概念の転回、崩壊と言った方がいいかもしれない。
物に付着するイメージを破壊し、重力という大前提からの解放を強行している。
静かなる暴力は鑑賞者を惑わせる。蓄積された観念の術を持ってしか対象を見ることができないからで、ひどいストレスを感じざるを得ない。
これを空想と言ったが、まぎれもない現実かもしれない。わたしたちの持つ情報量を正しいと思い込みすぎているキライを払拭し、精神の深淵を垣間見せる英断…錯覚ではなく価値観の解放である。
もちろん主題はマグリット固有の精神世界であって、万人共通の景色ではない。
重力・遠近・質量の否定・・・一般的に言う《自然の摂理》を外すことにより、もう一つの世界(異世界/冥府)を独断の手法で開示している。
実際にこの絵を再現することは物理的に不可能である。隔絶された冥界は、美しいというよりも不自由でもの悲しく、切ないまでの哀愁が漂っている。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
背嚢なんかなにを入れてあるのだ
保安掛り じつにかあいさうです
カムチヤツカのカニの缶詰と
陸稲の種子がひとふくろ
ぬれた大きな靴が片つ方
☆廃(すたれる→死)を納(うけいれる)は、新しい
補(助ける)案(考え)を化(教え導くこと)を敢(あえてし)吃(身に受けること)を録(文字に書き記す)
等(平等)の趣(考え)の詞(言葉)が題(テーマ)である。
禍(不幸・災難)を変える法(神仏の教え)である。
あのときたしの尋問に応じてくださったほうが、簡単にすんだでしょうに。むろん、ちょうどよい時期に尋問に応じるというのは、むずかしいことですがね」
☆当時のほうが簡単だった。ただ確かにそれは重大なことである。正しい尋問を選択するのは難しい。