第6日 2004年11月16日(火) 晴
<20番鶴林寺~22番平等寺>
=第二の遍路転がしへ=
好天で冷えたが、風も治まった。5時50分起床、朝食は6時半に
お願いしていたが、6時18分には出して下さった。
この先の宿でも夜、良く寝付けるようにと、2合ビンに入れた梅酒
をいただき、7時15分に旅館かえでを出る。
そばの勝浦川の橋を渡り、右岸沿いに少しで棚野の集落を抜け、
鶴林寺(かくりんじ)への遍路道に入る。少し上がると、宿の周辺の
家並みや勝浦川沿いの展望が広がる。
丸木の段が続く上り道、ゆっくりと足を運ぶが、すぐに汗ばんで
きた。道沿いに新旧いろいろな竹ぼうきが幾つも置いてあり、いつも
道の整備をしていることを知り、感謝しながら上がる。
下から上へ、数の減ってゆく町石が続き、終わって20番鶴林寺の
重厚な山門を入る。
太い杉木立の並ぶ境内、標高500mにある山上の聖地のおもむ
き。本堂前には2羽の鶴の像が立つていた。
納経後、山門まで戻らず、杉木立の下から疑木の段の続く急降下
の下り道へ。
前回の膝痛の一因は、ここを一気に下ったためと思われたので、
膝に負担がかからぬよう折畳み杖を使い、慎重に下る。
県道283号を横断後さらに急降下し、那珂川沿いの大井に出た。
車道に出たら、新しいりっぱな東屋があり、「遍路さんへ」とミカン
が箱一杯に置いてある。3ついただき、休憩させてもらった。
きれいな流れの那賀川の水位橋を渡る。緑と紅葉の混じる山並み
の展望がよい。
小さい峠を越え、細い流れの若杉谷川左岸沿いに、簡易舗装の道
を上流に向かう。逆打ちの男性遍路と行き交った。
気持ちよい沢音を聞きながら林間をトラバース気味に進む。橋を
渡って右岸に回ったところに、東屋と若杉山遺跡の説明板がある。
この辺りは、日本最古の辰砂採取地だったという。辰砂とは水銀
朱のことで、縄文時代から土器を朱に塗る原料だという。
川沿いの林を抜け、鳥居と田んぼの先から太龍寺(たいりゅうじ)
への山道となる。疑木の階段が続くので、ゆっくりと上がる。道は
比較的幅広く歩きやすい。
平等寺への遍路道と合し、さらに急坂を上がり、標高520mにある
21番太龍寺に入る。
鶴林寺以上に広い境内、歴史を感じる古い堂塔が幾つも立ち、色
鮮やかな紅葉も目につく。
本堂には透かし灯籠が下がり、灯がともされている。
境内に「守護の大杉」と呼ぶ、樹高48m、幹回り6m、樹齢600年
というご神木の杉の巨木が立つ。山門には、小さい健脚ワラジがたく
さん吊されていた。
お参りを終え、平等寺への合流点まで戻り、そばのベンチで昼食。
旅館かえでお接待の、緑の黄粉をまぶした大きなおにぎりをいただ
く。おいしいご飯だった。
下りの遍路道は、簡易舗装してあるので鶴林寺の下りより歩き
やすい。上り下りが分かれた車道に合し、さらに下って加茂谷川
沿いに出る。
龍山荘と坂口屋の2つの遍路宿そばを通過し、県道28号を南東
へ向かう。緩やかな上りが続くが車は少ない。阿瀬比の交差点から
南への遍路道に入り、すぐ先のヘンロ小屋2号、阿瀬比で休憩した。
その先は、ミカン畑と田んぼを見下ろしながらの気持ちよい遍路道。
やがて山間に入り、標高200mの大根峠への上り。たいした上りで
はないが、2つの山越えの後なので少しきつい。竹杖が幾つか置い
てあったので借用する。
狭い峠から先は、たくさんの竹が杉林を侵食し、竹林と代わりつつ
あるところがしばらく続いた。
車道に出て西光寺集落を左に回り込み、22番平等寺門前に着く。
そばにある今日の宿、山茶花(さざんか)に先に入り、ザックを預けて
から平等寺にお参りする。
山門を上がると、山を背にした正面に本堂、左手下に大師堂が
立つ。本堂の天井には、植物を図案化した天井画が描かれている。
本堂への石段下には、弘法の井戸があった。
16時半、山茶花に入る。ここも2度目で、前回同様食堂そばの部
屋に入る。広い風呂が気持ちよく、洗濯機、乾燥機とも無料だった。
食堂での夕食には、初日の安楽寺宿坊以来久しぶりの、同宿者
2人と一緒。昨日、星の岩屋で先行した沖縄の男性は、初めてで
23番までの区切り打ち。もう1人は、4回目で逆打ちという横浜市の
男性である。
明日のコース、「国道55号経由より距離は2㎞長いが、海よりの
由岐(ゆぎ)回りが良い」と、逆打ち氏に勧められ、そうすることに
した。
部屋には冷水とお湯のポットが用意され、食事の際も水とお茶を
出して下さる心づかいが嬉しい。
昨日までの肩こりは無くなったが、背中のザックがやはり1日重い。
今日は車を気にする道は無く、標高差約千mの上り下りはあったが、
よい道のりだった。
この3日間、どの霊場でも団体の遍路グループに合わず、静かに
参拝できた。前回は、明日の行程から右膝が痛くなり、10日近く悩ま
されたのだが、今回は無いよう祈りたい。
〈コースタイム〉旅館かえで7:15ー三町石8:30~45ー20番鶴林寺8:44
~9:10ー県道283号横断9:45~50ー大井の東屋10:10~20ー若杉山
遺跡10:53ー太龍寺登坂口11:05ー平等寺への分岐点11:22~30ー21
番太龍寺11:52~12:35ー平等寺への分岐点(昼食)12:45~13:00ー
坂口屋際13:53~14:00ーーヘンロ小屋2号阿瀬比14:33~40ー大根峠
15:09ー山茶花16:00ー22番平等寺16:03~26ー山茶花16:26
(距離 22㎞、地図(1/5万) 阿波富岡、歩行地 勝浦町、阿南市、
歩数 38,900)
<20番鶴林寺~22番平等寺>
=第二の遍路転がしへ=
好天で冷えたが、風も治まった。5時50分起床、朝食は6時半に
お願いしていたが、6時18分には出して下さった。
この先の宿でも夜、良く寝付けるようにと、2合ビンに入れた梅酒
をいただき、7時15分に旅館かえでを出る。
そばの勝浦川の橋を渡り、右岸沿いに少しで棚野の集落を抜け、
鶴林寺(かくりんじ)への遍路道に入る。少し上がると、宿の周辺の
家並みや勝浦川沿いの展望が広がる。
丸木の段が続く上り道、ゆっくりと足を運ぶが、すぐに汗ばんで
きた。道沿いに新旧いろいろな竹ぼうきが幾つも置いてあり、いつも
道の整備をしていることを知り、感謝しながら上がる。
下から上へ、数の減ってゆく町石が続き、終わって20番鶴林寺の
重厚な山門を入る。
太い杉木立の並ぶ境内、標高500mにある山上の聖地のおもむ
き。本堂前には2羽の鶴の像が立つていた。
納経後、山門まで戻らず、杉木立の下から疑木の段の続く急降下
の下り道へ。
前回の膝痛の一因は、ここを一気に下ったためと思われたので、
膝に負担がかからぬよう折畳み杖を使い、慎重に下る。
県道283号を横断後さらに急降下し、那珂川沿いの大井に出た。
車道に出たら、新しいりっぱな東屋があり、「遍路さんへ」とミカン
が箱一杯に置いてある。3ついただき、休憩させてもらった。
きれいな流れの那賀川の水位橋を渡る。緑と紅葉の混じる山並み
の展望がよい。
小さい峠を越え、細い流れの若杉谷川左岸沿いに、簡易舗装の道
を上流に向かう。逆打ちの男性遍路と行き交った。
気持ちよい沢音を聞きながら林間をトラバース気味に進む。橋を
渡って右岸に回ったところに、東屋と若杉山遺跡の説明板がある。
この辺りは、日本最古の辰砂採取地だったという。辰砂とは水銀
朱のことで、縄文時代から土器を朱に塗る原料だという。
川沿いの林を抜け、鳥居と田んぼの先から太龍寺(たいりゅうじ)
への山道となる。疑木の階段が続くので、ゆっくりと上がる。道は
比較的幅広く歩きやすい。
平等寺への遍路道と合し、さらに急坂を上がり、標高520mにある
21番太龍寺に入る。
鶴林寺以上に広い境内、歴史を感じる古い堂塔が幾つも立ち、色
鮮やかな紅葉も目につく。
本堂には透かし灯籠が下がり、灯がともされている。
境内に「守護の大杉」と呼ぶ、樹高48m、幹回り6m、樹齢600年
というご神木の杉の巨木が立つ。山門には、小さい健脚ワラジがたく
さん吊されていた。
お参りを終え、平等寺への合流点まで戻り、そばのベンチで昼食。
旅館かえでお接待の、緑の黄粉をまぶした大きなおにぎりをいただ
く。おいしいご飯だった。
下りの遍路道は、簡易舗装してあるので鶴林寺の下りより歩き
やすい。上り下りが分かれた車道に合し、さらに下って加茂谷川
沿いに出る。
龍山荘と坂口屋の2つの遍路宿そばを通過し、県道28号を南東
へ向かう。緩やかな上りが続くが車は少ない。阿瀬比の交差点から
南への遍路道に入り、すぐ先のヘンロ小屋2号、阿瀬比で休憩した。
その先は、ミカン畑と田んぼを見下ろしながらの気持ちよい遍路道。
やがて山間に入り、標高200mの大根峠への上り。たいした上りで
はないが、2つの山越えの後なので少しきつい。竹杖が幾つか置い
てあったので借用する。
狭い峠から先は、たくさんの竹が杉林を侵食し、竹林と代わりつつ
あるところがしばらく続いた。
車道に出て西光寺集落を左に回り込み、22番平等寺門前に着く。
そばにある今日の宿、山茶花(さざんか)に先に入り、ザックを預けて
から平等寺にお参りする。
山門を上がると、山を背にした正面に本堂、左手下に大師堂が
立つ。本堂の天井には、植物を図案化した天井画が描かれている。
本堂への石段下には、弘法の井戸があった。
16時半、山茶花に入る。ここも2度目で、前回同様食堂そばの部
屋に入る。広い風呂が気持ちよく、洗濯機、乾燥機とも無料だった。
食堂での夕食には、初日の安楽寺宿坊以来久しぶりの、同宿者
2人と一緒。昨日、星の岩屋で先行した沖縄の男性は、初めてで
23番までの区切り打ち。もう1人は、4回目で逆打ちという横浜市の
男性である。
明日のコース、「国道55号経由より距離は2㎞長いが、海よりの
由岐(ゆぎ)回りが良い」と、逆打ち氏に勧められ、そうすることに
した。
部屋には冷水とお湯のポットが用意され、食事の際も水とお茶を
出して下さる心づかいが嬉しい。
昨日までの肩こりは無くなったが、背中のザックがやはり1日重い。
今日は車を気にする道は無く、標高差約千mの上り下りはあったが、
よい道のりだった。
この3日間、どの霊場でも団体の遍路グループに合わず、静かに
参拝できた。前回は、明日の行程から右膝が痛くなり、10日近く悩ま
されたのだが、今回は無いよう祈りたい。
〈コースタイム〉旅館かえで7:15ー三町石8:30~45ー20番鶴林寺8:44
~9:10ー県道283号横断9:45~50ー大井の東屋10:10~20ー若杉山
遺跡10:53ー太龍寺登坂口11:05ー平等寺への分岐点11:22~30ー21
番太龍寺11:52~12:35ー平等寺への分岐点(昼食)12:45~13:00ー
坂口屋際13:53~14:00ーーヘンロ小屋2号阿瀬比14:33~40ー大根峠
15:09ー山茶花16:00ー22番平等寺16:03~26ー山茶花16:26
(距離 22㎞、地図(1/5万) 阿波富岡、歩行地 勝浦町、阿南市、
歩数 38,900)