習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『スノーホワイト』

2012-07-20 23:28:49 | 映画
 戦う白雪姫という発想はすばらしい。だが、それだけで、2時間以上の映画を引っ張ることはできない。企画倒れである。単純なお話をそのまま、見せても途中で飽きる。前半はいいのだが、後半になると話の展開が悪くなり、最後はグタグタになる。新しい白雪を見せたのなら、お話のほうももっともっと進化しなければ、発想に追いつかない。  とはいえ、なかなかよく考えてあるし、継母と、白雪の確執も、オリジナルを踏まえなが . . . 本文を読む
コメント

劇想からまわりえっちゃん『赤い男の青い春』

2012-07-20 22:56:40 | 演劇
ウルトラマンの世界を舞台で見せる。僕の横に座っていた小学生には受けていた。学園物でもある。ウルトラ一族と、怪獣たちが同じ学校に通っていて、お互いに反目しあう。でも、主人公のウルトラマンとゼットンが協力してみんな仲良くなろうと努力するが、マンの兄弟たちが邪魔をする。なんだか学芸会のような芝居だ。円谷プロの協力が取り付けられなかったので、ウルトラマンとかいう、名前を使えなくて、「赤堀くん」という名前 . . . 本文を読む
コメント

『アメージング・スパイダーマン』

2012-07-20 22:55:06 | 映画
 『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督が、この超大作の監督として抜擢されたのは驚きだ。あの映画は青春映画の傑作だが、いかんせん小さな映画で、あれだけの実績から評価して『スパイダーマン』の新シリーズを委ねるなんて、大胆としかいいようがない。若くて実績もない才能を信じて彼にかなりのものを託す。この映画のプロデューサーにとっては命懸けの大冒険である。  結果はなかなかうまく機能したのではないか . . . 本文を読む
コメント

『崖っぷちの男』『ネイビーシールズ』

2012-07-20 22:49:23 | 映画
 面倒だから2本セットで書くことにする。映画は『崖っぷちの男』と『ネイビーシールズ』だ。こういうB級映画をまるで大作のように宣伝して、公開する。なんだか詐欺みたいだ。でも、観客はちゃんとわかっているから劇場はがらがらである。  まずは、『崖っぷちの男』から。大体このタイトルを見て、興味をそそられるなんて人はあまりいないのではないか。ビデオリリースでも十分な作品である。見ているぶんにはそれなりに楽 . . . 本文を読む
コメント

『スープ 生まれ変わりの物語』

2012-07-20 22:39:33 | 映画
 生瀬勝久初主演映画だなんて触れ込みだが、そんなのセールスポイントにはなりません。生まれ変わりをテーマにした映画だが、バランスが著しく悪い。前世の記憶を持ったまま生まれ変わって、成長した娘に会いに行くなんていう話で、感動させるのは無理。  しかも、生まれ変わってからは、生瀬はもう出てこないというのも、大胆だ。主役なのに、ラスト30分は一切登場しないのである。なんだかなぁ、と思う。もちろん映画は俳 . . . 本文を読む
コメント

『グスコーブドリの伝記』

2012-07-19 19:52:32 | 映画
杉井ギサブロー監督は30年振りに再び宮沢賢治に挑む。しかも、前回と同じようにますむらひろしのキャラクターデザインで、前作の続編のようなスタイルを踏襲する。映画史に残る永遠の傑作『銀河鉄道の夜』を超える映画を作らなくてはきっと誰も納得しないはずだ。こんなリスクの大きいプロジェクトはない。でも、杉井ギサブロー監督は、軽やかにこの企画に乗っかって、プレッシャーも感じることなく、さらりと作った。(ように . . . 本文を読む
コメント

『ヘルタースケルター』

2012-07-19 19:51:20 | 映画
 沢尻エリカ主演の衝撃の大作映画。写真家である蜷川実花監督の『さくらん』に続く新作になる。このスキャンダラスな素材を敢えて沢尻主演で作るというとても攻撃的で挑発的な挑戦。こういう映画を、今の若い女の子たちがどう受け止めるのか、気になるところだ。  落ち目の芸能人を裸にしてそれで売るなんていう三文映画って昔はたくさんあった。にっかつロマンポルノなんて、それでどれだけ稼いだことか。でも、今時そんな映 . . . 本文を読む
コメント

『シャークナイト』

2012-07-19 19:48:40 | 映画
 こんなつまらない凡作を敢えて劇場で公開してしまうって、何事だろうか? 東宝系の劇場で全国一斉公開である。こんなもの、以前だったら、ホクテンザで、2本立、2週間、単館公開という黄金のパターンのはずなのだ。だいたいこの映画って、本国では3D公開である。なのに、日本ではまるで、そんなこと、おくびにも出さない。映画館で、映画が始まり、スクリーンにタイトルが出て初めてその事実を知った。『シャークナイト3D . . . 本文を読む
コメント

『苦役列車』

2012-07-18 22:49:33 | 映画
 久々に山下敦弘監督らしい映画ではないか。でも、こんなにも貧乏くさい映画を、全国東映系で一斉公開するなんて、なんだかとても勇気ある行為だ。いくら前田敦子が出ていてもそんなものほとんどなんの効果もない。1986年なんていう時代設定も、今の観客にしてみれば何の興味も惹かないだろう。「なに、それ、」って感じだ。もちろん芥川賞受賞作品の映画化なんて言うのも、まるで意味をなさない。大体、日雇い労働者を主人公 . . . 本文を読む
コメント

ニットキャップシアター『ピラカタ・ノート』

2012-07-18 22:18:33 | 演劇
 『ヒラカタ・ノート』はずっと見たかったお芝居だ。でも、なんだか機会がなくて、今まで見れなかった。今回そのバージョンアップ作である本作を見ることができて、とてもうれしい。ごまのはえさんの自伝的作品なのだろう。枚方の団地で生まれ育ったひとりの少年が、自分と自分の周りの世界をどんな目で見て生きてきたのかが、いくつものエピソードの積み重ねの中で描かれていく。  だが、ほんとうはそんな単純な構造ではない . . . 本文を読む
コメント

劇団925『私の秘密の冒険の話』

2012-07-18 22:17:48 | 演劇
 これはとっても小さな初恋の物語だ。中西邦子さんの自伝的作品、なのかもしれない。あまりにさわやかで、でも、ささやか過ぎて、なんだか恥ずかしい。声に出して友だちに、あるいは、もっと漠然と、周囲の誰かに、話すことすらできないような、話である。本人には大事なことでも他人にとってはどうでもいいようなことってある。それがこれなのだ。だから彼女はそれをお芝居にした。ひっそりと小声でおしゃべりするように始まる。 . . . 本文を読む
コメント

『さらば復讐の狼たちよ』(改訂版)

2012-07-18 22:16:56 | 映画
 チャン・ウエンがこの大作映画を手掛け、国内ナンバー1ヒットを記録したことを喜びたい。こういう国民的娯楽大作が、中国で作られ、それは同時に芸術作品としても歴史に残るものであること。その事実を心から喜びたい。これは中国映画の『七人の侍』である。ストーリー面での類似だけではなく、いや、それ以上に大事なことは、その精神面である。  チャン・ウエン演じる男は盗賊団のリーダーであるだけではなく、体制と戦い . . . 本文を読む
コメント

『ガール』

2012-07-18 22:15:11 | 映画
 女たちはものすごく頑張る。そんなに頑張ったらきっと疲れて、倒れてしまうよ、と思う。たまには息抜きをしなくちゃ。でも、彼女たちにはそんな余裕はない。全身全霊で全力投球。涙ぐましい。これが男だったなら、こんなにも頑張らなくても、同じくらいにやれたはずだし、生きていきやすいだろう。  だが、彼女たちは女に生まれたことを恨んだりはしない。それどころか、100回生まれてきても、100回とも女でありたい、 . . . 本文を読む
コメント

水見洋平『夏色のスクリーン』

2012-07-18 22:10:36 | その他
 このあまりの感傷に、ついていける人はほとんどいない。自伝的小説といっても、ここまで自分に(自分の世界に)作者自身が酔ってしまってはいけない。これでは読者が退いてしまうこと必至だ。僕はこの人と全く同年代だからこの人の考えていることや、感じたこと、時代の気分は十分にわかる。だから共感できるけど、それにしても甘すぎるし、小説としての批評性はここにはない。素人のマスターベーション小説としか、いいようがな . . . 本文を読む
コメント

May『ファンタズマゴリー』

2012-07-17 22:39:16 | 演劇
 この小さな一歩は、とても大事な始めの一歩となる。これまでどんどん加速するように大きな話を作り続けてきた金哲義が『ボクサー』で大河ドラマとしての自分史の完成形を極めた。そこで、「家族のこと、生野のこと、在日朝鮮人であること」といった自分を巡るいくつもの問題ととことん向き合い、それをドラマにしたのだが、今、とりあえずそこに一区切りを付けた後、ようやく新しい第1歩を踏み出したのが本作だ。  日本人で . . . 本文を読む
コメント