ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【演】オペラ 夕鶴

2006年02月14日 18時41分13秒 | 演奏記録
室蘭文化連盟創立30周年記念
オペラ 夕鶴
2006.2.12(日)15:00開演, 室蘭市文化センター, 入場料1000円
指揮 望月俊哉, 演奏 室蘭音楽協会 市民オーケストラ, パート 2nd Violin

作 木下順二 音楽 團伊玖磨  オペラ「夕鶴」

・室蘭文化連盟の30周年を記念した四大行事のうちのひとつとして企画された。外からプロを呼ぶのではなく市民の手作りでオペラを上演する、室蘭では初の試み。参加したのはオケをはじめ、合唱団体からは歌のソリスト、児童合唱団、バレエ団。また裏方として文化連盟役員やピアノの先生たち、大道具製作には美術系団体などなど、まさに街を揚げてのイベントでした。初の試みだけあって、自分を含め「オペラなんてやったことない」という人たちが大部分だったので、あちこち本当に苦労が多かったようです。ちなみにプログラムによると、前回の20周年記念が「光る海」(室蘭の歴史を辿るナンデモアリのトンデモ創作劇)だったのかぁ。このときもピットで弾いたが、もう10年も昔の話になるのかと。早いもんだなぁ~
・写真は、この会場では数(十?)年に一度しか拝むことのできない幻のオケピット。狭いピットでの演奏なので、弦の編成も6-6-4-4-2[人]と少人数だった。
・「夕鶴」あらすじ:「鶴の恩返し」などの題名でよく知られた童話そのまま。仲むつまじく暮らしていた、与ひょうとつうの前に、つうが織る千羽織に目をつけた悪巧み二人組の惣どと運ずが現れ、与ひょうをたらし込んでムリヤリつうに機を織らせる。機を織る間「覗いちゃダメよ」の約束を破ったがために、つう「ハイ。サヨ~ナラ~」
・このような複数団体の合同行事ではモメゴトがつきものですが、今回も例に漏れず。本番一ヶ月前に指揮者交代。演奏自体にはそう影響はなかったけれど、心にひっかかる。また、モメたわけではありませんが、事情により編成上各1本のクラリネットとオーボエも本番1週間以内に交代。よく、そんな無茶な依頼を受けてくれる代役見つけてきたもんだ。。。
・前日には「1stの音が壁際では飛ばない」とのことで、普段の1st、2nd Vnの配置を逆にした。お陰で私はコンマス気分(あくまでも気分だけ)。おまけに、それまで見えなかった舞台を見ながら弾ける特等席でした。あの位置に座ってしまうと、どうしても「オレサマに合わせろ!!」的弾き方になってしまうのは、Violin弾きの悲しい習性・・・
・そして、いよいよ開演!はじまってみると、リハ時には点いてなかった斜め前方からのライトがなぜか点灯し、一部の奏者がまぶしくて指揮がよく見えない状態に。休憩時に聞いた話では、開演と同時に指揮者用のスポットライトの電球が切れ、その代わりとして点けたとのこと。休憩時に電球交換をして後半は大丈夫だったけど、やっぱりこういう予期せぬトラブルってあるのですね。。。
・演奏自体は、指揮者が2拍子を3拍子で振ってくれたり、アチコチ足がでたりと細かいミスはありましたが、本番が一番良い出来だったと思います。ただ、「夕鶴」は第1幕(前半)約90分、第2幕(後半)約30分という構成で前半が長く、1時間近く経ったところで、集中力がかなり落ちました。金土日と三日連続の練習の疲れがどっと出た感じ。それでも最後の幕が降りはじめ、拍手が湧き起こるなかでの演奏は、さすがにグッときました。
・打ち上げのスピーチでは、いろいろな苦労話が聞けました。舞台小道具の鶴の羽は、苦労して手に入れた孔雀の羽を、白く着色。また、わら靴や蓑は、作れる人を探し回った末、わらで本当に手作り、等々。その他スピーチで印象に残った言葉をいくつか。舞台監督より「オペラは異種格闘技」、指揮者より「生きててよかった!」、某委員より「室蘭をオペラの街に!」、練習ではズレまくり周囲をハラハラさせた某キャストより「日が経つうちに、練習で失敗して皆から責められるのが、だんだん 快 感 になっていった」(←サスガ)
・演奏面の反省として、歌はマイクで拾うので気にせずバリバリ弾いて、との指示だったのですが、実際はところどころオケが大きすぎて歌を潰してる場面があった。合わせるのに必死で、音量にまで気をまわす余裕がなかった。
・まだまだ書ききれないほどいろんなことがありました。またオペラを弾いてみたい!是非!次はモーツァルトとか。
・客数約1200[目測] ほぼ満席。時おり雪がちらつきとっても寒い、まさに「夕鶴」日和(?)にもかかわらず、12時にはもう人が並びはじめ、会場を15分繰り上げた。しかし、アマチュアとはいえ、たったの1000円でオペラが聴けてしまうとは。とてもスゴイこと。
~~~~~~~
[2006.2.24追記]
ホームポスト[2006.2.24(金)]のコラム『紫煙』より抜粋
 室蘭文化連盟創立30周年記念事業の市民オペラ「夕鶴」は大変素晴らしかった。私も過去に「幕西坂」や「光る海」などの演劇で端役出演したことがあるだけに、今回関わった200名近い関係者の1年に及ぶ大変なエネルギーに脱帽である。しかも演出はじめスタッフ、キャスト、音楽(オーケストラ)、舞台美術まですべて市民手づくりが画期的。
 越後小百合演じる鶴の化身「つう」の無償の愛に、松島茂演ずる「与ひょう」が金銭欲に陥る過程はまさに今日的。金銭にからむ「与ひょう」の言葉が「つう」には通じないことや、鶴の影絵、最後に「つう」が消える時の照明の効果的利用等の演出が好ましく、勿論音楽や「つう」の心情を表すバレー、「つう」の衣装、舞台美術、子供達、悪役2人の男と全てがしっくりだった。まさに室蘭文化連盟史上最高の傑作で、「めだかの学校」など日頃の室蘭地方の文化活動の底力を如実に示したものだ。
芝垣美男(弁護士)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする