Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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ルリモハリモテラセバヒカル

2022年05月29日 | 医学と医療
標題は脳神経内科医が構音障害の診察のときに患者さんに復唱していただくフレーズです.先週,初期体験実習の医学部1年生が病棟に見学に来ました.その際,病棟医から「ルリモハリモは異常がありませんでした」という説明があり,きっと1年生はなんのことか分からないだろうと思い解説をしました.

「呪文のように聞こえるかもしれないけど,『瑠璃も玻璃も照らせば光る』ということわざだよ.石ころなどに交じっていたとしても,瑠璃(青色の宝玉)や玻璃(水晶)は光が当たれば輝きを放つ.つまりすぐれた素質や才能がある者は,どこにいても目立つというたとえだね.そういったひとは活躍の場を与えられれば能力をいかんなく発揮するという意味もある・・・」

翌日,若手医師は意味を知って使っているのか心配になり尋ねてみたところ,誰も知らず全滅でした.私の指導がなっていません(反省).

ではこの「ルリモハリモ・・・」はいつから診察に使われているのか・・・実は少なくとも1950年代から使用されている歴史あるものなのです.「復刻版 神経疾患の検査と診断(監修 東京大学医学部 沖中重雄教授)」は,昭和34年(1959年)に制作された16ミリフィルムを復刻したものですが,このなかで沖中先生がまさにこの診察をされています!(沖中先生は内科学と精神医学の狭間にあった神経学を確立させた先生です;下記の葛原茂樹先生論文参照).そして驚くのは「ルリモハリモ・・・」に限らず,1959年の冲中先生の神経診察法にまったく違和感がないことです.沖中先生の診察手技は脈々と引き継がれているのだなと思います.以下は以前,このDVDについて書いたブログの記事です.ご一読いただければと思います.

昭和34年の神経診察(ブログ)

葛原茂樹.日本神經學會創立(1902)から116年 ―歴史に学び教訓を未来に活かす


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