ローマ帝国の地中海艦隊の司令官であったプリニウスは、ヴェスヴィオ火山の噴火で沈んだボンベイへ向かう途中火山性ガスのために没したと云われる。
彼は博物学の著書などでも有名であった。その彼は南イタリア・カンパーニャのファレルノという地のワインを最上の美酒と讃えていた。
プリニウスに絶賛されたファレルノのワインはその後も法王や各国の王室などから名声を得ていた。しかし、このファレルノは19世紀のフィロキセラの影響で荒廃してしまう。
1960年このファレルノの幻の美酒を復活させたのがナポリの弁護士フランチェスコである。彼はヴィラ・マチルダというワイナリーを開設する。そして現在、彼の子供達がこのファレルノのヴィラ・マチルダを引き継ぎ見事な成果を上げている。
ヴィラ・マチルダが復活させたワインの内のひとつファランギーナ種の白ワインがクアトロに入荷した。南イタリアの陽光に似合う華やかな香りにすっきりとした辛口の魅惑的な白ワインだ。この夏のクアトロおすすめワインの一本となるであろう。
ニュージーランドのマルボロはソーヴィニヨン・ブランのメッカとして有名。
そのマルボロからセレシン・エステートというワイナリーのソーヴィニヨン・ブラン“モモ”がクアトロにやってきた。
これぞニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランと云える華やかなアロマを持った白ワインだ。
このセレシン・エステートは、「ハリー・ポッターとアズガバンの囚人」などの撮影監督を務めたニュージーランド在住のマイケル・セレシン氏がオーナーである。
徹底した有機栽培にこだわったワイン造りは今やニュージーランドの注目のワイナリーとなっている。
映画の仕事のサイドビジネスというワイン造りでなはなく、理想のワインを作るために映画の仕事をしているのではないかと想像する。
“MOMO”とは現地の言葉で子孫を意味するという。
子々孫々に伝えたいワインのある風景をマイケル・セレシンはイメージしているのだろう。
写真でワインの邪魔をしているのは、マイケル・セレシンではなく、アズガバンの囚人である。
水戸家に守られ常陸の国は米所である。
水戸の城下は黄門さまが作った笹原水道もあり水が美味しいところだ。
水戸の地名も良い水が集まる所から由来しているという。
豊かな米と名水が出会って良い酒が出来ないわけがない。
水戸家の後押しもあって生まれた銘酒が吉久保酒造の“一品”である。
さらに現代では日本で三本の指に入るという有名な南部杜氏佐々木氏の力量もあり茨城を代表する酒となっている。
その中でも、仕込み桶からくみ上げた杜氏が味見するときの状態に近い酒、純米吟醸の無濾過生原酒がクアトロに入荷した。
バランスのよい味わいは、魚料理の味を引き立てる。まさに逸品の酒である。
同じ茨城で先日見付けた魚好きの鬼は、眉毛が刺身になっていて、鼻は魚、口は魚籠になっている。
この鬼に捧げたい酒である。
梅雨開け宣言が出たとたんに猛暑がやってきた。
こういう暑い日にはまずのどを潤すためにスピリッツァーが良い。
香りの良い白ワインを炭酸で割ったものだ。
のどの渇きを抑えたら、日本酒の原酒をロックでやりながらアミノ酸たっぷりのパルミジャーノでもおつまみにして汗が収まるのを待つ。
パルミジャーノは大きなかたまりの真ん中の美味しいところをいただく。
さて、次はイワシでもカルパッチョでいただこうか。
魚をさばいてもらう合間に朝採りのトウモロコシをスープにしたものをいただく。
魚を堪能したら、仕上げはウニの冷たいパスタにしようか。
デザートには、ブルーベリーとアイスクリームとくれば、夏の暑さも心地よく感じるものだ。
そして、あなたはいつのまにか美食の鬼になるかもしれない。