超えた
「音楽そのもの」を捉えるにあたって
目からうろこが落ちるような気がしたのです。


例えば、思い返せば
今までの自分の経験において、
この規則に則らない楽譜が出現することもありました。

そんなひとつは、
今年前半に演奏会で取り上げたバロックの作曲家
クヴァンツQuanz作曲の《トリオソナタ》において・・・

音楽は明らかに「ハ短調c-moll」でありながらも、
楽譜には「♭は2つ」しか付いていないのです。

普通はハ短調であるなら、♭は3つのはず・・・

その三つ目となる♭「変イAs」の音は、
楽譜にはいちいち臨時記号が付けられることで
用が足されているのです。


その演奏会の時は、
まぁ、そういう記譜法がバロックの頃にはあったのかな、
という程度に思っていたのですが・・・
プログラムにも疑いなく「ハ短調」と書きましたし・・・


しかしよくよく考えてみると、
ここに「記譜法」と「音楽」における
我々が習得する「調性の常識」にとらわれない
「音楽そのものの調性」を意識することの重要性を
今日は、ふと思ったのです。


♭が2つの楽譜、
でも音楽は聴く限り・演奏する限り明らかにハ短調、
だからこれはハ短調の音楽。

こう書いてしまえば、なんとも
当たり前・自明の理のことと思えます。
(コロンブスの卵!?)


そう・・・楽譜に書かれた記号の数に関わらず、
音楽そのものは、その常識にとらわれない
本当のその曲の調性があるのかもしれない、
と思えたのです。

ゆえに、我々が習得した
「記号の数と調性の関わり」というものは、
あくまでも便宜上のものとして、その価値をしっかりと認めながらも、
しかし一方では、それにとらわれ過ぎてしまっては
本当の音楽が見えなく・聴こえなくなってしまうのではないか!?
と思わされることとなったのです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◆音楽における感情の「込め方... | トップ | ◆クラシック音楽は多少難しい... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。