昨年10月,米国立老化研究所とスペイン,英国の共同研究にて,スペイン・バスク地方の大家系を含む常染色体優性遺伝形式の家族性パーキンソン病家系の連鎖解析が行われ,家族性パーキンソニズムPARK8(12p11.2-q13.1)の原因遺伝子が同定された.そして原因遺伝子であるleucin-rich repeat kinase 2 (LRRK2)遺伝子の遺伝子産物はdardarinと名づけられている(dardarinはバスク語で「震え」を意味する).結果的にLRRK2遺伝子変異はバスク地方と英国に居住するパーキンソニズム5家系で発見された.
今回,LRRK2遺伝子変異のうち,既報のGly2019Ser変異の頻度を検討した研究が報告された.対象は独立した358家系に由来する767名の家族性パーキンソニズムを呈した患者.結果として20家系に由来する35名(5%;95%CI, 3.1-6.1%)においてLRRK2遺伝子変異を認めた(うち1名はホモ接合).発症年齢は61.1±13.9歳,臨床症状は特発性パーキンソン病とほとんど違いを認めず(筋強剛100%,寡動94%,振戦77%,姿勢反射障害71%),進行は比較的緩徐であった.L-DOPAは有効で72%が5年以上L-DOPAが有効.また家族内の複数発症は必ずしも高くなく(37%),未発症例の影響のみならず,不完全浸透常染色体優性遺伝である可能性が示唆された.またホモ接合であった1名と他の症例との間で発症年齢,臨床症状に違いはなく,遺伝子量効果は明らかではなかった.
今回の研究ではGly2019Ser変異のみを検討しているが,LRRK2遺伝子はそもそも51 exonにも及ぶ巨大遺伝子であり,他の部位に変異を有する家系が存在する可能性は十分考えられる.いずれにしても欧米においては,LRRK2遺伝子変異は家族性パーキンソニズムのなかで最も高頻度ということになり,今後,本邦における検討が必要と言えよう.
Lancet Jan 18, 2005 (published on line)
今回,LRRK2遺伝子変異のうち,既報のGly2019Ser変異の頻度を検討した研究が報告された.対象は独立した358家系に由来する767名の家族性パーキンソニズムを呈した患者.結果として20家系に由来する35名(5%;95%CI, 3.1-6.1%)においてLRRK2遺伝子変異を認めた(うち1名はホモ接合).発症年齢は61.1±13.9歳,臨床症状は特発性パーキンソン病とほとんど違いを認めず(筋強剛100%,寡動94%,振戦77%,姿勢反射障害71%),進行は比較的緩徐であった.L-DOPAは有効で72%が5年以上L-DOPAが有効.また家族内の複数発症は必ずしも高くなく(37%),未発症例の影響のみならず,不完全浸透常染色体優性遺伝である可能性が示唆された.またホモ接合であった1名と他の症例との間で発症年齢,臨床症状に違いはなく,遺伝子量効果は明らかではなかった.
今回の研究ではGly2019Ser変異のみを検討しているが,LRRK2遺伝子はそもそも51 exonにも及ぶ巨大遺伝子であり,他の部位に変異を有する家系が存在する可能性は十分考えられる.いずれにしても欧米においては,LRRK2遺伝子変異は家族性パーキンソニズムのなかで最も高頻度ということになり,今後,本邦における検討が必要と言えよう.
Lancet Jan 18, 2005 (published on line)