音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆とってもイタリアン、カラーチェ《マンドリン協奏曲》

2007年03月04日 | 音楽(一般)
演奏会を目前に、書きたいことがふつふつと浮かんで来ました。
勢いに任せて、一体どこまで書けるのやら・・・やってみます。


明日となりました、柴田高明くんとの
マンドリン・リサイタル、プログラムの最後を締める曲を
ここでご紹介してみようと試みます。


カラーチェ《マンドリン協奏曲 第1番》

「ラファエル・カラーチェ Raffaele Calace(1863~1934)マンドリン製作者。マンドリン音楽作曲家。イタリア/ナポリ生まれ。祖父の代からの弦楽器製作一家で、祖父はギター製作で、父アントニオはリュートとマンドリンの製作で著名。
 1985年に父が亡くなると息子のニコラとラファエルが製作を引き継ぐが1901年ニコラがこの仕事を放棄したのでラファエルが続けた。」
(以上、ネット上より引用)


マンドリン関係者にとっては当然のごとく名前の知れ渡っている
カラーチェという名前、恐れながら申し上げますが、
一般には知られていないよう・・・かくいう自分自身も恥ずかしながら
この作曲家の存在を知りませんでした。
しかし、
知られていないことが実力を現しているとは到底いい難い
最高の例のひとつが、このカラーチェの音楽だと
はっきり言うことができると思うのです。


上記に挙げました生没年を見てみると、
クラシック音楽の歴史における、後期ロマン派に
位置する頃かと気付かれる方もいらっしゃるかと思います。

カラーチェの音楽は、まさに後期ロマン派。

和声の円熟が相当の高みに達し、
調性がしっかりとありそうながらも、曲全体が
何調であるかを簡単に言うことができない・・・
ようするに、
複数楽章にまたがる楽曲(このコンチェルトは全3楽章)を、
始まりと終わりで調性を同じにしようという束縛から離れ、
自由自在に、音楽の・気分の・表現の赴くままに
調性が使い分けられるのです。それは、
「調性そのものの持つ力」を知った高い音楽性をかねそろえた
作曲家のなせる業、そう言うことができるかもしれません。

初め、このカラーチェの音楽に取り組みながら、
後期ロマン派という予想・前知識もあり、ふと
ドイツの後期ロマン派の権化(!?)、
リヒャルト・シュトラウスの影が素通りしたような気がしたのでした。

でも待てよ・・・カラーチェはイタリア人・・・
リヒャルト・シュトラウスはドイツ人・・・ま、いっか。

と、
しばらくの間はそれで自己納得していたのですが、
曲を勉強し、突き詰め続けてある日、
音楽の中に静かな「日の出」を思わせるようなイメージを
見出したのです。

II楽章、緩叙楽章ながらも寂しさと激情に満ちた
聴き応えたっぷりの音楽が終盤にさしかかり、
マンドリンのソロが、静かに、夜明けを告げるように
聴こえてきたのです。
・・・この静かなとつとつと夜明けの予感・・・
どこかで聴いたことがある・・・

あ、
プッチーニの《蝶々夫人》か!?

ついに、イタリア・後期ロマン派の彼らと
カラーチェの音楽が一致するようなひらめきに
到達することができたのです。


もつれていた糸がほどけるように、
色々なものが見えてきたような気がしました、

アポジャトゥーラ(イ音、これはメロディーを音楽的に
最高に美味しく仕立て上げる妙技、大作曲家達は、
この扱いを知っていると言えるのではないでしょうか)が
ふんだんに使われたマンドリンのソロは、まるで
イタリア・オペラにて歌手が朗々と歌い上げるアリアそのものの
ように聴こえてくるようになりました。

聴いていて、とろけてしまうような甘く切ないメロディー、
時に激しく、時に切なく、感情の暴露ともいえましょうか、
それが、音としてその姿を現している、
人の心と音のつながり、


心があって音となり、音があって心も鳴る


それは音楽芸術の最も理想的な高みということすらできましょうか


カラーチェは知っている・・・音楽の美しさを知っている


すごい人が、世の中にはまだまだ一杯いるのですね!!
うれしくなってきてしまう。


カラーチェの音楽、
素晴らしい音楽に出会うことができました。
そんなカラーチェに引き合わせてくれた柴田くんに感謝。ありがとう。


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