続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『桟敷席』⑤

2018-03-13 07:01:58 | 美術ノート

 双頭の必然性は何だろう・・・(一つの身体に二つの頭部がある)というのでなく(二つの身体が合体した)と考える方を選ぶほうが自然かもしれない。
 この身体は女性の印象が強くあるが、コートは紳士用であり、眉の太さも気にかかるし、肩幅の広さや頭部にも差異がある。
 頭髪がないのは、冥界での溶解、無に帰していくプロセスではないか。

 無限に広がるのではないかと思わせる桟敷席の空間、髪の長い少女は劇場を見ている、彼女の生死は不明であるが、背後の双頭の人物は明らかにこの世の人ではない。
 全体が冥府の桟敷席なのか、少女の背後の人物(父母)の椅子こそが桟敷席(現世を見る/危惧する)なのかは分からない。複合的な構造である

 この不思議な雰囲気こそが異世界における桟敷席であり、出口は開いているが、閉じられてもいるという境界のない中空の桟敷席ではないか。
 問えば答えが分散する、存在感の希薄な重く暗い疑似空間の桟敷席である。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『真空溶媒』⑪

2018-03-13 06:40:46 | 宮沢賢治

  どうだこの天頂の遠いこと
  このものすごいそらのふち
  愉快な雲雀もとうに吸ひこまれてしまつた
  かあいさうにその無窮遠の
  つめたい板の間にへたばつて
  痩せた肩をぷるぷるしてるにちがひない
  もう冗談ではなくなつた


☆転(ひっくりかえす)懲(過ちを繰り返さないように戒める)、諭(教え導くこと)で戒(事前に用心すること)を運(めぐらせている)
 惹きつける教(神仏のおしえ)の務(つとめ)を究め、掩(おおった)犯(法や掟を破ること)を現わす。
 双(二つ)を兼ねた状(ありさま)の談(話)である。


『城』2901。

2018-03-13 06:33:44 | カフカ覚書

Kは、クラムだって村へ来るし、数日間も滞在していることがあるじゃないか、いったい、たかが秘書にすぎないエルランガーが城でそれほど不可欠な人物なのかね、と反問した。


☆Kはクラム(氏族)だって村(死の入口付近)に来る日があるし、それどころか、数日間もここに留まっている。ただ内密のエルランガーは無くてはならないのだろうか、と反問した。