音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆曲目解説 ―C.ライネッケ ソナタ『ウンディーネ』 終楽章

2007年11月02日 | 音楽(一般)
【第四楽章】 Allegro molto agitato ed appassionato, quasi Presto - Piu Lento


幸せな結婚生活は突然の不穏をみせる。
この日、ウンディーネ、騎士、ベルタルダの三人は
ドナウ川下りに出かけた。ベルタルダの存在に、
水の国の使者は川を使ってからかい始める。
ウンディーネと出会って以来、水の国からの使者に
ずっと不当なからかいをうけていた騎士は、苛立ちがつのる。
ウンディーネは必死でそれを窘めたが、
とうとう耐え切れなくなってしまった騎士は、
水上でウンディーネを罵ってしまった。


その途端、刻はとまる・・・


悲しい嘆きとともに水底に消えるウンディーネ。
後悔に崩れ落ちるフルトブラント。


ウンディーネを失い騎士は悲哀のどん底に嘆き暮らすが、
ベルダルダの献身的な慰めにより、月日がたつにつれ
そんなベルタルダの存在をまた愛おしく思うようになり、
ついには再婚を決める。

一方のウンディーネは、水底の国でそんな現実を嘆いていた。
魂をもったまま・・。それは、騎士の行いを嘆いていたのではない。
もし、騎士が結婚するようなことになれば、掟で愛する人の命を奪いに
いかなければならない我が身の辛さに、身を引き裂かれそうにいた。
しかしそんなウンディーネの必死な願いは届かず、
結婚の式は執り行なわれた。
ウンディーネは再び、地上へと立ち上がらねばならなかった・・・。

婚儀の夜。
久々にフルトブラントの前にその美しい姿を現すウンディーネ。
フルトブラントは、その瞬間すべてを悟っていた。しかしその上で、
夢にまでみたウンディーネとの再会に喜び、抱けば死ぬと知っていながら、
その変わらぬ美しさのウンディーネをその腕に抱く。
それに静かに応えるウンディーネ。
ウンディーネの眼から、涙がこぼれた。
その涙の一滴が騎士の眼に入り、その瞬間、
鋭い痛みがその男の体を走り抜けていく。
次第に崩れ落ちるフルトブラント。
ウンディーネは、そうなってもまだ彼をしっかりと抱き続けていた・・・。



青空の下、悲しみとともに騎士の葬式が執り行なわれていた。
そして死の儀式が終わったとき、
ふとその騎士の墓のかたわらを、小さな泉が湧き出た。
それは、ウンディーネもまた水底で死を迎えたことを表していたのだった。
泉は、墓の周りをいつまでもゆっくりと巡る。
ウンディーネが騎士を愛し続けている限り―




*****




(文:葛西賀子)

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