8月5日、NYダウは、7月の米雇用が、予測を27,000上回る
207,000人増加、時間給も増加との米労働省の発表を受けて、
インフレ懸念、利上げ継続を嫌気して、52ポイント値下がりした。
この日の取引で、値上り銘柄数723に対して、値下がり銘柄数
2,579のデータが投資家の不安心理の大きさを素直に表している。
雇用が増え、景気が良くなることを喜びそうだが、過ぎたれば
及ばざるがとしのことわざ通りか、来週火曜日開催の米FOMC
(公開市場委員会)で、利上げ打ち止めのニュワンスさえ
得られまいと大げさに言えば、米投資家はしょげ返っている
感じである。
株式相場は景気の鏡である。
相場は所詮、人の子がやることだから、
人の心の鏡でもある。
原油先物相場が、バレル62.31ドルへ上げたことも
投資家心理を冷やしたようだ。
日本では1ドル=111円の円高のお蔭で、ドルベースでの
原油高にそれほど敏感に反応しない。日本円が高い
(値打ちがある)ことが物価高を抑えている要素である。
しかしながら、ドルベースとは言え、現実は、
25ドル原油が35ドル原油になり今60ドル原油である。
原油が上がれば当然ナフサが上がる。
日常当たり前のように使っている携帯電話やパソコンの部品にも
沢山のプラスチック製品(化学品)が使われている。
プラスチックはナフサを原料としており、ナフサの大元は
言わずと知れた原油である。原油が値上りすればナフサが上がり、
プラスチックが上がり、携帯電話やパソコンが値上りすることは
自然である。
あまり深刻がってあれこれ考えるのは健康に害があるから
よくない。しかし、60ドル原油定着懸念にNYダウは敏感に反応した。
原油だけではない。利上げ懸念で、米10年物国債相場が
値下がりし、利回りは4.398%へ上昇した。
日本の10年物国債利回りは1.2とか1.3%台でうろうろして
いる。1.3%がいかに異常な状態にあるにもかかわらず
運用優先のため見て見ぬ振りをしている。
異常であることを異常だと素直に認めればいいものを、
見て見ぬ振りをしているから、結局、大事故につながる
ことは、健康でも同じである。
肩がこるとか腰が痛いとか蕁麻疹が出るとか、
表面的な症状を訴える人は多い。
それはからだの中で、たとえば、肝臓とか腎臓とか一ケ所でも
臓器がおかしくなると、そこが原因で、からだ全体を引っ張り、
からだに歪みが生じて病気を誘発することは、よく知られている
世界である。
からだで言えば原油は経済のバックボーン(背骨)である。
お金は血液である。金利は血液の状態を教えるバロメーターである。
骨が痛み、血液が濁ればからだに障害が出てくる。
米10年物国債の利回りが上がると、住宅ローン金利に
連動していうから、住宅バブルにじわじわと影響を及ぼしてくる。
米国の消費者は借金漬けだから、利上げ継続は個人消費減退を
イメージさせる。
日本ではインフレ懸念といってもあまりピントこない人が
多い。日本でも60年前の敗戦後猛烈なインフレに見舞われた。
それを若い世代へ申し送りしていないきらいがある。
安売りに麻痺しているせいもある。
これは消費者だけではない。経営者のなかにも値段を
下げることを経営だと勘違いしている人が日本では
多いから不思議である。
消費者に魅力ある商品を提供して社会に貢献することが
経営の本義である。
ところで、欧米の投資家はインフレということばに
敏感に反応する傾向が強い。
欧米ではインフレ懸念で苦労した。その苦い経験を代々
受け継いでいるから雇用増、インフレ懸念、利上げの
悪の連鎖に投資家は敏感なのかもしれない。
ここ数日、寒暖計はうなぎ上りである。昨日、大阪豊中市内で
38度Cを突破したという。
普通の寒暖計では温度は上下する。
ところが世の中には最低寒暖計というものがある。
最低気温を記録すればそれ以上実際の温度が上がっても
最低寒暖計は動かない仕組みになっている。
値段を下げるのは簡単であるが、値段は一度下げると
最低寒暖計と同じである。
原油が上がり、実際のコストが上がっているにもかかわらず
一度下げた値段はなかなか上がらない。
米雇用増、インフレ懸念、利上げ継続、NYダウ下げる。
病気になってから慌てるのが日本の治療である。
日本人は株嫌いだが、NYダウからまだまだ
学ぶことは多いのではなかろうか。(了)
207,000人増加、時間給も増加との米労働省の発表を受けて、
インフレ懸念、利上げ継続を嫌気して、52ポイント値下がりした。
この日の取引で、値上り銘柄数723に対して、値下がり銘柄数
2,579のデータが投資家の不安心理の大きさを素直に表している。
雇用が増え、景気が良くなることを喜びそうだが、過ぎたれば
及ばざるがとしのことわざ通りか、来週火曜日開催の米FOMC
(公開市場委員会)で、利上げ打ち止めのニュワンスさえ
得られまいと大げさに言えば、米投資家はしょげ返っている
感じである。
株式相場は景気の鏡である。
相場は所詮、人の子がやることだから、
人の心の鏡でもある。
原油先物相場が、バレル62.31ドルへ上げたことも
投資家心理を冷やしたようだ。
日本では1ドル=111円の円高のお蔭で、ドルベースでの
原油高にそれほど敏感に反応しない。日本円が高い
(値打ちがある)ことが物価高を抑えている要素である。
しかしながら、ドルベースとは言え、現実は、
25ドル原油が35ドル原油になり今60ドル原油である。
原油が上がれば当然ナフサが上がる。
日常当たり前のように使っている携帯電話やパソコンの部品にも
沢山のプラスチック製品(化学品)が使われている。
プラスチックはナフサを原料としており、ナフサの大元は
言わずと知れた原油である。原油が値上りすればナフサが上がり、
プラスチックが上がり、携帯電話やパソコンが値上りすることは
自然である。
あまり深刻がってあれこれ考えるのは健康に害があるから
よくない。しかし、60ドル原油定着懸念にNYダウは敏感に反応した。
原油だけではない。利上げ懸念で、米10年物国債相場が
値下がりし、利回りは4.398%へ上昇した。
日本の10年物国債利回りは1.2とか1.3%台でうろうろして
いる。1.3%がいかに異常な状態にあるにもかかわらず
運用優先のため見て見ぬ振りをしている。
異常であることを異常だと素直に認めればいいものを、
見て見ぬ振りをしているから、結局、大事故につながる
ことは、健康でも同じである。
肩がこるとか腰が痛いとか蕁麻疹が出るとか、
表面的な症状を訴える人は多い。
それはからだの中で、たとえば、肝臓とか腎臓とか一ケ所でも
臓器がおかしくなると、そこが原因で、からだ全体を引っ張り、
からだに歪みが生じて病気を誘発することは、よく知られている
世界である。
からだで言えば原油は経済のバックボーン(背骨)である。
お金は血液である。金利は血液の状態を教えるバロメーターである。
骨が痛み、血液が濁ればからだに障害が出てくる。
米10年物国債の利回りが上がると、住宅ローン金利に
連動していうから、住宅バブルにじわじわと影響を及ぼしてくる。
米国の消費者は借金漬けだから、利上げ継続は個人消費減退を
イメージさせる。
日本ではインフレ懸念といってもあまりピントこない人が
多い。日本でも60年前の敗戦後猛烈なインフレに見舞われた。
それを若い世代へ申し送りしていないきらいがある。
安売りに麻痺しているせいもある。
これは消費者だけではない。経営者のなかにも値段を
下げることを経営だと勘違いしている人が日本では
多いから不思議である。
消費者に魅力ある商品を提供して社会に貢献することが
経営の本義である。
ところで、欧米の投資家はインフレということばに
敏感に反応する傾向が強い。
欧米ではインフレ懸念で苦労した。その苦い経験を代々
受け継いでいるから雇用増、インフレ懸念、利上げの
悪の連鎖に投資家は敏感なのかもしれない。
ここ数日、寒暖計はうなぎ上りである。昨日、大阪豊中市内で
38度Cを突破したという。
普通の寒暖計では温度は上下する。
ところが世の中には最低寒暖計というものがある。
最低気温を記録すればそれ以上実際の温度が上がっても
最低寒暖計は動かない仕組みになっている。
値段を下げるのは簡単であるが、値段は一度下げると
最低寒暖計と同じである。
原油が上がり、実際のコストが上がっているにもかかわらず
一度下げた値段はなかなか上がらない。
米雇用増、インフレ懸念、利上げ継続、NYダウ下げる。
病気になってから慌てるのが日本の治療である。
日本人は株嫌いだが、NYダウからまだまだ
学ぶことは多いのではなかろうか。(了)