揉み錐には色々な種類が有る。 錐揉みは道具扱いの中でも特に難しいものと言われている。 そう言われて見てもその難しさがピンと来ない。 錐の代表的な物を集めて見た。 折に触れ骨董市で集めた物だ。何時何処でと言われても覚えていない。 上から順に 三ッ目錐 壷錐 鼠歯錐 四ッ目錐 剣錐 と呼ばれている。 今は電動ドリルに錐を付けて穴を揉む事が多い。手で揉んでいたら 手の皮が擦り剥けてしまう。 まだ修行が足りないのだろうな。
これも相当昔に手に入れた物だ。 多分割鉈の一種だろう。 湾曲しており丁度桶の丸い曲面に合わせて杉材から湾曲した板を割り取る時に使う物だと思う。 鉄で出来ているが、刃先に鋼は付いて無い。 少し叩けば簡単に曲がる。 自分で曲面を決められる様だ。 刃を材に当て上から木鎚で叩いて割り出す。 以前骨董市にはこんな道具は良く見かけた。 しかし今は殆ど無い。 コレクターの手に収まってしまったんだろうか。 もう少し集めておけば良かったかも知れないな。
これは 私がまだ40代の頃、立川に有ったワークショップ108で木工を習っていた頃に立川に有る道具屋の日野屋で購入した。習うと言っても手を取って教えてくれる訳でも無く、自分の作りたい物を作り、時々そこの道具を借りる程度だったが。 それでも時に刃物の研ぎ方を教えてくれた。 余り参考にはならず、今になって、やっとそれらしく研げる様になった。20年は掛かったな。 私に木工を教えてくれた西野さんの話では この包春銘の刳小刀は割と甘切れで良いと言っていた。 しかし私には良く判らない。 刳小刀は切り出しより刃渡りが長く研ぎにくい。 切り出しは良く使うが、刳小刀となると使う機会が無いのは残念。 引き出しにしまわれている。
これは私がまだ会社勤めしていた頃、東京古民具骨董市(流通センター)で買った物だ。 骨董屋は包丁だと言っていたが違うだろう。 売れ残りらしく最後の日なので安くすると500円で買った。 確かに柄の付いた包丁の様にも見えるが刃の両側に有った握り部分の片方を切り落としている。 そしてもう一方の握り部分に柄を付けた物の様だ。 何かを切る道具として使った様だが、桶屋の道具ではないか。 元は正直台に刃を付けて 桶の杉材を削った物だろうと推定している。 特に銘もマークも無い。 地場の鍛冶屋が依頼によりこしらえた物だろう。結構固くしっかり焼きの入った刃物だった。
これも確か東郷神社骨董市で買った物だ。 いくらで手に入ったのか忘れた。錆びていたし高くなかったはずだ。 手ちょうなの一種だろうと思うが。 ごんばちを作る時に中をくりぬく為に使った物か。 しかしどうも刃の形がその用途には適さない様に思う。 違う用途かもしれないな。 とにかくかなり錆びており大分苦労して錆を落とした。 柄も自分で付けた。 其れらしい形になってきたが 上手く使いこなせない。 それに刃の先端部分に鋼が付いてるはずだが無い。 使いすぎて研ぎ減らしたのか、最初から無かったのか。 どうだろうか。
これは確か高幡不動骨董市で手に入れた。 500円程度だったはず。 柄に握り部分に鉄パイプが使ってあり、木製の柄に変えようと思って抜いて見た所、これが古い刀である事が判明した。 刀の中心とそれに続く刃の部分を一部切り取って竹割りに仕立てた物だろう。 勿論両刃であるが、既にかなり研ぎ減り刃幅も狭くなっている。 刀は一般に根元の部分より先端部が切れると言うし、実際それ程切れない。 銘も掘り込んでなく、戦時中の軍刀を利用した物かも知れない。 特に柄を付けずそのまま保存しておいた。 錆びさせないようにしたいと思うが。 手入れまでは行き届かない。
これは東郷神社骨董市で手に入れた。 材面を平らにはつる時に使う物だ。 子供の頃には大工が使っているのを見た事がある。 今は使う人も少ないだろう。 これはその小型版で片手で使う物らしい。 主に下駄屋 三味線 木型屋 挽物工などが材料の粗取りに使ったという話だが、これもそうかな。 銘は重族となっている。 実物は殆ど使われた形跡も無く新品同様で、骨董屋の親父で刃物好きがどこかで仕入れてきた物の様だ。 確か1万5千円位した。 その値段なら今も新品が買えるかも知れない。