Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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Shimizu反射をどのように用いるか?

2024年08月29日 | 医学と医療
当科では朝の時間をつかって神経症候学の勉強会をしております.私がコツコツ収集した神経症候の写真や動画のパワーポイントを順に見て解説していきます.これまで顔面編,眼球運動編,口腔咽頭編,手足編,皮膚編が終わり,今週の第9回目は反射編に入りました.その前編として腹壁反射・腹筋反射解離,上下肢の逆転反射とその解釈,さまざまなクローヌスとその誘発法,そしてBabinskiの5大反射とその間を埋める反射の講義をしました.最後のトピックスの例がタイトルのShimizu反射です.つまり上腕二頭筋反射(C5およびC6)と下顎反射(橋)の間には高位レベルの空白がありますが,それを埋める反射がShimizu反射(C3およびC4)になります.

Shimizu反射の正式名称はscapulohumeral reflex(Shimizu)で,整形外科医である清水敬親先生が報告されました(文献1).肩甲棘中央部ないし肩峰を叩打し(図1A, B),肩甲骨挙上と肩関節外転を観察します(図1C).ルーチンで行ってもよいですし,忙しい外来などでは上腕二頭筋反射の亢進がある時に,この反射を追加すると良いように思います.つまりShimizu反射が低下・消失していればC3-4椎間板高位に障害があることが分かり,亢進していればより頭側に障害があることが分かります.図1Bのように患者さんの背後から叩打しても良いですが,福武敏夫先生は,患者さんの正面から施行するために,肩甲棘中央部の前方の僧帽筋縁を叩打していると著書に書かれています(文献2).この反射は海外の動画でも分かりやすく紹介されています(https://www.dailymotion.com/video/x3bvbz_the-scapulohumeral-reflex-of-shimiz_news).

(文献)
1. Shimizu T, et al. Scapulohumeral reflex (Shimizu). Its clinical significance and testing maneuver. Spine (Phila Pa 1976). 1993 Nov;18(15):2182-90.
2. 福武敏夫.肩甲上腕反射(Shimizu)の変法.脊髄臨床神経学ノート―脊髄から脳へ―.三輪書店2014. pp15


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