ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】宇宙と星

2006年10月31日 20時06分25秒 | 読書記録2006
宇宙と星, 畑中武夫, 岩波新書(青版)247(G12), 1956年
・天文学の入門書。渋い。 まだ、ビッグバンだとかブラックホールなどという言葉が創られる前の時代に書かれたものです。50年でこの進歩!古い本を読むことで天文学分野の発達の凄まじさを、逆に強く感じます。
・「全天の星を六等星までとると、全部でおよそ六千個になる。このうち、平均して半分は地面の下になっているし、地平線近くの星が見えにくいことを考えに入れると、一時に見える星の数はまず二千個と言うべきあろう。無数にあるように見えて案外少ないものだ。」p.2
・「星座の区分と名は、古代文化の起こった国々にそれぞれ固有であるが、今われわれが親しみ使っている星座の起源は、四千年前のメソポタミヤの地にさかのぼると言われる。(中略)これらの星座は、その後エジプトやギリシャに伝えられて次第に形を整えていった。」p.7
・「太陽は中心から外まで全部ガス体です、と言っても、なかなか心から納得してもらえない。中心の方はやはりどろどろしているらしいとか、太陽にあんなにくっきり縁があるのは表面が固まっているからだとか、あるいはガスならばどこかへ飛び散ってしまう筈だのに、と思われる人が多いと思う。」p.50
・「即ちわれわれの目は、太陽が出している光の極大のところで一番感度がよくなっているけれども、これはおそらく偶然の一致ではないと思う。人間の目は太陽の出す光を最も有効に利用して物を見るように造られたものではなかろうか。」p.70
・「銀河系のなかで星間物質がこのように多いこと、星間物質が星と同じように銀河系のなかで円盤状に存在すること、これらは星間物質の著しい特徴である。」p.93
・「大きく言えば、宇宙のあらゆる天体は、二つの種族に分けて考えることができるのだ。(中略)球状星団のような種族を第二種族、これに対してわれわれの近く、あるいは散開星団のような種族を第一種族と呼ぶ。」p.96
・「太陽が熱くなるというこの考え方は、今までの太陽進化論を根本から変えてしまった。古くからわれわれが信じていたのは、太陽が莫大なエネルギーを虚空に放つことによって、徐々に冷えているという考えであった。」p.131
・「星は何から生まれるのであろうか。ここに星間物質が再び登場する。星間物質は、遠くの星からの光を吸収し銀河系の構造を知るために重大な障害を与えるものとしてこの物語にはじめて登場した。次ぎに星間物質はアンドロメダ星雲の渦巻きの中に見られ、再び銀河系に戻って波長21センチの電波によって銀河系の渦巻きを知る手段として役立った。この星間物質が星を生む母胎なのである。」p.150
・「問題は、一つの銀河系の中に、なぜ年齢の違う二つの種族が共存しているのか、そしてそれらの間にはどういう関係があるかと言うことだ。」p.153
・「別の表現をすれば、星は星間物質を媒介として輪廻を繰り返しているのである。」p.156
・「言いかえれば、太陽の自転に比べて、惑星は速く廻りすぎているのだ。あるいは遠いところを廻っていると言った方がいいかも知れない。とにかく太陽系の示す廻転のありさまは、一つのガスから固まったとしてはとうてい説明できない矛盾をもっている。」p.164
・「なお本文では、アンドロメダ星雲の距離が、もともと68万光年であって、これを150万光年に改めたと書いたけれども、もともとが75万光年で、現在の値が175万光年だとする学者もある。またこの書物では、宇宙の年齢をすべて50億年ときめて書いてきたが、この値も改訂を要するであろう。ごく最近の研究では60億年という答も出ている。種族の発見を契機として、宇宙の構造や進化についての考えが今大きく変動しているのである。」p.183 現在ではアンドロメダ星雲までの距離が230万光年、宇宙の年齢は137億年とのことです。

?しし【孜孜】 学問、仕事などにひたすら励み努力してやすまないさま。孳孳(じじ)。
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