「強いドルはアメリカの国益である」とポールソン米財務長官は繰りかえし発言している。ところが、ポールソンが財務長官に就任後、ドルは、主な他国の通貨に対して、9.5%値下がりしたと今朝のWSJ紙は紹介している。
11月12日、週明けのNY外国為替市場では、対ユーロでは、1ユーロ=1.4531ドル前後でややドル買い優勢の動きであるが、対円では、1ドル=109.44円前後で取引された。ドルは、1ヶ月前、対円で1ドル=116円台だった。1万ドルのドル建て預金が、売り買いの手数料抜きにして、116万円が109万円へ大きく目減りした計算になる。
世界的に見て異常に低い日本の金利でお金を借り、利回りの高い、豪州ドル、ニュージーランドドルなどを買っていた投資家が、ドル先安を見越して、円借りキャリートレードを手仕舞いして、ドルを売り、円を買いもどし始めたことが、ここへ来てのドル安・円高にドライブをかけていると為替専門家は解説している。
ポールソン財務長官は、為替相場はマーケットに委ねるべきであるというスタンスを一貫して取っている。クリントン政権時代、2000年10月、ユーロが、1ユーロ=0.82ドル台まで急落したとき、ユーロ相場を引き上げるために、米国は、ECB〈欧州中央銀行〉と協調介入した。ドル買いについては、1995年8月以降、米国は為替相場に、一切介入していないと、WSJ紙は紹介している。利下げを催促する今の相場環境ではドル上昇は難しい。
相場の世界は、鳥や動物の生態と酷似している。専門家と称する人が、あれこれ解説しているが、鳥に聞いてみたほうがよほど分り易いと常々思う。鳥は、餌場と見れば飛んできて、餌が少なくなると思うと、断りなく飛び去っていくからだ。人の行動には思惑が入り易い。
人間は前頭葉が異常に発達した奇妙な動物であることはつとに知られている。後講釈は誰でも出来る。後講釈で飯を食っている人が結構多い。しかし、ポールソン米財務長官は、相場はマーケットが決めるもので、介入には効果がないことを熟知している一人であろう。
日米の株式市場が、サブプライムローン問題を理由に大幅値下がりしている。ノーベル賞受賞者2人が開発した先物取引の仕組みがあだとなった、1998年のLTCM破綻の二番煎じであることが益々はっきりしてきた。1929年10月25日、フーバー米大統領は、米国経済は健全かつ順調であると演説した。ところが、10月30日、NY株式市場は暴落した。
11月12日、NY株式市場は、原油相場がバレル1.70ドル下げ、94.62ドルで取引されたことを好感して一時80ドル近く上げたが、55ドル安の12,987ドルで取引を終了した。相場は、病気と同じで、恐怖心が払拭されない限り、本復には時間がかかりそうだ。(了)
11月12日、週明けのNY外国為替市場では、対ユーロでは、1ユーロ=1.4531ドル前後でややドル買い優勢の動きであるが、対円では、1ドル=109.44円前後で取引された。ドルは、1ヶ月前、対円で1ドル=116円台だった。1万ドルのドル建て預金が、売り買いの手数料抜きにして、116万円が109万円へ大きく目減りした計算になる。
世界的に見て異常に低い日本の金利でお金を借り、利回りの高い、豪州ドル、ニュージーランドドルなどを買っていた投資家が、ドル先安を見越して、円借りキャリートレードを手仕舞いして、ドルを売り、円を買いもどし始めたことが、ここへ来てのドル安・円高にドライブをかけていると為替専門家は解説している。
ポールソン財務長官は、為替相場はマーケットに委ねるべきであるというスタンスを一貫して取っている。クリントン政権時代、2000年10月、ユーロが、1ユーロ=0.82ドル台まで急落したとき、ユーロ相場を引き上げるために、米国は、ECB〈欧州中央銀行〉と協調介入した。ドル買いについては、1995年8月以降、米国は為替相場に、一切介入していないと、WSJ紙は紹介している。利下げを催促する今の相場環境ではドル上昇は難しい。
相場の世界は、鳥や動物の生態と酷似している。専門家と称する人が、あれこれ解説しているが、鳥に聞いてみたほうがよほど分り易いと常々思う。鳥は、餌場と見れば飛んできて、餌が少なくなると思うと、断りなく飛び去っていくからだ。人の行動には思惑が入り易い。
人間は前頭葉が異常に発達した奇妙な動物であることはつとに知られている。後講釈は誰でも出来る。後講釈で飯を食っている人が結構多い。しかし、ポールソン米財務長官は、相場はマーケットが決めるもので、介入には効果がないことを熟知している一人であろう。
日米の株式市場が、サブプライムローン問題を理由に大幅値下がりしている。ノーベル賞受賞者2人が開発した先物取引の仕組みがあだとなった、1998年のLTCM破綻の二番煎じであることが益々はっきりしてきた。1929年10月25日、フーバー米大統領は、米国経済は健全かつ順調であると演説した。ところが、10月30日、NY株式市場は暴落した。
11月12日、NY株式市場は、原油相場がバレル1.70ドル下げ、94.62ドルで取引されたことを好感して一時80ドル近く上げたが、55ドル安の12,987ドルで取引を終了した。相場は、病気と同じで、恐怖心が払拭されない限り、本復には時間がかかりそうだ。(了)