前回ご紹介いたしましたベートーヴェンの言葉達は、
すべて、あの有名な「不滅の恋人への手紙」からの抜粋です。
ベートーヴェンの死後、彼にとっての最も重要な
書類(株券)とともに隠されていた二つの書き物、
「ハイリゲンシュタットの遺書」と
この「不滅の恋人への手紙」
どちらの書も、その内容を紐解いてみると、
音楽家ベートーヴェンが生涯をかけて
仕事し続けた彼の手による楽曲達、
それらをより深く理解できるヒントが
この文中に内在されているように思われるのです。
注意すべきはおそらくは、
ただ単にこれらの書が、作曲者が自身の音楽を
後世の人々によりよく理解してもらえることを「狙って」の
架空の相手を想定したベートーヴェンの「単なる空想」
というわけではないでしょう。
生の言葉としてのふたつの書。
実際、「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた頃のベートーヴェンは
いよいよ絶望的に迫る音楽家としての最大の危機、
「難聴」と数年間にわたって孤独に対峙し、
幾度に渡っての死への誘いを乗り越え、ついには
音楽家として生きる覚悟に到達する過程は、
ウソ偽りのない、一人の人間の歩んだ人生の事実でしょう。
この「遺書」に生々しいまでに書かれる言葉もまた、
ウソ偽りのない、ベートーヴェンの真実の言葉であることを
疑うことはできません。
では、「不滅の恋人への手紙」は?
ベートーヴェンが熱烈に愛した女性は、
おそらくいたのでしょう。
不滅の恋人とは誰か・・・
それも大変興味深く、重要でもある問題でありますが、
その完全なる謎の解明は、もしかすると不可能なのかもしれません・・・
なぜなら、
ベートーヴェンはとうとう、一言もそれに触れずに死んでいったから。
決して口には出してはならない恋だったから!?
しかし、視点を変えてみると、
不滅の恋人が「誰であるか」という謎解き以上に、
「そういう人がいた」という事実があることに重きを置くことで、
この書のもつ意味は、いよいよ深みを増してくるようにも思えるのです。
前回、引用いたしました言葉の数々、
その言葉と同じことを、ベートーヴェンの音楽がしゃべっている、
そのように思える彼の作品は、探ってみれば探ってみるほどに
出てくるように思われるのです。
もしかすると、
ベートーヴェン自身、素直な気持ちで率直に書いた「遺書」と「手紙」、
書いてのち、自ら手にとって読み返し、それがベートーヴェン自身の
偽りのない真実の姿を現していることを見出し、我ながら驚き!?
これを自ら封印し、大切に保管していたのかもしれない・・・
そんな風に想像することも不可能ではないかもしれません。
作曲家自身の言葉を通しての楽曲への共感・理解。
その作品をより深く、より大きく、より多くの人間達が
それを享受することのできる可能性が秘められているのだとしたら、
この手紙の存在意義は、単なる謎解きに終わらない
一人の人間の、人間としての生き様をここに認めることのできる
生きた言葉として、今日なお、
その力は失われていないのではないでしょうか。
音楽に・人間に精一杯に生きたベートーヴェンの生きざま、
ここに我々は、心を・魂を揺り動かされるのかもしれませんね。
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すべて、あの有名な「不滅の恋人への手紙」からの抜粋です。
ベートーヴェンの死後、彼にとっての最も重要な
書類(株券)とともに隠されていた二つの書き物、
「ハイリゲンシュタットの遺書」と
この「不滅の恋人への手紙」
どちらの書も、その内容を紐解いてみると、
音楽家ベートーヴェンが生涯をかけて
仕事し続けた彼の手による楽曲達、
それらをより深く理解できるヒントが
この文中に内在されているように思われるのです。
注意すべきはおそらくは、
ただ単にこれらの書が、作曲者が自身の音楽を
後世の人々によりよく理解してもらえることを「狙って」の
架空の相手を想定したベートーヴェンの「単なる空想」
というわけではないでしょう。
生の言葉としてのふたつの書。
実際、「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた頃のベートーヴェンは
いよいよ絶望的に迫る音楽家としての最大の危機、
「難聴」と数年間にわたって孤独に対峙し、
幾度に渡っての死への誘いを乗り越え、ついには
音楽家として生きる覚悟に到達する過程は、
ウソ偽りのない、一人の人間の歩んだ人生の事実でしょう。
この「遺書」に生々しいまでに書かれる言葉もまた、
ウソ偽りのない、ベートーヴェンの真実の言葉であることを
疑うことはできません。
では、「不滅の恋人への手紙」は?
ベートーヴェンが熱烈に愛した女性は、
おそらくいたのでしょう。
不滅の恋人とは誰か・・・
それも大変興味深く、重要でもある問題でありますが、
その完全なる謎の解明は、もしかすると不可能なのかもしれません・・・
なぜなら、
ベートーヴェンはとうとう、一言もそれに触れずに死んでいったから。
決して口には出してはならない恋だったから!?
しかし、視点を変えてみると、
不滅の恋人が「誰であるか」という謎解き以上に、
「そういう人がいた」という事実があることに重きを置くことで、
この書のもつ意味は、いよいよ深みを増してくるようにも思えるのです。
前回、引用いたしました言葉の数々、
その言葉と同じことを、ベートーヴェンの音楽がしゃべっている、
そのように思える彼の作品は、探ってみれば探ってみるほどに
出てくるように思われるのです。
もしかすると、
ベートーヴェン自身、素直な気持ちで率直に書いた「遺書」と「手紙」、
書いてのち、自ら手にとって読み返し、それがベートーヴェン自身の
偽りのない真実の姿を現していることを見出し、我ながら驚き!?
これを自ら封印し、大切に保管していたのかもしれない・・・
そんな風に想像することも不可能ではないかもしれません。
作曲家自身の言葉を通しての楽曲への共感・理解。
その作品をより深く、より大きく、より多くの人間達が
それを享受することのできる可能性が秘められているのだとしたら、
この手紙の存在意義は、単なる謎解きに終わらない
一人の人間の、人間としての生き様をここに認めることのできる
生きた言葉として、今日なお、
その力は失われていないのではないでしょうか。
音楽に・人間に精一杯に生きたベートーヴェンの生きざま、
ここに我々は、心を・魂を揺り動かされるのかもしれませんね。
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