原作を読んだ時には、これはなんだかあざといな、としか思わなかった。決して悪いとは思わないけど、底が浅いし、わざとらしい。映画プロデューサーである川村元気の書いた小説だから、どうしてもマーケットリサーチがなされた(ような)作品になるのだろうか。
小説というものはもっと個人的なもので、「いびつ」なもの、と思う。
だが、これを映画化することで、しかも作家性を重視した作り方をしたなら、 . . . 本文を読む
『キャプテンアメリカ シビルウォー』を貶して、さらには、『デッドプール』まで扱き下ろして、その先で、この映画を褒めるなんて、映画ファンにあるまじき行為ではないか、と罵られそうだが、僕はその3本では明らかにこれが正しいヒーロー映画の在り方を体現していると思った。前作である『変態仮面』はあまり買わない。それだけに、今回もまるで期待しないで、見た。というか、見るつもりもなかった。(ごめん . . . 本文を読む
『デッドプール』
『シビルウォー』を見た翌日にこれを見に行った。ちゃんと確認したかったのだ。もうヒーローものの映画に飽きたのか、それとも、『シビルウォー』の出来が悪かっただけなのか、を。
なのに、この映画にもあまり乗れなかった。やはりこれは僕の個人的な問題だったのかもしれない。もう、この手の映画には飽きた、ということか。まぁ、この2本に関しては期待が大きかったから、それでがっか . . . 本文を読む
ふつうならこの組み合わせの映画が超大作として宣伝されないはずがない。ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツの共演である。ハリウッドを代表するビッグスター夢の共演と言うだけで話題性抜群。宣伝はそこを押し出すだけで、多数の観客をつかんだ、のはもう20年以上昔の話だ。今、そんなことでは話題にならない。映画界にとって、嫌な時代になったものだ。
これはハリウッドが威信をか . . . 本文を読む
『トレーニングディ』のアントワーン・フークア監督の作品だから、見に行く。家族愛を描くボクシングもの、というパッケージングはあまりにありきたりでそこには食指はそそられないけど、彼ならどんな素材からでも凄い映画に仕立てられるはずだから、見た。
そして、期待は裏切られない。最初の防衛戦が凄い迫力だ。無敗のチャンピオンがもう負ける、寸前までいく。映画を見ながら、彼は必ず負けるのではないか . . . 本文を読む
この甘いラブストーリーが僕にはとても心に沁みてきた。甘いなぁ、とは思う。でも、優しいなぁ、とも思える。だから納得する。そんな気分にさせられる、その根拠となるものは、主人公を演じたふたりの個性だろう。
彼らに共感できなかったなら、この作品はただの絵空事でしかない。お話自体がただの絵空事で、普通ならこんな話には納得できないはずだ。しらけてしまい、乗れないまま、終り、ということにもなり . . . 本文を読む
今回、劇団大阪は青木豪の作品を取り上げた。いつも挑戦的な試みをするこの劇団らしい試みだ。だが、こういうメリハリのないお話を芝居として立ち上げるのはとても難しい。しかも常連である年配のお客さんはこの手に作品に対して拒否感を示す可能性も高いことだろう。だからこれはベテラン劇団としてはあまりしたくないリスクの大きな芝居なのではないか。
だが、敢えてそういうタイプの作品に . . . 本文を読む
昨年の『無名稿 あまがさ』に続く「文豪+無名劇団」のコラボシリーズ第2弾。川端康成のあとに、横光利一という選択はなかなか渋い。作者の中条さんの趣味なのだろうが、今時こんな地味な作家(ごめんなさい!)を取り上げるなんて、なかなかお目が高い。前回に続き短編をモチーフにしたのも正解だろう。長編をアレンジするには、かなりの力技が必要だ。それなら軽い短編を下敷きにして自由に想像力を働かせるほ . . . 本文を読む
昨年の『海街diary』が素晴らしかった。先日たぶんこの映画の宣伝のためにTVでやっていた。たまたま家に帰った時、放送中で、ほんのちょっと、と思い、見初めたら結局最後まで見てしまった。止まらないのだ。映画館で見た映画をTV放送でやっていても普通は見ない。なのに、目が離せなくなった。しかもなんだか涙が止まらない。別になんでもないようなシーンで泣いている。
これは昨年僕のベストワンに . . . 本文を読む
吉田恵輔監督が本格的にアイドルタレントを使って東宝系全国公開作品を手掛けた記念すべき作品なのだが、彼は手心加えることなく、それどころか、ここまでやってもいいのか、と思うわせるほど過激に見せる。主演は森田剛。映画初主演にして、こういうとんでもない犯罪者をリアルに演じて本当にこの気味の悪い男はジャニーズのアイドルなのか、と思わせる。ストーカーで、残酷な殺し、レイプ、を平気でする。頭がおかしい男なのだが . . . 本文を読む
廣木隆一監督が『ストロボ・エッジ』に続いて贈る少女マンガの映画化作品。今回もまた、ありえないような設定のお話で、でも、基本的なストーリーは高校生活のスケッチなので、荒唐無稽が描かれるわけではない。でも、こんなマンガの中の世界のような高校生活はない。恋愛ばかりの人生なんて、高校生でも少女マンガだけ。そんな夢物語がここには描かれるのだが、その中にきらりと光るものを込める。リアリティがあ . . . 本文を読む
久々のマイケル・ムーアの新作。相変わらずのマイケル節を楽しめるかどうかが、ポイントとなる。だが、僕はもう楽しめない。描かれることは確かに驚きだ。世界にはこんなことがあるんだ、と感心するし、羨ましくもなる。だが、そこから彼が何を引き出そうとするのかがわからない。アメリカも諸外国に見習いましょう、なんてレベルで終わられては、映画じゃないと思う。これではただのTV番組でしかない。バラエティの世界不思議発 . . . 本文を読む
シリーズ第2作。前作は東日本大震災から1年までのお話で、神戸から東北の被災地に行った小学教師が過ごす1年間のドラマだったが、今回はその次の1年。震災から2年目の日々。1年目以上の困難が彼を待ち受ける。がむしゃらにやった1年目。だが、その後、へこむ。頑張りは続かない。だって人はちゃんと休まなくてはガス切れする。
攻撃的で攻めの姿勢を貫いた1年目のようにはいかない。少しずつ復興してき . . . 本文を読む
阪本順治監督が藤山直美と再びタッグを組んだ最新作。『顔』は意外な組み合わせが功を奏した傑作だったが、今回もっと意外な話で観客を煙に巻く。唖然茫然のラストを受け入れられない人は怒りだすかもしれない。さすがに、ないわぁ、これ、と思う。
なんだかわからないけど、惹きつけられるストーリー展開。藤山直美と岸部一徳の初老の夫婦が大阪郊外の古い団地(千里ニュータウンか?)に引っ . . . 本文を読む
つまらなかった。これはショックだ。前作『ウインター・ソルジャー』がとてもよかっただけに期待した。今回もルッソ兄弟が連投しているから、前作を引き継ぎ、さらなる挑戦に挑んでいることと、楽しみにした。だが、期待は裏切られる。この企画自身がダメなのだ。先に公開された『バッドマンVSスーパーマン』があんなふうに残念な出来になっていただけに、これはそうはなって欲しくないと祈るような気分で見はじめた。アクション . . . 本文を読む