機能性振戦は,機能性運動異常症のなかで最も頻度が高いと言われています.パンデミック禍で増加し,やはり機能性振戦がもっとも高頻度であることが報告されています(doi.org/10.1212/CPJ.0000000000001082).しかし診断は必ずしも容易ではありません.その診断に有益な診察所見として「アルキメデスの螺旋」を用いる方法がNeurol Clin Pract誌に報告されています.
まず「アルキメデスの螺旋」とは,中心からの距離が回転角に比例して大きくなっていくような渦巻線です.数式で表すと,極座標の方程式 r=aθ で表されます.3世紀にギリシアの数学者サモスのコノンが最初に研究し,その後アルキメデスによって研究されました.神経診察でもこの螺旋が使われます.内側なら曲線をなぞり,ふるえでどれだけ線からズレるかを調べます.ズレの軸が一方向か,多方向か,過剰な圧がかからないかなどを確認します.
著者らは機能性振戦3名における診察で,ところどころ線がループ状になり,まるで昔,流行したおもちゃのスリンキー(階段から勝手におりていくやつです)が伸びたような独特の外観(streched slinky sign)を示すことに気が付きました.小さい螺旋をなぞってもらうとループは大きくなりました.この特徴的なループは,長期間にわたって認められたことから,診断の手がかりとなる可能性があると著者は述べています.今後,多数例での検証が必要ですが,今後,注意してみていきたいと思います.
Wilson K.W. Fung, et al. “Stretched Slinky” Sign - Another Clue to Functional Tremor. Neurol Clin Pract. August 31, 2022,(doi.org/10.1212/CPJ.0000000000200075)
まず「アルキメデスの螺旋」とは,中心からの距離が回転角に比例して大きくなっていくような渦巻線です.数式で表すと,極座標の方程式 r=aθ で表されます.3世紀にギリシアの数学者サモスのコノンが最初に研究し,その後アルキメデスによって研究されました.神経診察でもこの螺旋が使われます.内側なら曲線をなぞり,ふるえでどれだけ線からズレるかを調べます.ズレの軸が一方向か,多方向か,過剰な圧がかからないかなどを確認します.
著者らは機能性振戦3名における診察で,ところどころ線がループ状になり,まるで昔,流行したおもちゃのスリンキー(階段から勝手におりていくやつです)が伸びたような独特の外観(streched slinky sign)を示すことに気が付きました.小さい螺旋をなぞってもらうとループは大きくなりました.この特徴的なループは,長期間にわたって認められたことから,診断の手がかりとなる可能性があると著者は述べています.今後,多数例での検証が必要ですが,今後,注意してみていきたいと思います.
Wilson K.W. Fung, et al. “Stretched Slinky” Sign - Another Clue to Functional Tremor. Neurol Clin Pract. August 31, 2022,(doi.org/10.1212/CPJ.0000000000200075)