コロナ禍において医学教育をバーチャル形式に変更する必要が生じた.とくに問診や神経診察が重要である神経学の教育は,バーチャル化により大きな影響を受けた.図のように非人間的になりがちなバーチャル・ラーニングは,neurophobia(神経恐怖症)を助長する可能性があるため工夫が必要である.
米国神経学会(AAN)バーチャルミーティングが開催中であるが,関心を持った教育セッションがあった.タイトルはTelecommunication and How to Create Effective Virtual Teaching Material(Dr. Doughty & Dr. Kaplan)である.このなかで「オンライン学習のための効果的なエビデンスに基づく10のヒント」を挙げていた.経験的な教育論ではなく,エビデンスに基づくものであった.10のヒントは,大きく環境づくりと教材とツールに分類できる.以下,10個のヒントを示すが,個人的に有用と思った工夫のメモを示す.神経学の医学教育のピンチは,やりようによっては大きなチャンスになりうることを実感した.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1)環境づくり
1. 講師としての存在感を示し,維持する
2. 生徒からのフィードバックとコラボレーションを奨励する
3. 多様性を尊重し,包括的で公平な学習環境を構築する
4. ライブと録画講義のバランスをとる
(2)教材とツール
5. ケース(症例)・ベースド・ラーニング(CBL)
6. マルチメディア神経解剖学リソースの活用
7. 学生の参加を促進するツール
8. 議論を促進し,質問を管理するための計画を持つ
9. 患者との有意義な交流を図る
10. 意味のある評価で学習を定着させる
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヒント1:講師としての存在感を確立し,維持する.
- 生徒は教師とのつながりを求めている
- 教員の関与が大きいほど学生の満足度と定着率が良くなる
- 学生との関係を構築するために,講義と関係のない会話もする
- 事前の教員紹介ビデオ視聴,毎日の連絡,講義後の双方向のやり取り.
ヒント2:学生のフィードバックとコラボレーションを奨励する
- セッション後に学生が(匿名で)フィードバックできる
- 学生の協力を促す-教育プログラムの改善などのアイデアを求める
ヒント3:多様性を尊重し,包括的で公平な学習環境を構築する
- 生徒の状況を認識する(インターネットや生活の環境の確認)
ヒント4:ライブと録画講義のバランスをとる
- 学生はライブ講義を好む
- ライブ講義は,1日3時間程度が効果的(90分×2回,30分休憩)
- 録画講義は長くすべきではない.15分以下が望ましい.
セクション2:教材とツール
ヒント5:ケース(症例)・ベースド・ラーニング(CBL)
- 神経解剖学を教えるためにケーススタディを使用する.
- 神経科学を臨床の学びに統合,応用することで,neurophobia対策になる
ヒント6:マルチメディア神経解剖学リソースの活用
- Functional Neuroanatomy, University of British Columbia, Canada(http://neuroanatomy.ca/)
- 2D神経放射線学,http://www.med.harvard.edu/AANLIB/cases/caseNA/pb9.htm など
ヒント7:学生の参加を促進するツール
- 投票機能,ウェブリンクやQRコード,ブレイクアウトルーム(仮説,治療計画,データ分析などのディスカッションに適する)の活用
ヒント8:議論を促進し,質問を管理するための計画を持つ
- 生徒の名前を覚え,信頼関係を築く
- 沈黙を受け入れる - オンラインではより重要
- チャットよりもアノテーション(注釈)を使い;チャットはZoom疲労を招く一方,アノテーションは,複雑な議論を促進する.
ヒント9:患者との有意義な交流を図る
- バーチャル患者インタビュー(学生は患者との交流を望む).
ヒント10:意味のある評価で学習を定着させる
- 学生が自分の学習を評価できるようにする
- オンラインでの不正行為を避けることが可能なオープンノート,オープンブック方式を採用した試験.
- 問題は,検索可能なものではなく,臨床的なビニェットに基づいた問題解決型のものとする.

米国神経学会(AAN)バーチャルミーティングが開催中であるが,関心を持った教育セッションがあった.タイトルはTelecommunication and How to Create Effective Virtual Teaching Material(Dr. Doughty & Dr. Kaplan)である.このなかで「オンライン学習のための効果的なエビデンスに基づく10のヒント」を挙げていた.経験的な教育論ではなく,エビデンスに基づくものであった.10のヒントは,大きく環境づくりと教材とツールに分類できる.以下,10個のヒントを示すが,個人的に有用と思った工夫のメモを示す.神経学の医学教育のピンチは,やりようによっては大きなチャンスになりうることを実感した.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1)環境づくり
1. 講師としての存在感を示し,維持する
2. 生徒からのフィードバックとコラボレーションを奨励する
3. 多様性を尊重し,包括的で公平な学習環境を構築する
4. ライブと録画講義のバランスをとる
(2)教材とツール
5. ケース(症例)・ベースド・ラーニング(CBL)
6. マルチメディア神経解剖学リソースの活用
7. 学生の参加を促進するツール
8. 議論を促進し,質問を管理するための計画を持つ
9. 患者との有意義な交流を図る
10. 意味のある評価で学習を定着させる
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ヒント1:講師としての存在感を確立し,維持する.
- 生徒は教師とのつながりを求めている
- 教員の関与が大きいほど学生の満足度と定着率が良くなる
- 学生との関係を構築するために,講義と関係のない会話もする
- 事前の教員紹介ビデオ視聴,毎日の連絡,講義後の双方向のやり取り.
ヒント2:学生のフィードバックとコラボレーションを奨励する
- セッション後に学生が(匿名で)フィードバックできる
- 学生の協力を促す-教育プログラムの改善などのアイデアを求める
ヒント3:多様性を尊重し,包括的で公平な学習環境を構築する
- 生徒の状況を認識する(インターネットや生活の環境の確認)
ヒント4:ライブと録画講義のバランスをとる
- 学生はライブ講義を好む
- ライブ講義は,1日3時間程度が効果的(90分×2回,30分休憩)
- 録画講義は長くすべきではない.15分以下が望ましい.
セクション2:教材とツール
ヒント5:ケース(症例)・ベースド・ラーニング(CBL)
- 神経解剖学を教えるためにケーススタディを使用する.
- 神経科学を臨床の学びに統合,応用することで,neurophobia対策になる
ヒント6:マルチメディア神経解剖学リソースの活用
- Functional Neuroanatomy, University of British Columbia, Canada(http://neuroanatomy.ca/)
- 2D神経放射線学,http://www.med.harvard.edu/AANLIB/cases/caseNA/pb9.htm など
ヒント7:学生の参加を促進するツール
- 投票機能,ウェブリンクやQRコード,ブレイクアウトルーム(仮説,治療計画,データ分析などのディスカッションに適する)の活用
ヒント8:議論を促進し,質問を管理するための計画を持つ
- 生徒の名前を覚え,信頼関係を築く
- 沈黙を受け入れる - オンラインではより重要
- チャットよりもアノテーション(注釈)を使い;チャットはZoom疲労を招く一方,アノテーションは,複雑な議論を促進する.
ヒント9:患者との有意義な交流を図る
- バーチャル患者インタビュー(学生は患者との交流を望む).
ヒント10:意味のある評価で学習を定着させる
- 学生が自分の学習を評価できるようにする
- オンラインでの不正行為を避けることが可能なオープンノート,オープンブック方式を採用した試験.
- 問題は,検索可能なものではなく,臨床的なビニェットに基づいた問題解決型のものとする.
