バイオフィードバックの驚異 心は血圧までコントロールできる, エルマー・グリーン/アリス・グリーン(著)、上出洋介/上出鴻子(訳)、角田忠信(監修), 講談社ブルーバックス B-821, 1990年
(BEYOND BIOFEEDBACK by Elmer and Alyce Green, 1977)
・予知や透視などのESP、地球外生命体、ガンの自然治癒などなど怪しげな話題が盛りだくさんですが、『トンデモ本』の一言では片づけられない、著者の豊富な経験からくる"重み"のある内容になっています。まだまだ現代科学では手の届かない領域の話なので、ブルーバックスの編集部もこの内容で出版するのを迷ったのではないでしょうか。
・今では「バイオフィードバック」というと世間ではそこそこ認知されているのでしょうか(よくわからん)。どうも日本には1980年前後に入ってきて今は下火になっているようです。調べてみると、こんな小物も売られているのですね。
GSR2 (バイオフィードバック)
http://lbpml.blog32.fc2.com/blog-entry-6.html
なんて怪しい・・・同様のものを自作すれば千円ほどで出来てしまうのではないか、と思えるようなチャチな雰囲気。しかし、この本を読んだ後では「ちょっと試してみようかな・・・」という気分になってしまいます。980円なら買ってもいいかなぁ。。。
・内容の正否について決着がつくのはまだまだ先の話になりそうですが、人間の体について、その構造についてはかなり細かい部分まで解明されているのに対して、それらがどのように協調して働いて生命活動を維持しているかという部分については、依然わからない事の方が多いのだな、と人体の不思議を感じる一冊でした。
・「こうして研究を続けているうちに、私たちは、人間にとって最も重要な問題は、心―体の古典的な問題(心が非物理的な力をもつかどうか)ではなくて、心を支配する"意志(volition)"と呼ばれるものがあるかどうかだ、ということがわかった。」p.27
・「医学書によれば、自律神経系を自分の意志でコントロールすることは不可能である、と書かれている。しかし、フィードバックを通して、自分の考えでコントロールすることがなぜ不可能なのか。不可能は理由は全くない。実際ヨガでは、ある程度コントロールできているではないか。」p.37
・「長期間にわたって自律訓練をおこなうと生理的に体がよくなり、さらに体や心の障害を克服する大きな力ともなる。不眠症、頭痛、喘息、慢性便秘の60から90%の治療に有意な効果があり、さらに発育不全、夜尿症、恐怖症などにも有効であることが臨床的に示されている。」p.39
・「バイオフィードバックの基本は、心臓、体温、脳波、血圧、そして筋緊張度など、体のプロセスや状況についての今の情報を得ることである。その情報はふつう、記録、光や音によって本人に与えられる。バイオフィードバックの訓練とは、これらの情報を使って、その測られている状態を意識的に変えようとすることである。」p.40
・「ふつうの自律訓練と異なる点は、自律訓練にはフィードバック(閉回路)はないということである。」p.54
・「この原則は人間の機能の基本原則である。すなわち、どんな体の生理的変化でも心の状態の変化を伴い、逆に心の変化はすべて、意識状態、無意識状態を問わず、必ず対応する体の変化を伴う、というものである。」p.55
・「心が体を含むというこの思想は、いわゆる行動主義者の立場と全く逆である。(中略)今こそ、人間がロボットであるという考えから、もっと全体的な見方に変えるときである。」p.61
・「ある日、彼女は「バイオフィードバックは私の感情と体を変えただけでなく、心まで変えましたわ」と、次のような話をしてくれた。」p.76
・「奇妙な言い方ではあるが、"家族の許可なく"病気から回復した患者は、健康を保持できないものである。家族は、大きな有機体のように働き、免疫作用をする。」p.86
・「自己訓練法で大事なことは、一日に一回でいいから、リラックスした気持ちで自分の無意識の領域に自分の望むことを告げる時間をつくることを忘れてはならないことである。」p.91
・「ときどき、バイオフィードバックの研究者はガマの油売りに似ているという冗談を聞くことがある。(中略)一見、万能薬のように見えるのは、実はバイオフィードバックのせいではない。人間が体の中にもっている自己コントロール、自己治癒、自己バランスという能力を、バイオフィードバックという方法がひき出す役をしているだけなのである。」p.96
・「創造性は生まれつきのものとは限らず、シータ波トレーニング、つまり、注意の的を特定の方法でコントロールするトレーニングによって身につけることができるものなのである。」p.104
・「バイオフィードバック訓練の目的は、場から独立できるようになることである。」p.141
・「ホメオスタシスの使い方のよい例は、バイオリニスト、J・ハイフェッツによって熱っぽく語られている。むずかしいバイオリン協奏曲を一年練習していなくても、わずか一週間の練習でうまく弾けるようになる。一番初めに正しく勉強すること――これが秘訣である。」p.148
・「私たち自身に変化をもたらそうと決心すると、自分自身の中に反逆者を見てしまう。同様に、会社でも、街でも、国でも、世界でも、私たちは無意識のうちにいろいろな抵抗に遭っている。変化が正しく働くと、問題は解決し、病気は回復する。」p.149
・「第一段階の環境依存性は、右に述べたウィトキンの研究結果によるふつうにいう環境を指している。第二段階の環境からの超越というのは、全自律神経系から独立することである。」p.154
・「仏教の心理学は、自己同定の問題を問うている。私たちが知っているもの、あるいは、考えうるすべてのものをとり去ったあとに残るものは、空(void)である。この空は、無(nothing)とは違う。しかし、この残ったものを表現する言葉がないという意味で空である。――言語は、人間の心の散漫な形態である。空というのは、少なくとも28種類の経験を含んでいる。したがって、空には時間を超えた新しい次元が必要であろう。」p.156
・「私たち人間が、もし体のみであったならば、体が体をコントロールすることはできない。私たちが心のみであったら、心が心をコントロールできない、同じように、思考は思考をコントロールできない。したがって、自己をコントロールするものは、思考でも情緒でも、もちろん行動でもなく、何か超心理学的なものであると仮定するのが妥当である。」p.158
・「一般的なもうけ主義の心の訓練法のほとんどは、催眠術を使っている。」p.176
・「新しい心理物理学を心の科学の一部として加え、心と物質の相互作用を研究していくことは、科学の発展に新しい次元を拓くことでもある。これはトレミーからコペルニクス、あるいはニュートンからアインシュタインへの変化に匹敵するほどの大イベントであろう。」p.190
・「もし、心の減少が光のスピードによって制御を受けなければ、宇宙の生命と私たちの交流に新しい可能性が出てくる。」p.191
・「バイオフィードバック訓練の中でもとくに本書で強調しておきたいことは、シータ(θ)脳波が私たちの創造性を高めるために重要な意味をもつようになってきているということであります。」p.196
・「ということは、多くの電極からのデータをいかにうまく組み合わせて複雑な計算をしても、脳の意識領域をより正しく映し出すことはできないということです。」p.198
・「しかし、どれにしても、シータ波状態での夢想ほどには効率よく、パーソナリティや自己の障壁を超えることはできません。シータ波訓練により、グループの調和が計られ、人間関係が改善し、創造的可能性をもつことができるのです。」p.204
・以下、訳者あとがきより
・「この本は、1977年にアメリカで出版され、1989年再版された、グリーン夫妻による名著"Beyond Biofeedback"の約65パーセントの日本語訳です。」p.206
・「心の状態が体の変化に影響を与えることは、私たちがごく日常的に経験していることです。(中略)これは、超能力でも何でもありませんから、訓練を積むことにより、意志の力で体をコントロールすることができるようになるはずです。」p.208
(BEYOND BIOFEEDBACK by Elmer and Alyce Green, 1977)
・予知や透視などのESP、地球外生命体、ガンの自然治癒などなど怪しげな話題が盛りだくさんですが、『トンデモ本』の一言では片づけられない、著者の豊富な経験からくる"重み"のある内容になっています。まだまだ現代科学では手の届かない領域の話なので、ブルーバックスの編集部もこの内容で出版するのを迷ったのではないでしょうか。
・今では「バイオフィードバック」というと世間ではそこそこ認知されているのでしょうか(よくわからん)。どうも日本には1980年前後に入ってきて今は下火になっているようです。調べてみると、こんな小物も売られているのですね。
GSR2 (バイオフィードバック)
http://lbpml.blog32.fc2.com/blog-entry-6.html
なんて怪しい・・・同様のものを自作すれば千円ほどで出来てしまうのではないか、と思えるようなチャチな雰囲気。しかし、この本を読んだ後では「ちょっと試してみようかな・・・」という気分になってしまいます。980円なら買ってもいいかなぁ。。。
・内容の正否について決着がつくのはまだまだ先の話になりそうですが、人間の体について、その構造についてはかなり細かい部分まで解明されているのに対して、それらがどのように協調して働いて生命活動を維持しているかという部分については、依然わからない事の方が多いのだな、と人体の不思議を感じる一冊でした。
・「こうして研究を続けているうちに、私たちは、人間にとって最も重要な問題は、心―体の古典的な問題(心が非物理的な力をもつかどうか)ではなくて、心を支配する"意志(volition)"と呼ばれるものがあるかどうかだ、ということがわかった。」p.27
・「医学書によれば、自律神経系を自分の意志でコントロールすることは不可能である、と書かれている。しかし、フィードバックを通して、自分の考えでコントロールすることがなぜ不可能なのか。不可能は理由は全くない。実際ヨガでは、ある程度コントロールできているではないか。」p.37
・「長期間にわたって自律訓練をおこなうと生理的に体がよくなり、さらに体や心の障害を克服する大きな力ともなる。不眠症、頭痛、喘息、慢性便秘の60から90%の治療に有意な効果があり、さらに発育不全、夜尿症、恐怖症などにも有効であることが臨床的に示されている。」p.39
・「バイオフィードバックの基本は、心臓、体温、脳波、血圧、そして筋緊張度など、体のプロセスや状況についての今の情報を得ることである。その情報はふつう、記録、光や音によって本人に与えられる。バイオフィードバックの訓練とは、これらの情報を使って、その測られている状態を意識的に変えようとすることである。」p.40
・「ふつうの自律訓練と異なる点は、自律訓練にはフィードバック(閉回路)はないということである。」p.54
・「この原則は人間の機能の基本原則である。すなわち、どんな体の生理的変化でも心の状態の変化を伴い、逆に心の変化はすべて、意識状態、無意識状態を問わず、必ず対応する体の変化を伴う、というものである。」p.55
・「心が体を含むというこの思想は、いわゆる行動主義者の立場と全く逆である。(中略)今こそ、人間がロボットであるという考えから、もっと全体的な見方に変えるときである。」p.61
・「ある日、彼女は「バイオフィードバックは私の感情と体を変えただけでなく、心まで変えましたわ」と、次のような話をしてくれた。」p.76
・「奇妙な言い方ではあるが、"家族の許可なく"病気から回復した患者は、健康を保持できないものである。家族は、大きな有機体のように働き、免疫作用をする。」p.86
・「自己訓練法で大事なことは、一日に一回でいいから、リラックスした気持ちで自分の無意識の領域に自分の望むことを告げる時間をつくることを忘れてはならないことである。」p.91
・「ときどき、バイオフィードバックの研究者はガマの油売りに似ているという冗談を聞くことがある。(中略)一見、万能薬のように見えるのは、実はバイオフィードバックのせいではない。人間が体の中にもっている自己コントロール、自己治癒、自己バランスという能力を、バイオフィードバックという方法がひき出す役をしているだけなのである。」p.96
・「創造性は生まれつきのものとは限らず、シータ波トレーニング、つまり、注意の的を特定の方法でコントロールするトレーニングによって身につけることができるものなのである。」p.104
・「バイオフィードバック訓練の目的は、場から独立できるようになることである。」p.141
・「ホメオスタシスの使い方のよい例は、バイオリニスト、J・ハイフェッツによって熱っぽく語られている。むずかしいバイオリン協奏曲を一年練習していなくても、わずか一週間の練習でうまく弾けるようになる。一番初めに正しく勉強すること――これが秘訣である。」p.148
・「私たち自身に変化をもたらそうと決心すると、自分自身の中に反逆者を見てしまう。同様に、会社でも、街でも、国でも、世界でも、私たちは無意識のうちにいろいろな抵抗に遭っている。変化が正しく働くと、問題は解決し、病気は回復する。」p.149
・「第一段階の環境依存性は、右に述べたウィトキンの研究結果によるふつうにいう環境を指している。第二段階の環境からの超越というのは、全自律神経系から独立することである。」p.154
・「仏教の心理学は、自己同定の問題を問うている。私たちが知っているもの、あるいは、考えうるすべてのものをとり去ったあとに残るものは、空(void)である。この空は、無(nothing)とは違う。しかし、この残ったものを表現する言葉がないという意味で空である。――言語は、人間の心の散漫な形態である。空というのは、少なくとも28種類の経験を含んでいる。したがって、空には時間を超えた新しい次元が必要であろう。」p.156
・「私たち人間が、もし体のみであったならば、体が体をコントロールすることはできない。私たちが心のみであったら、心が心をコントロールできない、同じように、思考は思考をコントロールできない。したがって、自己をコントロールするものは、思考でも情緒でも、もちろん行動でもなく、何か超心理学的なものであると仮定するのが妥当である。」p.158
・「一般的なもうけ主義の心の訓練法のほとんどは、催眠術を使っている。」p.176
・「新しい心理物理学を心の科学の一部として加え、心と物質の相互作用を研究していくことは、科学の発展に新しい次元を拓くことでもある。これはトレミーからコペルニクス、あるいはニュートンからアインシュタインへの変化に匹敵するほどの大イベントであろう。」p.190
・「もし、心の減少が光のスピードによって制御を受けなければ、宇宙の生命と私たちの交流に新しい可能性が出てくる。」p.191
・「バイオフィードバック訓練の中でもとくに本書で強調しておきたいことは、シータ(θ)脳波が私たちの創造性を高めるために重要な意味をもつようになってきているということであります。」p.196
・「ということは、多くの電極からのデータをいかにうまく組み合わせて複雑な計算をしても、脳の意識領域をより正しく映し出すことはできないということです。」p.198
・「しかし、どれにしても、シータ波状態での夢想ほどには効率よく、パーソナリティや自己の障壁を超えることはできません。シータ波訓練により、グループの調和が計られ、人間関係が改善し、創造的可能性をもつことができるのです。」p.204
・以下、訳者あとがきより
・「この本は、1977年にアメリカで出版され、1989年再版された、グリーン夫妻による名著"Beyond Biofeedback"の約65パーセントの日本語訳です。」p.206
・「心の状態が体の変化に影響を与えることは、私たちがごく日常的に経験していることです。(中略)これは、超能力でも何でもありませんから、訓練を積むことにより、意志の力で体をコントロールすることができるようになるはずです。」p.208