12月5日、NY原油先物(WTI)相場は、一時バレル60.80ドルを記録したが、前日比59セント高の59.91ドルで取引を終了した。安値のバレル55.44ドルから約8%値を戻した。今回の石油相場の戻りは米国中西部と北東部での灯油需要が寒気のため増加した要素が強い。
米国の国内灯油の供給量は需要の80%を占め、残りは欧州からの輸入で埋めている。
ところが今年の冬は、欧州が寒波のため現地の灯油需要が増えており、アメリカ向けの灯油輸出が制限されるため、石油相場を上げ易いようだ。
ただ、ヘッジファンドの資金がかっての原油から金その他非鉄金属、株式先物相場へシフトしていると指摘する専門家は多い。天候次第では原油相場が反落する可能性が残っている。ハリケーンを材料にして史上最高値まで上げた8月相場の再来はなさそうだ。
金相場の12月物は一時1オンス509.70ドルまであり、5.60ドル高の508.90ドルで取引を終了した。来年2月先物の金相場は、高値512.90ドルまであり、5.60ドル高の512.60ドルで取引を終了した。先高感は消えていないようだ。
ここへ来ての金相場上昇にはドルの先安感(インフレ進行)が強いことが背景にある。12回の利上げと追加利上げ予測からリターン有利なドル資産への根強い投資が続いている結果が、1ドル=121円台、1ユーロー1.17ドルのドル堅調持続である。
原油相場が落ち着き、その一方で、米国景気を牽引してきた住宅需要のかげりが表面化してくるタイミングでドルが売られる可能性がいま指摘されている。早晩米国で利上げうち止め感が台頭してくる。お決まりのコースの貿易赤字と財政赤字にスポットライトを当てて、タイミング見て、ヘッジファンドは一転してドル売りを仕掛けてくるだろう。
ドル堅調は第一に原油高騰で稼いだオイルダラーが米資産を買い支えた。原油高騰こそグリーンスパン議長をして『謎』と言わしめた異常に低い長期金利の生みの親であろう。もう一人の影武者はほかでもない日本のゼロ金利政策かもしれない。世界的な金余りを日本のゼロ金利政策が陰で支えている構図も十分考えられる。
日本人の株嫌いは定評がある。ところが苦い薬『株』も『投資信託』というオブラートに包めば飲めるらしい。貯蓄から投資へ日本の個人資産の一部がようやく流れ始めたようだ。
ミニバブルと指摘される昨今の日本株高。500ドルを超えなお高値追いの金相場。1ドル121円の円安・ドル高。全てが日本のゼロ金利政策抜きにして考えられない。(了)
米国の国内灯油の供給量は需要の80%を占め、残りは欧州からの輸入で埋めている。
ところが今年の冬は、欧州が寒波のため現地の灯油需要が増えており、アメリカ向けの灯油輸出が制限されるため、石油相場を上げ易いようだ。
ただ、ヘッジファンドの資金がかっての原油から金その他非鉄金属、株式先物相場へシフトしていると指摘する専門家は多い。天候次第では原油相場が反落する可能性が残っている。ハリケーンを材料にして史上最高値まで上げた8月相場の再来はなさそうだ。
金相場の12月物は一時1オンス509.70ドルまであり、5.60ドル高の508.90ドルで取引を終了した。来年2月先物の金相場は、高値512.90ドルまであり、5.60ドル高の512.60ドルで取引を終了した。先高感は消えていないようだ。
ここへ来ての金相場上昇にはドルの先安感(インフレ進行)が強いことが背景にある。12回の利上げと追加利上げ予測からリターン有利なドル資産への根強い投資が続いている結果が、1ドル=121円台、1ユーロー1.17ドルのドル堅調持続である。
原油相場が落ち着き、その一方で、米国景気を牽引してきた住宅需要のかげりが表面化してくるタイミングでドルが売られる可能性がいま指摘されている。早晩米国で利上げうち止め感が台頭してくる。お決まりのコースの貿易赤字と財政赤字にスポットライトを当てて、タイミング見て、ヘッジファンドは一転してドル売りを仕掛けてくるだろう。
ドル堅調は第一に原油高騰で稼いだオイルダラーが米資産を買い支えた。原油高騰こそグリーンスパン議長をして『謎』と言わしめた異常に低い長期金利の生みの親であろう。もう一人の影武者はほかでもない日本のゼロ金利政策かもしれない。世界的な金余りを日本のゼロ金利政策が陰で支えている構図も十分考えられる。
日本人の株嫌いは定評がある。ところが苦い薬『株』も『投資信託』というオブラートに包めば飲めるらしい。貯蓄から投資へ日本の個人資産の一部がようやく流れ始めたようだ。
ミニバブルと指摘される昨今の日本株高。500ドルを超えなお高値追いの金相場。1ドル121円の円安・ドル高。全てが日本のゼロ金利政策抜きにして考えられない。(了)