続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『彼は語らない』②

2018-03-28 07:00:01 | 美術ノート

 彼は語らない。確かに彼は口をつぐみ、目も閉じている。しかも肉感を持たない石膏(無機質)のように見える。
 背後は明らかに肉感をもった人間である。目を開き凝視している、頬や唇の赤さから女性に見えるが、彼(男?)の唇もまた赤いことから、特定はできず、男女を共有している(人)という見解に落ち着く。首が見えることから顔面のみではないと推測される。

 この両者の間にある円盤状のものは何だろう。
 軸が中心にないということは回転しないということであり、これを地球(大地)と見れば、地球は回っていないという見地に等しい。(「それでも地球は回っている」)

 時間というか暦は一般的に太陽暦(ユリウス暦~グレゴリオ暦)である。その基盤である「光ありき」と言った神と同次元であるのは肯ける。
 背後に板状の面があるが、マグリットの中では現世と冥界(死後)の変移のプロセスと解釈して差し支えないのではないか。
 空白の面は、虚無あるいは混沌(矛盾)の深淵。

 しかし、「彼は語らない」、語っているわけではない。真実、信仰の要は捉えようとしても捉えきれない中空に位置している。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『真空溶媒』㉑

2018-03-28 06:34:11 | 宮沢賢治

    (ウーイ 神はほめられよ
    みちからのたたふふべきかな
    ウーイ いゝ空気だ)
  そらの澄明 すべてのごみはみな洗われて
  ひかりはすこしもとまらない
  だからあんなにまつくらだ
  太陽がくらくらまはつてゐるにもかゝはらず
  おれは数しれぬほしのまたたきを見る
  ことにもしろいマヂエラン星雲


☆真(まこと)の句(言葉)を記している帖(書付)である。
 冥(死後の世界)に潜む他意の曜(太陽・月・星)を崇め、現れる照(あまねく光が当たる=平等)を運(めぐらせている)。


『城』2911。

2018-03-28 06:23:05 | カフカ覚書

わたしは、たんにお役所の仕事のために答えるのではありませんからな。あのときも、いまもそうです」
「いったい、わたしたちにだれのことを考えよとおっしゃるのですか。ここにはほかにまだだれかいますかね。さあ、おはいりなさい!」


☆わたしは単に職務のために答えているのではありません。当時も今もそうです。と、モームスは言った。誰がわたしたちのことを考えているのか、他に誰がまだここにいるのですか。さあ、行きなさい!」