音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆ピリスさんの公案 ― 音楽とは何?

2007年11月13日 | 音楽(一般)
おもわず記事の表題に
「ピリスさんの公案」
と禅の用語を使ってしまいましたが、
なかなかいい言葉が見つかった!、と自己満足しています(笑)

それはさておき、
先日のマリア・ジョアオ・ピリスさんの
ワークショップの冒頭のお話を思い出したのですが、
ピリスさんは我々に対して、このような質問をしてきました。



What is music?
Is it Body?
Is it Mind?
Or, is it both of them?
Or, is it none of them?


音楽とは何?
それは身体?
それは思考?
それとも両方?
それともどちらでもない?



上の日本語訳がぴたりとはまっているかどうか
自信がありませんが、ようするには、
「Body」とは、音楽が身体に関わるものであるかどうか、
「Mind」とは、音楽は思考、頭を使って考えられるものなのかどうか、
そのような問いと解釈してよいと思われます。

「音楽」とは、そのどちらに属するものなのか?
どちらか片方か、両方か、
あるいはどちらかに偏りがあるか、
それとも、そのどちらでもないか、

ピリスさんは受講者の我々に、
四つの意見のどれに自分の考えが当てはまるか答えさせました。

ほとんどの意見は、「両方である」というものでした。
自分もその一人。(一言付け加えて、自分のホームページでも
紹介しております今の自分の音楽に向き合う姿勢、
「技術」「知識」「感性」という三本柱の考え方に基づいて、
その問いに対して「Both, and Feeling(両方、そして感性)」
と答えました。するとピリスさんがおっしゃるには
「感じること・感性は、Bodyの一部と考えてもいいのよ」
と。なるほど・・・これは自分にとっては面白い新意見でした。
「でも、あなたの言いたい事も分かるわ」と
フォローを入れてくださるピリスさん、
懐の広さが感じられます)



皆様はどのように思われますか?



皆の答えが出揃って、ピリスさんの考えが語られました。


私が思う音楽とは、みなさんのどの意見とも一致しません。
私は「Body」「Mind」どちらでもないものだと思う。
音楽は、どこかもっと別のところにあるもの。
それは、あなた方自身の中に既にあるものでもあり、
それは先生から教えられるものでもない、だって
あなた方の中にあるものなのだから・・・だから
あなた方は、それを自分で見つけなければならない。


What is music?


この問いに対するこの答えは、今の自分には
なんだか理解できる気もします。
ピリスさんの言葉を思い出しながら上の文章を書いていて、
ふと、愛読書エドウィン・フィッシャーの『音楽観想』より
「若き音楽家への挨拶」と大いに重なるものだな、
と思いました。

もしもピリスさんの問いが
How to play music?
であったのなら、
我々の答えは外れていたわけではないのかもしれません。
しかし、ピリスさんの問いは、あくまでも
What is music?


・・・・マリア・ジョアオ・ピリス禅師に一本とられました(笑)
自分もまだまだ未熟者です。修行に励まねば。



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