ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

行列のできる人気店

2011年06月06日 | 食べ物

 

テレビでよくやる、行列ができる人気店の吉祥寺特集で必ずと言って取り上げられるのがある羊羹屋。ここは本当何十年も前からそういう状態で、昔早朝から並んでる人を見て何事かと思ったことがある。当時は今と違って情報も行き渡ってなく、地元の人間に聞いて初めてその正体が分かったくらいに一部の人間しか知らなかったのだが、どういう風に知るのか遠くからわざわざ買いに来る人間がいたのも事実だった。それを聞いて興味がわき(まだまだ若かった)、一度は食べて見たいと思った。そしてある日、買うために並んだ。兎に角朝早くに来ないと駄目だということで、6時前に店に行ったら、すでに結構な数の人がいて大丈夫かと不安が走った。そして、整理券を配る段になって本当にぎりぎりだったことを知る。

一人五本までという制限があり、実際皆五本購入していく(整理券とともに数を申告する)。そして私の番になったのだが、残り五本とい実質最後の一人だったのだ。すぐ後に並んでいる人の祈るような顔。ここではい残念でしたと五本購入するのが、まあ多くのケースかと思うが、別に祈るような顔に負けたわけではないが、目的が一本おすそ分けと味見するだけだったので、二本だけ予約した。後ろの人の嬉しそうな顔。しかし、その人が更に後ろの人のために一本だけにしたかというとそうはしない。世の中得てしてこんなものである。

そこまでして購入した羊羹は、果たしてそれほどの感動的な味だったのか。一番重要なのはそこだが、正直な所を言えば並んでまでして買うか?というものだった。別に不味くはなくそこそこ美味いが、感動的に美味いかと言えば全くそんなことはないし、そもそも羊羹というのは感動的に美味いものかという、根本的な疑問すら感じてしまった。これは、「行列ができる人気店で入手困難」という情報をあり難く受け取る人が、味を五割り増し或いは美味いと思い込み満足するという前提があって初めて成り立つ世界なのではないか。と、その後数回他の人気店に並んでみた上での結論。それ以降、人気店に並ぶ事は一切していない。

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