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OPEC生産枠据え置き、原油61.30ドルへ上昇ー学校で教えてくれない経済学

2005-12-13 08:34:58 | 経済学
12月12日、クエートで開かれたOPEC臨時総会で、原油生産枠の日量2,800万バレル据え置きと来年1月31日の総会開催決定を受けて、NY原油1月物(WTI)相場はバレル1.91ドル上昇、61.30ドルで取引を終了した。

ロンドン1月物ブレント原油相場は、バレル1.09ドル上昇、58.40ドルで取引された。ガソリン、天然ガスともに値上がりした。

原油相場は、今年8月、ハリケーン被害を材料に70.85ドルの最高値を記録した後、54ドルまで調整していた。その後冬場暖房油シーズン入りと寒波襲来で60ドル近辺まで回復していたが、OPEC生産枠据え置き決定は原油相場に買い安心感を与えたようだ。

OPEC参加国が、現在の60ドル相場を、高過ぎもなく、さりとて安過ぎもなし、つまり、彼らにとって「居心地のいい水準」と受け止めている気配がある。OPECの本心は値下がりにつながりかねない生産枠変更で相場に新たな不安定要因を作りたくないのであろう。

一方、NY為替相場は、ドル円は1ドル=119円67銭、ドルユーロでは、1ユーロ=1.1950ドルと、それぞれドルが売られた。ドルは対スイスフラン、対英ポンドでもそれぞれ売られた。

ドルが売られた背景の一つには、12月13日開催予定の米FOMC(公開市場委員会)で、0.25%の利上げは織り込み済みであるが、同時に発表される声明文の中で、利上げ打ち止めをうかがわせるなんらかの変化が出る可能性が指摘できる。

ドル売りの第二の背景には、中国の為替政策に大きな変更を期待できないことから中国からの安値輸入に歯止めがかからず、結果貿易赤字の拡大が予測される。さらに11月の米財政赤字が、ハリケーンによる洪水保険支払い、高齢者保障費用の増加などにより830億ドルまで拡大したとの発表が嫌気されたようだ。

ドル売りはそのままインフレ懸念を増幅させる。原油相場下落をOPECが嫌うのもインフレ(ドルの目減り)ヘッジのためであろう。インフレヘッジの動きは金相場急騰にも指摘できる。NY金先物相場が一時1オンス14ドル上げ、544.50ドルを記録した。プラナチ、銀、銅、パラジウム相場も値上がりした。最近の金急騰の背景に、インフレ懸念と実需の日本人による買いが指摘できるとWSJ紙〈12月13日〉は紹介している。

ゼロ金利政策を続ける日本。年金カット、増税、医療費アップで先行き不安を強める日本人の存在抜きにして、日本株高、金相場急騰を説明出来ないかもしれない。(了)

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